マンズワイン、みなさまはどのようなイメージを思い浮かべますか。
ソラリスなどのハイエンドなワインから、大手メーカー、あるいはお手頃なワイン・・・印象はさまざまかもしれません。

今回、新丸の内ビルの中華、四川豆花飯荘にて開催されたプレス向けディナーは、そうした認識を更新する場となりました。

営業・マーケティング部長の長井貴氏は、「皆さんの中にあるマンズワインのイメージを、今日アップデートしたい」と冒頭に話されました。

(左より)渡辺直樹氏(首都圏法人営業)・長井貴氏(営業・マーケティング部長)・島崎大氏(代表取締役)・岡野あさひ氏(法人営業兼マーケティング SNS・PR担当)

量から質へ〜ブランディングの転換

今回参加者にとって印象的だったのは、2007年から2011年にかけての大きな方針転換でしょう。

かつて同社は、飲用ワインにおいて濃縮果汁や輸入原料に依存したワインが売上の大半を占めていました。しかしこの期間にそれらをほぼゼロへと転換し、国産ブドウ主体のワイン製造へとシフトしました。

結果として売上は一時的に大きく減少したものの、それでも方針転換の選択を変えることはなく、現在は売上の7割以上が日本ワイン、うち3割がソラリスとなっています。

単価の面でも、7割が2,000円以上の価格帯に集中しており、“量を売るメーカー”から“価値を届けるワイナリー”へと、その位置づけは大きく変化しているようです。

勝沼と小諸、二つのワイナリーそれぞれの役割

マンズワインは、山梨県にある勝沼ワイナリーと長野県の小諸ワイナリー、この二つの拠点を有しています。その地の気候や地の利、土壌、歴史的背景などから、それぞれの役割を担っています。

ビジネスを支える勝沼ワイナリー

2020年のリニューアルで綺麗な建物に生まれ変わった勝沼ワイナリーは、甲州やマスカット・ベーリーAを中心とした日本固有品種の拠点であり、同時にスパークリングワインの製造拠点でもあります。
年間約600トンの仕込みを行い、国内でも数少ないシャルマ方式によるスパークリングを手がけるワイナリーとして知られています。

密閉タンク内で二次発酵を行うこの製法は、国内ではわずか数社しか設備を持っていません。マンズワインはその中でもこのシャルマを使用してつくるワイン「酵母の泡」シリーズなどを主力ブランドのひとつとして展開し、国産スパークリングの市場にて存在感を示します。

甲州やマスカット・ベーリーA、さらには龍眼といった日本の品種を用いたスパークリングは、イタリアのプロセッコに通じるような親しみやすさと、日本らしい繊細さを併せ持ち、幅広い層からの人気を集めています。

少数精鋭でプレミアムワインを生む小諸ワイナリー

一方、小諸ワイナリーはヨーロッパ品種を中心としたソラリスなどのプレミアムワインの拠点となっています。
標高や気候条件を活かし、よりテロワール表現を重視したワインづくりが行われてます。

1973年竣工の小諸ワイナリーは、千曲川ワインヴァレーで最初の存在。その後、ヴィラデストワイナリーをはじめ、多くの個性豊かなワイナリーが生まれています。

フォッサマグナの影響下にある東山の鴻ノ巣は、かつて海底だった地層を残すことで有名です。こうした観点でも特異な場所と言えましょう。

とはいえ土地のポテンシャルに頼るだけではありません。88年には深刻な雪害を受けています。しかしこれを機に、棚栽培から垣根栽培に切り替え、マンズレインカットでの栽培、グリーンハーベスト、丁寧な除梗などブドウのポテンシャルを最大限に引き出すための様々な取り組みや試行錯誤をしてきました。

こうして誕生したプレミアムワインの代表作こそがソラリスなのです。

役割を分けることで、生み出すワインやビジネスに幅と深みを両立させている点は、マンズワインの大きな特徴と言えるでしょう。

歴史が生む、人材と技術の蓄積

「量から質へ」ーこの方針転換を支えた大きなファクターは、その歴史に裏打ちされた人材と技術の蓄積ではないでしょうか。

1962年の創業以来、同社は一貫して醸造家の育成に力を注いできました。
ボルドーやブルゴーニュで学んだ人材が代々在籍し、その知見が継承されているのです。代表取締役の島崎大氏もまさしくその一人。シャトー・ラトゥールでの研鑽の後、フランスの国家資格「ワイン醸造士」、1990年には「利酒適性資格(ボルドー大学)」を首席で取得。ボルドーで最も有名な日本人のひとりでしょう。
その後、ソラリスの醸造責任者を務め、日本における世界に通用するワインづくりを確立しました。

また、「マンズレインカット」と呼ばれる栽培技術はいまでは多くの栽培家が知る手法です。
降雨量の多い日本において、果実を雨から守りながら完熟まで導くこの手法は、長年の試行錯誤の中で確立されたものです。

さらには、収量制限や選果の徹底といった地道な取り組みも積み重ねられてきました。
ソラリスの収量はフランスの銘醸地と同等、あるいはそれ以上に抑えられており、クオリティにこだわる姿勢が明確です。

こうした地道な積み重ねによる品質の安定や向上が、売上縮小を伴う方針転換にも耐えうる資産となっているのでしょう。

ソラリスの完成度を体感する

そして今回のセミナーで最も印象的だったのは、ディナーとのペアリングを通じて体験した「ソラリス」の完成度です。
単体でもその存在感は堂々たるものが多いのですが、今回料理とともに味わうことでその真価がさらに顔を出したように感じました。

この日提供されたソラリスの中で、印象的だったものをいくつか記しておきます。

ソラリス古酒甲州2013
10年以上密閉タンクにて熟成した甲州。甲州といえば、基本的にはフレッシュで爽やかな香りや、軽やかな飲み心地で、熟成のイメージがあまりない品種でしょう。しかし、11年の熟成を経て生まれた古酒甲州は美しくクリアな黄金色、甘酸っぱさを想像させる芳醇な香り、凝縮感を感じる甘味のあるもので、スパイシーな四川からより複雑な味わいを引き出す役割も果たしてくれます。

ソラリス千曲川カベルネ・ソーヴィニヨン2022
日本でこれだけ本格的なカベルネ・ソーヴィニヨンは数少ないのではないでしょうか。ブドウの熟度を感じられるしっかりとした外観、凝縮感のある味わい、存在感のあるタンニンはしっかりと骨格のあるワインになっています。自宅セラーであと10年くらい取っておきたいと感じるクオリティでした。

“価値を届けるワイナリー”という現在地

セミナーの終盤で長井氏は、「もはや量的には大手ワイナリーではない」と語りました。
実際、現在の生産規模は他の大手と比較すると縮小しています。小諸ワイナリーに至っては十数名規模と、家族経営に近いスケールです。

価値を磨く方向へ舵を切った結果は、現在ハイクオリティな日本ワインを求める愛好家たちから着実な評価を集めることで、その確かさを示しているようです。

みなさまも、ソラリスを通してその真価を体験されてみてはいかがでしょうか。