本文へスキップ

記者会見フル尺動画も掲載!サントリー、マンズワイン、メルシャンの共創が問う日本ワインの未来〜3年間のロードマップと課題〜

Miyuki Isobe5 分
目次
  1. 01ワイナリー軒数500超の時代に、減少する購入者
  2. 023年間で「都市」から「産地」へ。段階的に接点を拡大
  3. 03日本の新酒は、新たな飲み手を呼び込めるか
  4. 04「多様性」に潜む品質格差という課題
  5. 05日本ワインの「価格の壁」をどう越えるか
  6. 063社の共創を、業界全体の動きへ

2026年10月21日、東京・丸の内で開催された日本ワイン共創プロジェクト「Discover, Japan Wine」の発足共同発表会。
サントリー株式会社、マンズワイン株式会社、メルシャン株式会社の3社が企業の垣根を越え、日本ワインの新たな飲み手の拡大に取り組むことを発表しました。

日本ワインの品質は向上し、国内外での評価も高まっています。全国各地に新しいワイナリーが誕生し、産地や品種、スタイルの多様化も進んできました。

しかし、その成長とは裏腹に、国内の日本ワイン市場は伸び悩んでいます。ワイナリーは増えても、飲み手は増えない・・・この問題意識を共有し、3社が新たな施策を打ち出します。

スローガンを「はじめての日本ワインに、たしかな出会いを。」とし、2028年までに、日本ワイン購入者への新規流入を2025年比150%にするという目標を掲げました。

関連記事「新たな飲み手を!」サントリー、マンズワイン、メルシャンが日本ワインの普及へ共同プロジェクト「Discover, Japan Wine」発足!

下記に、メルシャン株式会社 シャトー・メルシャン事業本部 本部長 小林弘憲による、「日本ワイン市場の変化と課題」セミナーと 日本ワイン共創プロジェクト「Discover, Japan Wine」の内容について。また、トークセッション「競争を超えてワインメーカー3社が目指す日本ワインの未来」をテーマとしたトークセッションを収録しています。

CHAPTER 01

ワイナリー軒数500超の時代に、減少する購入者

発表によると、国内のワイナリー数は過去10年間で200以上増加し、2025年には519軒に達しました。輸出数量も、この10年間で約3.5倍に拡大しています。

一方、国内販売数量は2016年頃までの成長期を経て、近年は減少傾向にあります。購入者数も2020年の約305万人から、2025年には約216万人へと減少しました。

造り手は増えているのに、飲み手は増えていない。

3社が共通して挙げたのは、消費者との「接点」の不足です。日本ワインを知る機会がない。どんな味わいなのか分からない。どこで飲めるのか分からない。

品質が向上しても、その魅力が消費者に伝わらなければ、市場の拡大にはつながらない、ということです。

CHAPTER 02

3年間で「都市」から「産地」へ。段階的に接点を拡大

プロジェクトでは、「都市エリア」「飲食店」「産地」の3つの視点から、段階的に取り組みを進めることが発表されました。フェーズごとに整理しましょう。

【第1フェーズとなる2026年は、都市部での接点づくり】

三菱地所主催の「丸の内 日本ワインWeeks 2026」に参加し、飲食店での日本ワインの提供やイベントを通じて、丸の内で働く人々や来街者に「最初の一杯」を届ける。

また、11月には「マンズワインフェスタ勝沼」や「シャトー・メルシャン 勝沼マルシェ」「登美の丘ワイナリー収穫感謝祭」など、各社のワイナリーイベントも開催。

【第2フェーズの2027年は、接点の多様化がテーマ】

柱となるのが、日本の新酒文化の醸成。ボージョレ・ヌーヴォーのように、日本の秋を日本ワインの新酒で祝う習慣を育てていく構想。

さらに、音楽やアート、ウェルネス、旅など、異なるカルチャーとのコラボレーションを通じて、従来のワイン愛好家以外にも接点を広げる。

飲食店で日本ワインの魅力を伝える取り組みも強化し、消費者が気軽に試し、次の一本を選べる環境づくりを目指す。

【第3フェーズとなる2028年は、産地とのつながりを深める】

地元との共生を目指したワインツーリズムなどを通じて、都市部で生まれた関心を産地への訪問につなげ、継続的なファンの創出を目指す。

これらは、3社だけで完結させず、ほかのワイナリーや飲食店、流通関係者にも参加の輪を広げていく考えです。

CHAPTER 03

日本の新酒は、新たな飲み手を呼び込めるか

発表会後、気になった点をいくつか質問しました。

まずは2027年の重点施策である新酒戦略について。ボージョレ・ヌーヴォーの人気が以前ほどではないことや、流通面での難しさについて、メルシャン株式会社の小林氏に伺いました。

小林氏は、新酒を日本ワインとの出会いを生む「呼び水」と位置づけ、まずはイベントやプロモーションを通じて接点を増やしたいと説明。現時点では、新酒の増産目標などは設けていないとのことでした。

新酒をきっかけに、継続的な日本ワインの消費へとつなげられるかが注目です。

CHAPTER 04

「多様性」に潜む品質格差という課題

全国に500を超えるワイナリーが誕生する一方、品質にはばらつきがあることも実状です。もし初めて飲んだ一本が、消費者の期待に届かなければ、日本ワイン全体への印象にも影響しかねません。これでは、せっかくの「はじめての日本ワインに、たしかな出会いを」というスローガンの実現も難しくなってしまうのでは。

そこで、業界を牽引する3社による品質の底上げについて、マンズワイン株式会社の島崎氏に質問しました。

回答では、品質格差への課題認識は共有しているものの、今回のプロジェクトでは消費者との接点づくりに集中する方針が示されました。品質向上は、各ワイナリーや業界団体など、別の枠組みで取り組むべき課題との考えです。

新たな飲み手を増やすことと、期待に応える品質を確保すること。その両立は業界全体に期待されるところでしょう。

CHAPTER 05

日本ワインの「価格の壁」をどう越えるか

日本ワインの普及において、価格も大きな課題です。新規顧客の獲得を目指すなか、「日本ワインは価格が高い」という声をどのように捉えているのでしょうか。

サントリー株式会社宮下氏の回答では、単に価格を下げるのではなく、価格に見合う価値を伝えることの重要性が語られました。

特に印象的だったのは、日本人が自国のワインを誇らしく飲める存在にしていきたいという言葉です。

日本ワインの価値をどう伝え、価格への納得感につなげていくか。今後の取り組みに期待したいところです。

CHAPTER 06

3社の共創を、業界全体の動きへ

競合する3社が、日本ワイン市場全体の課題を共有し、その解決に向けて共に動き出したことは、業界にとって非常に大きなインパクトを与えるものでしょう。

日本ワインの市場を育てていくには、個々のワイナリーの努力だけでは限界があります。だからこそ、豊富な経験や販売網、発信力を持つ3社が手を取り合うことには、大きな意義があります。

ただし、今回のプロジェクトだけですべての課題が解決するわけではありません。

新酒をきっかけにした消費者との出会いは、継続的な購入にどうつなげられるかがポイントでしょう。また、日本ワインの品質や価格に対する理解を、どこまで広げられるか。そして、ほかのワイナリーや飲食店、流通関係者、産地へと、連携の輪を広げていけるか。

今後の3年間で、その真価が問われることになります。

今回のプロジェクトは、日本ワインの未来を業界全体で考え、新たな飲み手との接点を広げていくための、大きな第一歩と言えるでしょう。

この記事を書いた人

MORE STORIESCOLUMN INDEX へ戻る