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過去最多397品が集結!「ジャパンチーズアワード2026」からみる国産チーズの”いま”

Miyuki Isobe5 分
目次
  1. 01107名の審査員が向き合う、397品のチーズ
  2. 02多様化する国産チーズ、技術の進歩も鮮明に
  3. 03グランプリは共同学舎新得農場「さくら」
  4. 04初開催のプロセスチーズコンテストが示した、日本のものづくり
  5. 05コンテストが育む、日本のチーズ文化

2年に一度開催される国産チーズの祭典「ジャパンチーズアワード2026」の表彰式が、10月11日に開催されました。

2014年にスタートし、今回で7回目を迎えた同コンテスト。今年は、全国130工房から過去最多となる397品のナチュラルチーズが出品され、26部門に分かれて品質が競われました。

今年は初出品の工房も19を数え、さらに新たな2部門が加わるなど、国産チーズの裾野の広がりを感じさせる大会となりました。

また、初の「プロセスチーズコンテスト2026」も開催。ナチュラルチーズだけでなく、日々の食卓で親しまれているプロセスチーズにも光が当てられたことは、今回の大きなトピックです。

表彰式会場となった六本木ヒルズアリーナでは、国産ナチュラルチーズのイベント「WA! CHEESE FES」が同時開催されました。

CHAPTER 01

107名の審査員が向き合う、397品のチーズ

ジャパンチーズアワードは、国産ナチュラルチーズの品質向上とブランド化を後押しすることを目的に、NPO法人チーズプロフェッショナル協会(CPA)が主催するコンテストです。

審査に参加したのは、同協会の審査員研修プログラムを修了した95名を中心に、チーズ販売者のゲスト審査員3名、出品工房の造り手によるゲスト審査員6名、海外のチーズコンテストで実績を持つ海外ゲスト審査員3名の計107名。

審査では、出品者や製品名が分からない状態で評価するブラインド方式を採用しています。

チーズは製法などによって26部門に分類され、外観、匂い、味わいの3項目を中心に評価。品質上の問題点を確認する減点方式のベースライン評価に加え、優れた特徴を積極的に見いだす加点評価も行われます。

つまり、単に欠点の少ないチーズを選ぶのではなく、それぞれのチーズが持つ魅力や完成度を丁寧に評価する仕組みです。

坂上あきCPA会長は、冒頭の挨拶にて、審査員たちが長い時間をかけて研鑽を積み、造り手への最大限の敬意を持って審査に臨んでいることを強調しました。

審査は優劣を決めるだけでなく、品質を見つめ直し、造り手の次の挑戦につなげるための機会でもあるようです。

CHAPTER 02

多様化する国産チーズ、技術の進歩も鮮明に

今回の大会では、新たに「ソフトバラエティ部門」と「ホエイブラウンチーズ部門」が設けられました。

出品傾向について、ジャパンチーズアワード実行委員長を務める圓子千春氏は、従来から多いモッツァレラなどのパスタフィラータタイプや白カビタイプに加え、青カビタイプの出品が目立ったと振り返ります。

青カビチーズは製造に高度な技術が求められるカテゴリーです。その出品が増えていることは、新たな製法やスタイルに挑戦する工房の広がりを示しているといえるでしょう。

また、圧搾タイプでは熟成による豊かな風味や各工房の個性が高く評価されました。

バラエティ部門では、日本ならではの食材を取り入れたチーズや、独創的な形状、華やかな装飾を施した製品も登場。造り手の発想力と遊び心が感じられるラインナップとなりました。

こうした多様性は、国産チーズが海外の伝統的なスタイルを学ぶだけでなく、日本独自の表現を模索する段階へと進んでいることを感じさせます。

CHAPTER 03

グランプリは共同学舎新得農場「さくら」

数多くの優れたチーズの中のトップ、今回グランプリに選ばれたのは、農事組合法人共働学舎新得農場の「さくら」でした。

桜の葉の香りとチーズの旨味が調和し、しっとりとしたシルキーな生地が口の中でほどける味わいが評価されました。

最終審査では、「美しい形状やクリーミーな質感に加え、桜の風味がありながらもチーズ自体の味わいがしっかりと感じられる完成度の高さが評価された」といいます。

日本らしい素材の個性と、チーズとしての品質。その両方を兼ね備えた一品が頂点に立ちました。

表彰式では、受賞者が壇上に上がるたびに大きな拍手が送られ、喜びを分かち合う姿が見られました。

特に印象的だったのは、同じ工房が複数の部門で受賞する場面でした。広島県三次市の三良坂フロマージュは3部門で最優秀部門賞を受賞。作り手の松原正典氏が繰り返し壇上に呼ばれるたびに、会場から祝福の声が上がりました。

CHAPTER 04

初開催のプロセスチーズコンテストが示した、日本のものづくり

今年、もう一つ注目されたのが、初開催となった「プロセスチーズコンテスト2026」です。

13品が出品され、CPAの審査員研修プログラムを修了した約100名が評価に参加しました。

ナチュラルチーズの審査との大きな違いは、市販のパッケージを含めて評価することです。

外観、香り、食感、風味、商品コンセプトとの整合性などを100点満点で採点。さらに、パッケージのデザインや開けやすさ、保存のしやすさ、商品の特徴が消費者に伝わるかどうかも評価対象となりました。

日常的に購入されるプロセスチーズだからこそ、味わいだけでなく、使いやすさや商品としての完成度も重視するという考え方です。

最優秀賞に選ばれたのは、森永乳業の「フィラデルフィア 贅沢3層仕立ての濃厚クリーミーチーズ」。

チェダーチーズのコクとクリームチーズのミルキーな風味の調和、三層構造ならではの見た目の美しさに加え、商品の特徴や食べ方を伝えるパッケージも高く評価されました。

坂上会長は、日本のプロセスチーズが栄養価だけでなく、おいしさを追求するメーカーの研究開発によって進化してきたことを紹介。

身近で当たり前のように食べているチーズの背景にも、開発者たちの技術と情熱が積み重ねられていることを、あらためて認識する機会となりました。

CHAPTER 05

コンテストが育む、日本のチーズ文化

表彰式の総評で坂上会長は、ジャパンチーズアワードについて、優れたチーズを選ぶだけのコンテストではないと語りました。

つくり手が互いに刺激を受け、技術を磨き、日本のチーズ文化をともに育てていく場であること。そして、つくり手と消費者をつなぐ役割を担っていることを強調しました。

実際、受賞発表のたびに会場に広がった拍手や笑顔からは、競争を超えた連帯感が伝わってきました。

397品という過去最多の出品数は、国産チーズの広がりを示す数字です。そして、その背景にあるのは、一つひとつの工房が積み重ねてきた試行錯誤と、より良いチーズを造ろうとする情熱にほかなりません。

品質の向上と多様化が進む国産チーズ。その現在地を確かめるとともに、次の進化への期待が高まる、ジャパンチーズアワード2026でした。

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