先月、東京・日本橋で開催された「Artisan Winegrowers NAGANO~長野のテロワールを知る試飲会~2025」。

普段は、全国に足を伸ばし各地域のワインを楽しんでいる日本ワインラバーにとって、都内にいながら「長野」のテロワールを満喫できるまたとない機会。しかも開催告知を読むと、なんと去年の17を超える20もの造り手が東京まで足を運んでくれるとのこと。これは何を置いても駆けつけねばと、いそいそと会場へと向かった(2024年度の様子と試飲できたワインの一部はこちら)。
会場では、昨年同様、各ワイナリーの造り手(Artisan:アルチザン)がそれぞれに、「夏に飲みたいおすすめの1本」を、おすすめ理由と共に紹介してくれていた。本記事では、その一部を、造り手自身の言葉に、本試飲会の司会をつとめた、長野出身でJ.S.Aソムリエ2018ミスワイン準グランプリ 宮坂佳奈さんのコメントを添えて紹介していく。
参加ワイナリー&果樹農家

「スパークリング」編
●Kar ピノグリ 2024 (白泡)750ml / ガクファーム&ワイナリー【松本市】

長野県松本市で2020年に設立されたガレージワイナリー。信州松本平の“この土地らしさ”を最大限に引き出した魅力的なワインをつくろうと、野生酵母による発酵を取り入れながら「無理をしない素直な醸造を心がけている」と、醸造家の古林利明さんは語る。「爽やかな香りのする、このピノグリの泡は夏にぴったりかと思います」(古林さん)「清涼感があって、まさに夏に飲みたいワインですね。色合いがほのかにピンク色なのもかわいい」(宮坂さん)。瓶内二次発酵でつくられ、梨やモモなどの果実味、アフターのピノグリらしいおだやかな苦味も感じられる。爽やかさとオリによる旨みが共存し、サラダやカルパッチョなどの魚介、チキン、ポークをつかった料理など、幅広い食事と合わせて楽しめそうな1本だ。
●エトワール シャルドネ スパークリング 2023(白泡)750ml / IL fait beau【千曲市】

2022年設立のイルフェボーは、長野県千曲市にできた初のワイナリー。右岸と左岸で土壌の異なる千曲川付近に、400~800mの標高差で点在する自社畑からは、千曲のテロワールを表現した個性豊かなぶどうが採れるという。「夏におすすめするのは、当ワイナリーで1番人気のスパークリングです。標高400mの、長野の中でもとってもあたたかい環境で育ったシャルドネを100%利用。完熟した果実の香りやハチミツのような濃厚な味わいが楽しめます。中華やエスニックとの相性も良く、泡でお肉の脂もさっぱりさせてくれるので、食事の最初から最後まで、いろんな料理に合わせて楽しんでもらいたいです」(醸造家 北山博子さん)。「マンゴーのような完熟した香りは、スイートチリソースや手羽先の唐揚げにも合わせても負けなそうですね」(宮坂さん)。「日本ワインコンクール2025」で銅賞も受賞した1本。
「シードル」編
●杜音 おごっそ 辰野シードル ドライ 2024(白泡)375ml / KIRINOKA VINEYARDS&WINERY【上伊那郡辰野町】

秀逸な国産ピノ・ノワールを育てることを目指し、24年秋に設立された信州辰野町初のワイナリー。標高850mの冷涼で雨の少ない気候と水はけの良い土壌を生かしたブドウ栽培を行っている。醸造家は、WSETの資格の中で最も難易度が高いといわれるWSET Level 4 Diplomaを持ち、 2008年に国際ワインコンクール「ジャパン・ワイン・チャレンジ」で見事、最優秀日本人審査員賞を受賞した沼田 実さん。そんな沼田さんが暑すぎる今年の夏にイチオシするのが、爽やかにいただける辛口のシードルだ。瓶内二次発酵でつくられており、きめ細やかな泡が特徴。旨みたっぷりで、和食との相性も良い。「そうめんなどと合わせても良さそうですね」(宮坂さん)「冷たいパスタはもちろん、煮びたしにポン酢ジュレを合わせた一皿などを合わせていただくと爽やかに楽しめるかと思います。そうめんなら、缶詰のみかんを合わせたものと、とっても合うのではないでしょうか」(沼田さん)
「白ワイン」編
●志 Cocorozasi 2023 750ml / ひかるの畑【東御市祢津御堂】

鈴木輝(ひかる)さんは、キリマンジャロ登山中に命を落としかけたことで「生涯追及できる大好きなワインをつくりたい」と長野県東御市に移住。そこから標高760~860mに点在する「ひかるの畑」(計5ha)で品種非公開のぶどうを15種類育てている。すべての品種を合わせたフィールドブレンドのワインも人気で、昨年はリリースから3日ほどで売り切れてしまった。「今回おすすめするのはシャルドネ主体の白ワインです。無濾過、無清澄で、古樽で熟成させています。1年以上もアルコール発酵がつづき、残糖ゼロに近いはずなのに、ほんのりとした甘みを感じられる仕上がりとなりました。ワイン初心者の方にも飲みやすい1本になったかと」(鈴木さん)。「口当たりが柔らか。個人的にはこのほんのりとした甘みが〝あん〟や〝米〟に優しくマッチすると思うので、中華丼などに合わせてみたいですね。中華とワインって意外と相性が良いので」(宮坂さん)
●Nile(ナイル)2023 750ml / ヴィンヤードカラリア【北佐久郡立科町】

生産者は、20年以上にわたる会社員生活にピリオドをうち、2016年にワイン用ブドウ栽培家に転身した中村大祐さん。ワイナリー名のカラリアは『わだち』『みち』を意味するラテン語で、中村さんの今までとこれからの想いが込められている。「立科町産シャルドネ100%使用の『Nile(ナイル)2023』は、しっかり冷やして、友人や仲間とワイワイ楽しく飲んでほしい、フレッシュ感溢れるワインです。無濾過で瓶詰めしており、豊かな果実味、複雑な味わいも感じられるため、血の滴る肉料理とかでなければ、幅広いお料理と合うかと。ワイワイつながりで行けば、ピザなどと合わせていただいても良いでしょう」(中村さん)。「柔らかい飲み口ながら、旨みというか、海っぽさも感じるので、のり塩味のポテトチップスとも合わせてみたいです。フライドポテトなど、じゃがいも料理は相性抜群かと」(宮坂さん)
●レーヴドヴァン シャルドネ樽熟成 2023 750ml / Reve de Vin【信州高山村】

ワイナリーが位置するのが、日本の最も美しい村100選のひとつに選ばれた信州高山村。四季折々の素晴らしい自然に囲まれた環境で、生産者の春日 薫さん、茂木 晃さんは30年ほど前から欧州系品種を中心としたぶどう栽培に取り組んだ。「高山村は国際コンクールで最初に賞をとった国内産シャルドネの産地で、大手ワインメーカーも注目するブドウ栽培地のひとつ。特に23年は非常に天候が良く、果実味の豊かなシャルドネが育ちました。高山産シャルドネの特徴であり魅力でもある酸味もしっかり残っていますし、酸味と果実味、さらに樽のニュアンスがバランス良く楽しめる1本に仕上がりました。インバウンドの観光客にも人気があって、和食はもちろん、お肉に合わせても負けない厚みがあるので、幅広い料理に合わせやすいと思います」(春日さん)。「信州牛のステーキなど、いいですね。暑い夏に、ワサビや塩であっさりとお肉をいただくとき、ぜひ合わせて飲んでみたいです」(宮坂さん)。
●和らぎ シャルドネ マザーバインズ 2020 750ml / 佐藤果樹園【高山村】

代々こだわりをもって、くだもの栽培に励んできた佐藤果樹園。ワイン造りでも、ぶどう栽培を土台に、〝ぶどう本来の香り〟を引き出すことにこだわり、「そこを100%引き出せるのが、強みかと思います」と語る生産者の佐藤さん。「今夏おすすめするのは高山村産シャルドネを使った1本です。シャルドネの香りを重視し、朝4時から7時までに収穫、9時にワイナリーに持ち込みノンストップで醸造しています。冷やした状態だと、レモン、グレープフルーツなどの爽やかな柑橘の香りを、ミネラル感と生き生きとした酸味と共に楽しめて非常にフレッシュな味わいです。ゆっくり飲んで、トロピカルな熟れたフルーツの香り、ナッツなどの香りを楽しんでいただくのも良いでしょう。幅広いシーンや料理に合わせられると思います」(佐藤さん) 「冷えた状態で試飲したのですが、ぜひナスなど合わせてみたいと思いました」(宮坂さん)
●千曲川ワインバレーシリーズ シャルドネ 2023 750ml / のらのらふぁーむ&ワイナリー【東御市】

「日本一小さいワイナリー」と呼ばれることもある、東御市の小規模ワイナリー(旧「はすみふぁーむ」。令和7年4月に商号変更)。「おすすめするのは、千曲川ワインバレーシリーズのシャルドネ。当ワイナリーで、唯一樽で熟成させた白ワインです。日本人の味覚や食卓に合うように、オーク樽の香りを強くはつけず、ほんのりとリッチなトーンに仕上げました。ゆったりと飲んで、時間と共に変化する香りや味わいを楽しんでもらえたら」(醸造責任者 内山貴之さん)。「果実の甘さも感じます。チーズなどを合わせて、ゆったり、ゆっくりいただきたいですね」(宮坂さん)。リッチな樽のトーンと豊かな果実味が溶けあった、近年最高のビンテージだという1本。疲れた一日の終わりに、ご褒美として楽しめる白ワインは常にセラーに潜ませておきたいものだ。
●柿沢シャルドネ ネイキッド 2023 750ml / サンサンワイナリー【塩尻市 柿沢地区】

2015年に設立された、今年で10周年を迎えるワイナリー。ワイナリーのある柿沢は日当たりが良く、昼夜の寒暖差が大きく、そこで育ったシャルドネは国内外のワインコンクールで受賞歴がある。今回紹介いただいた1本も、日本ワインコンクール2025で金賞を受賞した。「〝ネイキッド〟は、『そのまま』とか『ありのまま』という意味ですが、その名の通り、ぶどうそのままを味わってもらえるワインにしたいと思い、あえてシャルドネをステンレスタンクで発酵させました。飲んだときにまるでシャルドネにかじりついたような、凝縮された果実味と酸味が特徴の1本。ホタテのバターソテーやアスパラの天ぷらなどにとてもよく合うかなと思います」(長野エリア事務部アシスタントゼネラルマネージャー 兼 長野エリア人事部長 山本厚一さん)「実際にこちらのワインを、バターを使った白身魚のムニエルを合わせていただいたら、ものすごくマッチして美味しかったです!」(宮坂さん)。
バックヴィンテージ(2020年)はこちら(※紹介した23年は売り切れ済)
●ゼフィール リースリング 2024 750ml / ベリービーズ ワイナリー【塩尻市 桔梗ヶ原】

標高780m、長野県塩尻市桔梗ヶ原の農園でぶどう栽培を行うベリービーズ ワイナリー。にほんのおへそ(ベリーボタン)に位置する塩尻から、輝くビーズの輪のように〝ブドウやワインで人をつなげていきたい〟という思いを込めて2018年に設立された。「約17種類のワインと5種類のシードルをつくっています。この夏いちおしなのが、ゼフィールシリーズのリースリングです。24年ビンテージですが、アルコールのボリュームが豊富で飲み口のアタックも強め。かなりしっかりとしていますので、暑い夏にしっかりと冷やして、太陽の光がさんさんと降り注いでいるシチュエーションで飲んでもらえたら」(醸造責任者 川島和叔さん)。リースリングらしいミネラルも生きた1本。「ゼフィールシリーズはエチケットも素敵で、ジャケ買いしたくなっちゃう可愛さです」(宮坂さん)
●ヴィオニエ 2024 750ml / yoshieヴィンヤード【塩尻市 北熊井】

塩尻市で、2015年に自社畑をスタート。生産者の吉江豊さんは、メルローやカベルネ・ソーヴィニヨン、ソーヴィニヨン・ブランのほか、プティ・ヴェルド、マルスラン、ヴィオニエなどの個性的な品種を育てている。醸造は、前述のサンサンワイナリーやベリービーズワイナリーに委託。「苗木を植え始めて10年ほど経ちます。夏のおすすめワインはヴィオニエです。毎日暑い中、白をすっきり飲んでもらいたいと思い選びました。後味のほろ苦さが味わいを引き締めています」(吉江豊さん)。「ヴィオニエは、香りにアロマティックな華やかさがありつつ、酸もすごくしっかりとしていてミネラル感もあり、夏にぴったりだなぁと。八宝菜と合わせてみたいと思いました。あん系って食欲がないときにも食べやすいですし、ヴィオニエは暑い日にも食欲を引き出してくれるので、ぜひ組み合わせて味わってみてほしいですね」(宮坂さん)
●星降るワイン ブラン 2024 750ml / 八ヶ岳はらむらワイナリー【八ヶ岳西麓エリア】

八ヶ岳の裾野に広がる原村(はらむら)初のワイナリーで、22年10月に設立された。「当ワイナリーの最大の特徴は標高914mの冷涼さだと思います。だからキレイな酸がしっかりと残る。また、黒ブドウの色づきに問題がでるといった温暖化の影響も今のところ出ていません。23年に新たに認定されたばかりの八ヶ岳西麓ワインバレーですが、今後このエリアにも注目いただけたらうれしいです」(醸造責任者 鎌倉宏吉さん)。そんな原村で生まれた、今夏におすすめのワインは? 「フレッシュな酸味を感じられる白のブランを紹介します。シャルドネ8割、ソーヴィニヨン・ブランが2割という、ありそうでないブレンドで、ソーヴィニヨン・ブランの爽やかな香り、シャルドネのリッチな味わいや豊かな風味を併せ持った良いところ取りの仕上がりになり、バランスの良いワインができたかなと」(鎌倉さん)。「香りに広がりがあって、きれいで爽やかな酸味と果実味を感じられます。後味は酸味でさっぱりしているけれど、味わいはしっかりしていて、飲んだときに満足感があります」(宮坂さん)
「ロゼ」編
●ピノ・ノワール ロゼ 2023 750ml / ヴィラデストワイナリー【東御市】

日本のエッセイストであり画家である玉村豊男さんと現代表取締役社長の小西超さんが2003年に設立した東御市初のワイナリー。ここから巣立った生産者が50名超という先駆者的存在で、良質なピノ・ノワールを生産している。「今回おすすめしたいのは自社畑のピノ・ノワールを100%使用したロゼ。味わいは辛口であるものの、イチゴなどのフレッシュでほんのり甘いフルーツの香りがして、全体はやさしい印象に仕上がったかなと。キリッと冷やして、ぜひ明るい時間から楽しんでほしいワインです。合わせる料理ですが、中華料理に、特にエビチリに合うと言われたことがあります」(小西さん)「冷やしたロゼとエビチリ……夏に最高ですね。暑さを吹き飛ばすスッキリ感、本当に夏にぴったりなロゼワインだと思いました」(宮坂さん)
●メルロ ロゼ K.K.edition 2024 750ml /ドメーヌ・コーセイ【塩尻市 片丘地区】
メルロの栽培に適した土地として長野県塩尻市片丘地区にたどり着いた味村興成さんが、2019年に立ち上げたのが、メルロにこだわりぬいたワイナリー「ドメーヌ・コーセイ」だ。「うちではメルロしかつくっていません。とにかく、メルロが好きなんです。ぶどうを植えて10年経ち、いよいよこれからっていうところですね。現在、約10haの畑で約3万本のワインをつくっています」(醸造家 味村さん)。味村さんがおすすめするのは先月リリースしたばかりのロゼワイン。通常リリースするロゼとはスタイルを変えて、樽を使った1本だという。「飲むときに低い温度からスタートすると、はじめはフレッシュ&フルーティな香りがぶわ~っと広がりますが、温度が上がってくると、どんどん樽のニュアンスが出てきます。幅広い料理に、非常に合わせやすい1本です」(味村さん)「絶妙な樽香と、開いてきた果実の香りがマッチして美味しいです。好きな食事と合わせていただきたいですね」(宮坂さん)
「赤ワイン」編
●「Murayori(むらより)2023 」750ml / 信州たかやまワイナリー【上高井郡高山村】

高山村のぶどう栽培者13人が主体となって2016年に設立したワイナリー。「世界に通じる品質」を目指して、高山村産ブドウ100%のワイン造りを行っている。「高山村は水ハケの良い扇状地に広がる地域で、標高差400mにぶどう畑が点在しています。畑ごとに気象状況に大きく違いがあるため、畑ごとに仕込みを行い、最終的に味わい、香り、バランスを見てアッサンブラージュする。そんなプロセスでワイン造りをしているので、どのワインからも高山村産ブドウの多様性を味わえるかなと思います」(醸造責任者の鷹野永一さん) 品種や品種構成 未公開の「Murayori(むらより)2023」は赤ワインでありながら軽やかに仕上げられた1本。「冷やすと渋み、酸味が強調されて、夏の食材と合うので食欲もわくと思います。ぜひ冷やして飲んでください」(鷹野さん)「酸味も果実味もあって、旨みも感じる、まさに夏に飲みたい赤ワイン。湯むきしたトマトなどと合わせてみたいです」(宮坂さん)
●リブラ・ルージュ 2024 750ml /ル・ミリュウ【安曇野市】

2018年に設立された、北アルプス・安曇野ワイン特区第一号のワイナリー。最年少のメンバーは25歳など、若い世代が多く活躍している。ワイナリー名のル・ミリュウとはフランス語で『真ん中』を意味し、食卓の〝真ん中〟に置いてもらえるような身近なワインを、また、心の〝真ん中〟に残るようなワインを造ることを目指している。「今回おすすめするのはリブラ・ルージュ。冷やして飲んでも美味しい、夏にぴったりの赤ワインです。セパージュの品種はメルロー、ピノ、シラー、カベルネ、それとシャルドネです。BBQなど、みんなでワイワイしているシーンで飲んでいただけたら。タレの焼き鳥やうなぎのかば焼きなどにも合うと思います」(醸造家 塩瀬 豪さん)。「シラーのスパイシーさ、清涼感もあって、これは暑い日にぐびぐび飲みたくなっちゃいますね」(宮坂さん)
●ピノノワール2021 750ml / 楠わいなりー【須坂市】

丁寧に栽培されたブドウから高品質なワインを生み出すことで知られる楠ワイナリー。北信州須坂市の、水ハケの良い扇状地「日滝原」で育ったブドウが使われたワインは、2016年に軽井沢で開催されたG7交通大臣会議の歓迎レセプションのワイン(「シャルド2014樽熟成」)としても使われるなど、日本ワインラバーにもファンが多いワイナリーだ。「21年のピノノワールは香りに広がりがあって、口の中でしがむと、香りが変わる複雑さがあります。当ワイナリーのピノの特徴である旨みやスパイス感が豊かに感じられるエレガントなワインになっているかと。瓶熟によって、香りと味わいが一層複雑になります」(代表取締役、醸造家、ブドウ栽培家 楠 茂幸さん)。「この広がりを楽しむためにも、ゆっくりといただきたい美味しいピノノワール」(宮坂さん)。
●編(とじいと)2023 750ml / ヴァン ヴィ【下伊那郡松川町】

「今日のイベントに参加のワイナリーの中で、一番南の長野エリアから来ました」と語るのは醸造家の竹村剛さん。りんごを代表とする果樹栽培が盛んな、長野県松川町南信州(南信地区)にあるワイナリーで、日本アルプスの山々に囲まれた自然豊かな環境でシードルとワインをつくっている。「夏におすすめする赤ワイン『編』は、南信州・自社畑産のシラー、メルロー、カベルネ・フランと、安曇野市産のカベルネ・フランをブレンドした優しい味わいの1本です。合わせる料理としては、ラムなどによく合うかなと思います」(竹村さん)。黒い果実にほんのりと効いたスパイスの香り、シルキーなタンニンが感じられる。「確かにラムに、すごく合いそうです。個人的に、凄く好きな味わいの赤ワイン。夏、スタミナが足りないときにラムと合わせて飲みたいと思いました」(宮坂さん)
●ワイン 2023 750ml / バルダー果樹園【上田市】

上田市と東御市でブドウとリンゴを栽培するバルダー果樹園が何よりも重視しているのが、「最大最高の香りがする果実」をとること。「種を歯で割っても未熟なニュアンスが一切ない、種や皮まで完成された果実をとって、そのまま果実酒にすることで、強いだけでなく複雑な、最大最高の香りを生み出しています。そうすることで、食事とワインを合わせたときに、喉の奥からあがってくる香りが最大化され、ワインと食事を合わせたときの美味しさも最大化することができるんです。これからも、ワインを飲んだことがない人も『飲んでみたい』と思えるような、そういうインパクトある香りをつくれたら」(栽培醸造家 太田匠さん)。おすすめは、今バルダー果樹園が発売しているワインの中で一番香りが良いという「ワイン 2023」。いろんな料理に合わせやすいのが魅力だという。では今夏、合わせるなら…?「カツオのタタキなどに合わせてみたいなと思いました」(宮坂さん)。
●キュベ鼓動“朱”2023 750ml / 111VINEYARD

「111VINEYARD」は前述したベリービーズ ワイナリーの醸造責任者 川島和叔さんが個人の畑のブドウからつくったワインを販売するプライベートブランド。畑はベリービーズと同じく塩尻市に位置し、年間約1500本の生産量。今回おすすめいただいたのは、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルローをブレンドし、フレンチオーク新樽で15ヶ⽉熟成させた1本だ。「バニラ、キャラメル、ココナッツの香りのあとに、ドライプルーンなどの凝縮したフルーツ⾹。そして樽⾹に隠れてすみれの⾹りもするかと。タンニンの渋めはマイルドでフルーティな味わい、うまみもあると思います。例えば、夜、お仕事終わりに疲れ切った体を癒したいときなどに、飲んでいただくといいんじゃないかなという赤です」(川島さん)。「確かに、疲れ切った体に染み入るような味わいですね。とっても美味しい。スモーク感のあるチーズなどと合いそうです」(宮坂さん)。
美味しいワインで「暑い夏」を美味しく乗り切る

きりっと冷やして飲みたい泡にロゼ、肉料理に合わせたいリッチな白、夏にぴったりの軽やかな赤、疲れた夜に自分を労わるようにゆったりと飲みたい濃厚な赤など……異例の暑さにすっかりまいった身体と舌に優しく労わるように染み入ってきて、どれも、今から残暑にかけて、ぜひ多くの方に味わってほしいワインばかりだった。
ひとりで楽しむも良し、エリア別で何本か購入して「長野のテロワールを探るワイン会」を友人と開催しても楽しそうだ。既に3本以下など、残りわずかとなっているワインもあるので、気になったワインがあれば売り切れる前に早めにチェックしてほしい。
アルバム(イベントの様子)
最後に、イベントの様子を一部、写真でお届けする。









「ああ、なんて美味しいワインなんだ!」そう思ったときに、その喜びや感激をそのまま造り手に伝えられる、そんな最高に楽しいひとときを、日本ワインラバーたちは存分に満喫したように見えた。
ワインと、造り手と、そして同じく日本ワインを愛する人たちと、多くの幸せな出会いに心が満ちた夜、ぜひ来年は & 来年「も」、本試飲会が開催されるなら、全員がこの場で会えたらなぁと思う。
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その前に、まずは美味しい長野ワインでこの「暑すぎる夏」を、残暑を、乗り切っていきましょう。
まだ続きそうな、それぞれの美味しい夏に乾杯!
会場:日本橋プラザビル3階「日本橋プラザ」
参考 Artisan Winegrowers NAGANO 2025 〜長野のテロワールを知る試飲会〜
イベント撮影=NORIZO
構成・文=浅田よわ美

