ワイナリーへの旅はワイン好きはもちろん、そうじゃなくてもそれぞれの土地ならではの自然を楽しめる大人の社会科見学のようで楽しいですよね。
それゆえ、醸造所も畑も、車がないとなかなかたどり着けない場所にあることが多いです。
この場合のドライバーじゃんけんは、絶対に負けられない戦いになります。テイスティングはワイナリー見学の醍醐味ですからね。

そんなドライバー問題とは無縁、参加者みんなで思い切り楽しめるワイナリーとしておすすめなのが、今もっとも注目のワイン産地のひとつ、新潟県の角田浜に広がる「新潟ワインコースト」。
ここにはなんと、すべて歩いて行ける距離に5軒ものワイナリーが集まっているのです。
そんな魅力的な人気スポット、新潟ワインコーストについてご案内していきたいと思います。

新潟ワインコーストとは?

新潟市街地の南西部、車で30分ほどの日本海に広がる海岸地帯に位置し、この海の砂のような土壌で多くの欧州系の品種が栽培されています。
もっとも特徴的なのはアルバリーニョ。
この品種は、世界ではスペインのガリシア地方リアス・バイシャスのものが有名ですが、リアス式海岸で水はけの良い砂地土壌、年間降雨量も同程度であり、比較的環境が似ていることなどからその可能性を感じ、2005年にこの地でアルバリーニョの栽培が始まりました。
そして、今では新潟ワインコーストを代表する品種となっています。

それ以外にも多くの品種が栽培されていますが、シャルドネ、ピノノワール、カベルネフラン等、主にはみなさんがよく知っている欧州系品種から上質なワインが造られています。

5軒の個性的なワイナリー

このエリアには、5軒のワイナリーがそれぞれ個性際立つ美味しいワインを造っています。
各ワイナリーをご紹介いたします。

【カーブドッチワイナリー】
https://www.docci.com/

宿泊施設やレストランを持つ大規模なワイナリー。
醸造設備はもちろん、雰囲気のある地下カーブも見応えがあります。
ここでは、ワイワイとカジュアルに楽しめるファンピーシリーズ、各品種の特徴を楽しめるどうぶつシリーズ、サブルやBijouなどハイエンドなタイプ等々、あらゆるシチュエーションに対応できる多くのワインが造られています。
また、売店ではそれらのワインはもちろん、ワインに合うおつまみや天然酵母を使った焼き立てパン、地元の新鮮なお野菜が並んでおり、爆買い必至です。
宿泊施設は、ラグジュアリーな滞在ができる「トラヴィーニュ」と気軽にワインと温泉と本が楽しめ、何時間でも滞在したくなる「ヴィネスパ」の二つがあります。これがまた本当に素敵すぎるので、【後編】にてじっくりとご紹介したいと思います!

地下カーブ
掛川さんとのテイスティング
地下カーヴ

【フェルミエ】
https://fermier.jp/

アルバリーニョといえばフェルミエ!というワインラバーも多いかもしれませんね。
併設されているレストランも人気です。
目の前に広がるブドウ畑を見ながら、ランチコースをワインペアリングでいただくのがおすすめです!
私がお邪魔した日のペアリングワインは、アルバリーニョ2種(ステンレス、樽熟成)やカベルネフランなどの豪華なラインナップで、美しい春のお料理と一緒に堪能させていただきました。

最後、お会計時にレジ横にかわいいボトルを発見しました。
人気のアルバリーニョを醸造する過程で出た香り成分を使って造られた、アルバリーニョミストだそう。
これはワイン好きにはもちろん、アルコールを飲まない方へのお土産に良いかも。

畑を眺めながらのアルバリーニョ
カベルネフランも出てくるなんて贅沢!
アルバリーニョのミスト

 

【ドメーヌ・ショオ】
http://domainechaud.net/

生物資源学(農学)や地球環境科学などを学び、微生物学を専門に生命共存科学で博士号を取得している醸造家小林さんのワイナリー。
土からこだわり、できる限り自然に寄り添って造られるというワインは、とてもナチュラルな旨味を楽しめるものが多いです。
個人的に最もお気に入りの「Let me show you」(白)の最新ヴィンテージをテイスティングさせていただきましたが、クリーンでありつつ旨味のコクが長く感じられ、とてもバランスの良い感激の一杯でした。

そして最も驚いたのが、なんと醸造所内にボルダリングジム!!!

「ホールド(掴んだり足を乗せたりするところ)はブドウ、ルートは醸造」とワイン造りをボルダリングに例えてお話くださいました。
粗悪なホールド(ダメなブドウ)だと出来る醸造が限られるし、良いホールド(よいブドウ)だと素晴らしいワインが出来る。また、ホールドに顔があるように、ブドウにも個性がある。そしてそれらを、こう表現したい、こう造り上げたい、とするのがルートセッターの役割だそう。
ボルダリングが趣味の私としては、とてもわかりやすい例えだなと感心しましたが、みなさまいかがでしょう。

次回は絶対シューズ持参してお邪魔しよう。

小林さんとのテイスティング
ワインとボルダリングを語る小林さん
こちらで熟成されてます


【カンティーナ・ジーオセット】
http://ziosetto.com/winery/

1.0ヘクタールの自社管理圃場に、ツヴァイゲルト、ネッビオーロ、バルベラ、ランブルスコ、カベルネ・ソーヴィニョンの5種、赤ワイン用の品種が栽培されています。
広告業界ご出身の創業者瀬戸氏は、カーブドッチワイナリーにて栽培と醸造を一から修業され、2011年にこちらのワイナリーを設立されたそうです。

ワインのラインナップは、イタリア系が多め。
食を喜ぶ国イタリア同様、日本も世界に誇れる食材豊かな国であることから、食事に寄り添う優しいワインを造っていらっしゃるとのこと。
たしかに、先日いただいた瀬戸さんの新酒は、活き活きとした酸が食欲をそそり、味わいは軽快で爽やか。チキンのトマト煮なんかと相性が良さそうです。

新酒はサイン入り!
見た目もイタリアの雰囲気です

 

【ルサンクワイナリー】
https://lecinqwinery.com/

新潟ワインコーストの中で5番目に設立されたワイナリーということで、「ルサンク」とのこと。
トラディショナルでエレガントなワイン造りをモットーに取り組まれているそうです。
醸造家阿部さんの真面目で誠実そうなお人柄からも、そのようなワイン造りを実現されていらっしゃるのが伝わってきます。
実際にテイスティングもさせていただきました。
自社畑100%のピノノワールはファーストヴィンテージだそう。スワリングするとドライフラワーのような華やかな香りが満ち、味わいには熟成感も楽しめるとても上品なワインだと感じました。美味しかった!
セイベルの白ワインは宝塚大劇場の公演ドリンクとして採用されていた実績も。

統一感のあるセンスのよいエチケットも素敵ですね。

阿部さんとのテイスティング
お洒落に並んでいます
いろんな種類の樽を見せていただきました

 

以上5軒のワイナリー、同じエリアにありながらもそれぞれに個性があり、巡っていてとても面白いです。

地図はこちら。この距離!
各ワイナリーとの距離はどこもだいたい徒歩5分程度でした。
目の前に、別の醸造所見えてたりします。

http://www.docci.com/wp/wp-content/uploads/2020/07/winecoast_map.pdf

新潟駅⇔カーブドッチの送迎バス

5軒のワイナリーがいっぺんにまわれるのはわかったけれど、そこまでの足は?

嬉しいことに、カーブドッチの無料送迎バスが用意されています。
事前の予約が必要ですので、新幹線の時間が決まったら忘れずに予約しましょう!

そして、新潟はワインだけじゃなく日本酒も美味しいですよね。
新潟駅には、たくさんの地酒が楽しめる「ぽんしゅ館」もありますので、帰りに立ち寄るのがおすすめ。
日本酒以外も、新潟限定各種柿ピー、コシヒカリ、安田牛乳などメジャーな新潟土産もここで揃います。

SNSで人気の「小竹の笹だんごパン」もタイミング良ければ出会えます。一人三個まで。

 

[午前便]
「新潟駅南口発|9:30」⇒「内野駅発|10:00(平日のみ)」⇒「カーブドッチ着|10:20」
「カーブドッチ発|11:00」⇒「新潟駅南口着|11:50」

[午後便]
「新潟駅南口発|13:30」⇒「カーブドッチ着|14:20」
「カーブドッチ発|16:00」⇒「内野駅発|16:30(平日のみ)」⇒「新潟駅南口着|16:50」

※2022年3月現在。実際に訪問の際は、カーブドッチHP等にて最新の情報をご確認ください。

また、ワイン以外に温泉も楽しみたい!!
という方は、空港や新潟駅、岩室温泉、弥彦温泉などにアクセス可能な乗り合いタクシー「新潟ウエストコーストライナー」を利用する手も。
こちらも事前予約制です。

【新潟ウエストコーストライナー】
https://www.niigatawestcoast.jp/liner

 

新幹線と宿(トラヴィーニュがおすすめ!)の手配さえすれば、あとはみんなで存分にワインも日本酒も楽しめる新潟への旅。
車の運転ができるできない、ワイン派、日本酒派とかぜーんぶ関係なしに、仲良しさんと気軽に計画されてはいかがでしょうか。

 

新潟ワインコースト
https://www.docci.com/winecoast/

【後編はオーベルジュ『トラヴィーニュ』への宿泊レポートです】
https://nihonwine.jp/enjoy-wine-life/niigatawinecoast-travel-2/

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