山梨県といえば、日本最大のワイン産地なことは言うまでもありません。
そのため、葡萄の生産量も日本一。その他には、桃やさくらんぼなどの果物も有名です。

しかし、山梨県で良質なオリーブが生産されていることはご存知ですか。
オリーブというと、イタリアやスペイン、日本だと小豆島はじめ瀬戸内地方などの比較的温暖な地域が産地という印象ですが、実は山梨県でもクオリティの高いオイルが生産されています。その軒数もこの数年で少しずつ増加してきています。

その牽引役ともなった、笛吹市にある「笛吹オリーブオイル前田屋」では、約4,500坪の畑におよそ500本のオリーブの木が栽培されています。それぞれ特徴の違った品種約10種類前後の取り扱い。
代表の前田啓介(まえだけいすけ)氏にお話を伺いました。

なぜ山梨でオリーブオイルを作ることに挑戦しようとしたのか、品種ごとの特徴は?熟度の違いや製造工程についてなど語っていただいています。

山梨県でオリーブオイルを作るということ

オリーブの実から製造できるオイルは10%!つまり100kg収穫してもたった10リットルのオイルしかできないということです。
この時点ですでに良質なオリーブオイルの高価さに納得してしまいます。

繰り返しになりますが、オリーブの産地というと、暖かいところだとスペインやギリシャ、比較的寒冷地だとイタリアのトスカーナなどが有名です。定説ではマイナス10度を下回る寒冷地では、オリーブは育たないとか。
笛吹市、冬は結構寒くなります。実際に前田氏が栽培を初めた頃は、寒さで苗が枯れてしまったりご苦労された経験もおありとのこと。
しかし、無事成木に育てることができれば、あとは寒冷地ゆえに虫が少ないことや、炭疽病にも罹りにくい等栽培しやすいという利点があるそうです。

ワインと似てる?オリーブオイルの製造工程

搾油所はなんとなくワインの醸造所と似た雰囲気。
大まかな工程は下記のとおり。

クラッシュ(種ごと砕く)→マラキサー(練り込むことで油が出やすくなる)→遠心分離機(水分、オイル、残渣にわける)→プレス濾過

やはりワイン造りと少し似ています。
これらを30度以下の環境で行うことをコールドプレス製法と呼び、エクストラバージンオリーブオイルの製法の世界的な基準のひとつとなっているそうです。
ちなみに、この濾過を行わないものをノヴェッロとしていますが、賞味期限はたった2週間!大変貴重ですね。

前田氏のオリーブオイルが良質な理由

収穫は全て手摘み。
手袋をして丁寧に収穫します。
海外の大規模農場などでは、地面に網を敷いて機械で実を落とすやり方も多くみられますが、前田氏は「ブドウと同様にオリーブの果皮にはポリフェノールが付いており、それを洗わずに大事に使いたい。」と話します。
そのため、もし手摘みの最中に地面に落としてしまった場合、土に含まれる大腸菌などが付着するリスクがあるため、落ちたものは絶対に拾わない、使用しないという徹底ぶり。

国際基準に厳格に沿った作り。
実はオリーブオイルには、明確な国際基準が存在します。
生産国の約97%が所属するスペインに本部を置くオリーブ業界における唯一の世界的機関、IOC(International  Olive Council)は、酸度0.8%以下のものしかエクストラバージンオリーブオイルと認めておりません

日本はオリーブオイル消費量がとても多く、バラエティ豊かな商品が流通していますが、IOC加盟国ではないため全ての商品にその基準が遵守されているかどうかは残念ながら不明。
前田氏は、自身も専門のオリーブオイル鑑定士の資格を保有し、この酸度の値についても厳格に運営しています。

さいごに

一般の愛好家はもちろん、日本全国から良質な国産オリーブオイルを求めるプロフェッショナルからのラブコールの絶えない前田氏のオイル。
取材の際には、こだわりの山梨県産食材と日本ワインによる「奥・山梨料理」が楽しめるRestaurant SAIの豊島シェフが収穫に参加する姿も。

まもなく2024年秋収穫のフレッシュなオリーブオイルがリリースされます。
良質な山梨県産オリーブオイルはとても貴重。気になる方は、要チェックです!

【前田氏のオリーブオイルはこちらから購入できます】
笛吹オリーブオイル前田屋

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前田氏のオリーブオイルを使用した、豊島シェフの素晴らしいお料理と日本ワインをペアリングしています。
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