2025年4月15日(火)に日本で初開催された世界的なワインアワード「Star Wine List of the Year Awards of Japan 2025(スター・ワインリスト・オブ・ザ・イヤー・アワード・ジャパン)」。

同アワードにおいて、新人リスト部門で金賞、さらに日本ワインリスト部門、ショートリスト部門でも、それぞれ銀賞を受賞したのが、アルパインリゾートホテル「ホテル ラ ヴィーニュ 白馬 by 温故知新 ※以下、ホテル ラ ヴィーニュ 白馬」併設のレストラン「LA VIGNE DINING FÛDO(ラ ヴィーニュ ダイニング フウド)」です。

「ホテル ラ ヴィーニュ 白馬」、そして「ラ ヴィーニュ ダイニング フウド」は日本ワインファンであれば必ず知っておきたい場所。

今回、同ホテルの支配人 清水潔氏とワインコンシェルジュ吉田浩之氏にホテルについて、さらにワインリストへのこだわりをお聞きしました。

ポテンシャルの高さを感じていた

「ホテル ラ ヴィーニュ 白馬」は、長野県北安曇郡白馬村に位置する全38室のホテルコンドミニアム。

全38室すべてが角部屋でマウンテンビューを誇る、株式会社温故知新が手がけるホテルです。

「私たち温故知新は、“地域の光”となることを精神としています。『ホテル ラ ヴィーニュ 白馬』も白馬の魅力をお客さまに知ってほしい、届けたいという想いで運営されているホテルです。」

そう語るのは、同ホテルの支配人の清水潔氏。

温故知新は全国各地で旅の目的地となる宿・施設をプロデュースする企業ですが、なぜ白馬の地でホテル運営をスタートさせたのでしょうか。

「ホテル ラ ヴィーニュ 白馬」が長野県白馬村にオープンしたのは2024年12月19日ですが、その1年ほど前、この白馬で温故知新らしさを打ち出したホテルを運営してほしいと声をかけられたと言います。

「同社の代表取締役である松山は何年も前から白馬を訪れており、そのポテンシャルの高さに注目していました。私自身は長野県出身であり、もともと白馬の四季の美しさなどポテンシャルが高い場所だと感じていたんです。“この場所であれば、素晴らしいホテルが運営できる”。そういった想いから白馬に、『ホテル ラ ヴィーニュ 白馬』を誕生させました。」

スノーリゾートとしてのイメージが強い白馬ですが、新緑の木々の美しさや夏の力強さ、秋の紅葉の美しさなど、四季を通じて魅力を感じさせるポテンシャルの高さこそが、『ホテル ラ ヴィーニュ 白馬』をオープンさせた決め手だったとことです。

「ブドウの木」を意味するホテル名

「ホテル ラ ヴィーニュ 白馬」の名である、「ラ ヴィーニュ(la vigne)」はフランス語で、で「ブドウの木」を意味するとのこと。

その理由を清水氏にお聞きしました。

「ブドウの木は、その土地の特色、テローワルを吸収して実になる果物です。温故知新としてもブドウの木のように地域の色、味を吸収しながら実にしたいといった想いなどから、『ラ ヴィーニュ(ブドウの木)』と名付けました。また、代表の松山も私も大のワイン好きなんです。」

同ホテルのグランドオープンに先立ち開催されたオープニングセレモニーでは、ホテル名にちなみ通常のテープカットに代えて、長野県内の良質なワイン産地である信州ワインバレーの5地域から採取した土をメルローとシャルドネの苗木にかぶせる特別なパフォーマンスを開催したとのこと。

「ホテル名にちなんだ、特別なセレモニーができないかと考えていたんです。“”白馬の地で日本ワインに力を入れているホテル”であることからも、信州ワインバレーから採取した土などを絡ませたオープニングセレモニーとなりました。ブドウの木は成長するまで3年かかると言われています。ホテルとしてもその年月をかけて苗木と一緒に成長していきたい、そんな想いもありました。」

「ラ ヴィーニュ ダイニング フウド」について

「ホテル ラ ヴィーニュ 白馬」に併設するレストランが、「ラ ヴィーニュ ダイニング フウド」。

日本ワインにこだわる、注目のレストランです。

「ラ ヴィーニュ ダイニング フウド」について、「ホテル ラ ヴィーニュ 白馬」のワインコンシェルジュ吉田浩之氏にお聞きしました。

「『ラ ヴィーニュ ダイニング フウド』は、“風土”の名の通り、長野県周辺の風土をいかしたフランス料理を基本とするレストランです。鉄板も備えているため、フランス料理と鉄板料理を軸としています。」

同レストランでは2025年4月に、ラギオールの3ツ星ミシェル・ブラスやフランスの名店で腕を奮っていた今西シェフを新料理長として迎えており、同氏の手がけるフレンチと日本ワインで展開しているとのことです。

「料理は、一皿一皿に白馬を含め長野県の、“風土”を盛り込んだプレートをご用意しています。例えば、オマール海老のプレートであっても安曇野野菜を添えるなど、長野県の風土を盛り込んだひと工夫ほどこした料理をお楽しみいただけます。」

日本ワインへのこだわり

「ラ ヴィーニュ ダイニング フウド」では、1,000本以上をコレクション。

ここまで日本ワインを揃えるレストランは多くありません。

「“1,000本以上の日本ワイン”と言いますか、そもそも日本ワインしか揃えていないんです。フランスやイタリア、スペインなど、輸入ワインは1本もありません。このコンセプトで開業からひと冬を越えましたがお客さまにも好評ですし、海外からのお客さまにも日本の文化に触れてもらえており手応えを感じております。」

フレンチの世界に30年以上身を置き、北海道洞爺湖サミットで首脳をもてなした経験を持つ吉田氏。

まだ、日本ワインが今のように注目されていない頃から多くのワイナリーと関わってきたといいます。

「私自身、30年以上日本ワインを扱ってきました。今や、“重鎮”と呼ばれるワイナリーとのお付き合いも長く、温故知新の名の通り古くから素晴らしいワインをつくり続けているワイナリーのワインも多くワインリストにラインナップさせています。もちろん、そういったワイナリーから育ち独立した新進気鋭のワイナリーのワインも揃えており、それらを融和させたワインリストにこだわっていますね。」

吉田氏曰く、日本ワインを愛する古参ファンから新しく日本ワインの魅力に気がついた方まで、どんな方でも喜んでもらえるワインリストになっているとのこと。

また、揃えるワインの産地にもこだわりが。

「ワインは長野県産に力を入れているものの、長野、北海道、山梨、山形など生産量の多い4県を中心に北海道から九州まで幅広くラインナップさせています。」と、吉田氏。

どこかの産地だけが突出しているわけではない、バランスの良いワインリストになっているとのことです。

スター・ワインリストについて

2025年4月15日(火)、ワインリストのミシュランと称されるガイド「スター・ワインリスト」が、日本で初となるワインアワード「Star Wine List of the Year Awards of Japan 2025(スター・ワインリスト・オブ・ザ・イヤー・アワード・ジャパン)」を開催しました。

同ワインアワードにて、「ラ ヴィーニュ ダイニング フウド」は新人リスト部門(Best Newcomer List)で金賞を受賞。

さらに、日本ワインリスト部門、ショートリスト部門でも、それぞれ銀賞を受賞しました。

「今回、スターワインリストが日本で開催されると聞き、そこに、『ベスト日本ワインリスト』といったカテゴリがあったため応募したんです。日本ワインしか扱っていないからこそ、それを武器にリストを提出したかたちです。それが今回、新人リスト部門で金賞、日本ワインリスト部門、ショートリスト部門で銀賞を受賞するといった結果となりました。」

今回、審査員から、“まるで日本地図を見ているかのようなワインリスト”と評価されたとのこと。

「今注目されているワイナリーをリストアップしただけでなく、ブドウ品種を日本固有のものからヨーロッパ品種、山ブドウに至る前で幅広く提出したことも評価された理由ではないかと考えています。」と吉田氏。

また、“山梨ワインには強いが北海道は少ない”、“長野県は豊富だが他県のワインはほとんどない”といったレストランも多い中、それぞれの県を代表するワイナリーを揃えることでお客さまの、“このワインを飲んでみたい”というニーズに応えられるワインリストになっているところも評価されたポイントかもしれないとのことです。

「受賞したばかりですが、海外のお客さまや同業のソムリエなどには声をかけられました。レストランの入口に賞状を飾ってありますので、お話のきっかけになればと考えております。」

“おすすめの滞在プラン”を日本ワインファンへ提案

清水氏、吉田氏に日本ワインファンへ向けた「ホテル ラ ヴィーニュ 白馬」での滞在方法についてお聞きしました。

「どのお部屋もおすすめですが、4名様であればジュニアスイートのお部屋がおすすめです。白馬山々がよく見えるお部屋で、雄大な北アルプスを目の前に贅沢な時間を過ごすことができます。」と清水氏。

また、お部屋でも日本ワインを楽しむことができるため、窓から北アルプスの景色を見ながらゆったりと日本ワインを片手に楽しむことができるとのことです。

「日本ワインだけでなく、『ホテル ラ ヴィーニュ 白馬』ではチーズも全て日本産を揃えています。酪農家が作るチーズを集めており、その日本のチーズや手作りのパン、日本ワインを楽しみながら白馬の景色を楽しんでほしいですね。」

さらに吉田氏から、今後取り組もうとしているプランもお話いただきました。

「ワインペアリングやグラスワインの種類を増やす、アイテム数を増やすといったことだけでなく、今力を入れているのがお客さまが望まれるだけ日本ワインをお飲みいただける取り組みです。“もう少しこのワインを試したい”、“先ほどの料理に別のワインを試してみたい”など、日本ワインを自由に楽しみながらソムリエやスタッフと会話を楽しんでいただく。まるで、“小さなワイン会”のような空間を演出することで、お客さまとの楽しい会話が生まれる風土を根付いていきたいです。」

まとめ

白馬は、北に北アルプス、川あり湖あり、海までも1時間でアクセスできる日本屈指のリゾート地です。

「午前中は海へと出かけて海の幸を楽しむ。午後には白馬に入り、森林浴やトレッキング、山を愛でるといったお客さまも少なくありません。白馬は季節を問わず、楽しめる場所です。」と吉田氏。

「スター・ワインリスト」も高く評価する、日本ワインを楽しめるレストラン「ラ ヴィーニュ ダイニング フウド」。

ぜひ、四季折々の白馬の景色と長野県の風土を感じられるフレンチ、日本ワインを堪能しに、「ホテル ラ ヴィーニュ 白馬」を訪れてみては。

参考

■プロフィール

★支配人 清水 潔(しみず きよし)


長野県出身。2019年に株式会社温故知新へ入社後、箱根をはじめ複数施設でマネージャーを歴任。その後、岡山県の「KEIRIN HOTEL 10」にて総支配人補佐を務め、現在、2024年12月開業「ホテル ラ ヴィーニュ白馬」支配人に就任。

★ワインコンシェルジュ 吉田 浩之(よしだ ひろゆき)


山形県出身。蓼科高原のホテルでワインや接客サービスの修行を重ねた後、長野県白馬村「白馬リゾートホテル ラ ネージュ東館」で約30年レストランマネージャーとして従事。
フランス料理と日本ワインのマリアージュの魅力に気付き、全国各地のワイナリーとのご縁を重ね、2008年には北海道洞爺湖で開催された「第34回主要国首脳会議」で、提供する国産ワインの選定とサービスを担う。また現在、GI長野のワインの味覚を審査する官能審査委員の一員として活動中。

★料理長 今西 大和(いまにし やまと)


高知県出身。エコール辻大阪校を主席で卒業後、20歳で渡仏。ライオール村の三つ星レストラン「Michel Bras」から修行をはじめ、「Le Chateaubriand」などパリの名店で部門シェフを務める。特に「Le Chateaubriand」在籍中には、「The World’s 50 Best Restaurants」で9位に躍進。帰国後、神戸の店舗をはじめ、複数の店舗でシェフを歴任。2025年4月より「LA VIGNE DINING FÛDO」の料理長に就任。

参考

◆ホテル ラ ヴィーニュ 白馬 by 温故知新(LA VIGNE HAKUBA by Onko Chishin)

・公式サイト: https://lavigne.by-onko-chishin.com

・Instagram:https://www.instagram.com/hotel_lavigne_hakuba

◆LA VIGNE DINING FÛDO(ラ ヴィーニュ ダイニング フウド)

<概要>

・営業時間:18:00~22:00(LO. 21:00)

 ディナーコース2部制:18:00~、19:30~(コースは2日前までの完全予約制)

 ディナーアラカルト2部制:19:00~、20:00~(ご予約は、当日の17時まで)

・個室:2室(定員6名)

ご予約

https://www.tablecheck.com/ja/la-vigne-dining-fudo/reserve/message