日本ワイン.jpをご覧のみなさまには、きっと「甲州」マニアも多いことでしょう。
2024年に香港にて開催されたコンテスト「和酒アワード」で最高峰のプラチナに輝いた唯一つの甲州は、駒園ヴィンヤードの「Cru Nishino Koshu」でした。
爽やかな柑橘アロマが香り、クリアで綺麗な酸が印象的な甲州は、東アジアの一線で活躍するソムリエや業界関係者の審査員たちに感動をもたらした一本です。
どのようなこだわりが、その感動の甲州を生み出したのか、その秘密を探るべく代表の近藤 修通(こんどう のぶゆき)氏にインタビューしました。
駒園ヴィンヤード、どんなワイナリー?
駒園ヴィンヤードは、山梨県塩山市に位置し、小規模ながらも今年73年目を迎えるワイナリーです。
同じ山梨県内でも、勝沼と比べると比較的平らな地域。
戦国武将武田信玄公の菩提寺である恵林寺をはじめ、向嶽寺を開山した抜隊禅師の発見と伝わる「塩山温泉郷」、臨済宗向嶽寺派の大本山「塩山向嶽寺」、甲斐源氏・加賀美遠光の四男 光経と五男 光俊の屋敷である「於曽屋敷」などの史跡が多く残り、また景観も美しいところです。
駒園ヴィンヤードでは、標高280〜460mにある「駒園圃場」「川窪圃場」「西野圃場」と3つの畑を所有し、合わせて約2hの畑を極少人数で管理しています。
「駒園」では甲州を、「川窪」と「西野」では、ピノ・ノワール、ビジュノワール、シラーなどの欧州品種も栽培しています。
ビオロジック相当でのブドウ栽培
駒園の圃場を見せていただきました。
この辺りは、日本三大急流のひとつ富士川からの支流である笛吹川が近くにあり、昔からよく氾濫していたため、本土壌の3mくらいはそれら川の砂が堆積しており、水捌けがよいそう。
一方で粘土質土壌などと比較すると、苗木の成長スピードがゆっくりめ。しかしながら、それは樹幹を広げた育て方をしなくてもしっかりと実がつくというメリットにも繋がるそうです。
すべて棚栽培。2015-6年の冬剪定の際に、それまで長梢X字だったものを短梢に切り替え、新しく植えた畑も短梢H字やWH字にしている。そうすることで、ブドウの収量は落ちるが、凝縮感が高まりよりクオリティの高いワインができると近藤氏は話します。
お邪魔した際は、春の雑草が少しずつ生えてきたところです。
雑草早生による有機栽培をしています。
畑で一際目を引いたのは、80年の古木。
前身の五味葡萄酒創業前から生食用として栽培されていた甲州ですが、現在は現役でワインの原料となっています。
そして、その枝を苗木屋さんで台木に接いでもらい栽培、植樹、とワイナリーの歴史を紡ぐ取り組みもされています。
醸造へのこだわり
見た目にも、とてもクリーンな環境です。
先述のとおり、有機栽培でとても手をかけてブドウを育てているため、できるだけその個性をストレートにワインにしたいということが、近藤氏のこだわりのひとつ。
そのため、とにかく「テクニカルに造り込まない」ことを意識されており、使う酵母も樽も作り方も、ワインによってそう大きく違えることはないそうです。
”良いワインは良いブドウから”という基本を思い起こさせるお話しです。
近藤氏が管理される「駒園」「川窪」「西野」それぞれの気候風土、土壌、標高などの違いが、つまりはワインの香りや味わいの違いということになります。
樽も全て同じ。銘柄、品種、タイプ問わず、すべて同じ。
木材からゆっくりと酸素が入って、ほどよく酸化的な熟成をさせるというだけの用い方。
購入したばかりの新樽は、ニュートラルにするため数日水を張って、強すぎる樽香や成分を穏やかにさせてから使用開始するというほどのこだわり。
ワインテイスティング
近藤氏に、TaoとNishino の甲州、ピノ・ノワール、ビジュノワールをテイスティングさせていただきました。
駒園ヴィンヤードのラインナップ
大きく3つのシリーズがあります。
Pony:山梨県内契約農家栽培のぶどうを使ったシリーズ
Ponyは最も流通しているワインなので、お気軽にお試しになれます。この価格でこのお味!と驚かれる方は多いですね。
Tao:代々引き継いでいる塩山で自社栽培ぶどうで造ったワイン
Taoとは。中国三大宗教(儒教・仏教・道教)のひとつ、道教の教え、「天地自然の理によりそう」という「タオイズム」からの名前だそう。
Cru Nishino:新しく借りた南アルプス市で栽培したブドウから造ったワイン
Cru Nishinoは、契約の飲食店や専門店のみのお取り扱いのため、見かけたら即購入をおすすめします!
Taoの由来「天地自然の理によりそう」の言葉は、近藤氏のワイン造りのあり方を表現していますね。
それぞれの畑の自然を、ぜひ味わってみてください!
ここで買えます!駒園ヴィンヤードのワイン!
特約店のみの取り扱い、貴重な「Cru Nishino」シリーズも揃ってます!
国際的なワインコンクールで受賞したアイテムも!!
気になる方はぜひチェックしてみてください。

磯部 美由紀
日本ワイン.jp 編集長
J.S.A認定 ワインエキスパート / C.P.A認定 チーズプロフェッショナル
映画 フロマージュ・ジャポネ 制作実行委員会 事務局長
https://nihoncheese.jp
ワイン記事監修実績:すてきテラス
Picky’s こだわり楽しむ、もの選び〔ピッキーズ〕