日本各地で造られている「日本ワイン」。中でも九州は熊本県で、ワイン造りが行われているのをご存知でしょうか。

今回訪問したのは、熊本ワインファームが手がける2つのワイナリーです。

熊本にある2つのワイナリー

熊本県内に2つのワイナリーを擁する熊本ワインファーム。
ひとつは、1999年創業の「熊本ワイナリー」。 もうひとつは、2018年創業の「菊鹿ワイナリー」です。

この2つのワイナリーが同じ会社が経営していることをご存知ない方も多いのではないでしょうか。
どちらも素晴らしいワイン生産設備を備えるワイナリーです。そして、あの有名なワイン「菊鹿」はここで造られます。

 

菊鹿ワイナリーについて

日本ワインファンなら一度は聞いたことがあるであろう「菊鹿」シャルドネ。
熊本県山鹿市菊鹿町の地名を関するこちらのワイナリーについて、取締役 製造部長の西村氏にお聞きしました。

 

雨と台風対策・栽培効率を考えた自社畑

圃場について教えていただきまず驚いたのは、「開閉式ハウス」の設備でした。
雨が多いこの地域は、台風もたくさん来るそうです。なので、ハウスが吹き飛ばされることのないように、ボタンひとつで屋根部分が開閉する設備を設置。これは驚きでした。

 

そして、その屋根の下にある棚栽培? いや、少し違います。
ブドウの実は棚の「直下」ではなく、両サイドに実っています。

こちらは「棚式ダブルコルドン」という栽培方法で、棚に伸びる蔓と葉は「光合成」を促すため。
その高さも、草刈りなどのマシンが入りやすいスッキリした高さに設定。

さらに、両サイドにまっすぐブドウの実を成らせ、収穫がしやすいように、という栽培効率を徹底的に考えられた圃場の設計です。こちらも初めて拝見する体験で、とても感動しました。

 

そして極め付けは、ハウスの周囲に張り巡らされた、謎の「パイプ管」。
一見ガスのパイプラインかのように見えるこちらは、なんと「排水管」なんだそう。

圃場のある土地の両サイドが傾斜になっているため、とても水捌けは良いそうです。
しかし、実は片方は土地が脆く、水がたくさん流れてしまうと土砂崩れになってしまう危険性があるとのこと。

それを避けるために、このパイプに雨水を集めて、安全な方角へと水を流す仕組みなんだそう。
こちらはなんと、圃場がある程度完成してから設置されたんだそう。

まさに雨の多いこの土地ならではの創意工夫なんだなぁと、これまた驚きと感動でした。

 

自社畑ブドウのワインが完成

2018年からスタートした菊鹿ワイナリーですが、自社畑で2020年に初収穫されたブドウで仕込んだワインがついに完成。「菊鹿エステート 2020」として、ワイナリーのショップで、グラス限定で販売されています。

シャルドネ、ゲヴェルツトラミネール、ピノ・ノワールの3種があります。どれも初収穫とは思えないほど、ブドウの凝縮感を感じる素晴らしいワインです。今後収量が増え、ボトル販売が開始されるのがとても楽しみです!

 

ワインもお食事も楽しめるワイナリー

菊鹿ワイナリーには、ワインテイスティングが楽しめるショップはもちろん、地元食材を使用したピッツァやパスタを提供するレストランも併設されています。

美しい圃場を見ながら、美味しいワインと食事を楽しめるのも、菊鹿ワイナリーの魅力のひとつです。

 

東京から飛行機で熊本空港へ降り立ち、車で約1時間。
菊鹿ワイナリーでの素晴らしい時間を、あなたもぜひ体感してみてください。