9月16日にサントリー株式会社から発売された「赤玉プレミアムブレンデッドワイン」が、普段ワインを飲まない人にも高い人気を博しているらしい。松たか子さんの素敵なCMをご覧になった方も多いかもしれませんね。

「赤玉」と聞けば、読者のみなさまは1907年発売の「赤玉スイートワイン」を思い浮かべることでしょう。そこから続く長い歴史をもつ“赤玉”ブランドに、新たな一ページが加わったということですが、どのようなワインなのでしょうか。

商品開発を担当したサントリー株式会社 ワイン本部 国産ワイン部の猪村洋平氏に、開発の狙いと中身のこだわりをお伺いしました。

日本の食卓に「ワインの居場所」をつくる

まず猪村氏が注目したのは、日本の「お酒の飲まれ方」の変化日本の方がお酒を飲むシーンの約7割が、夕食をはじめとする“食事中”。
家庭の食卓で並ぶ料理を調べると、しょうゆ・砂糖・みりんを使った、日本特有の甘みのある味付けが圧倒的多数だという。「一方で、そうした日常の食卓に、ワインはなかなか登場していない。ワインはステーキなど“洋風のごちそう”のときに、というイメージがまだまだ強いんです」
その背景には、一般的なワインが和の甘辛い味付けに合わせにくいという課題があるようです。

そこでサントリーが挑んだのが、どんな日本の食事にも寄り添える、新しいワイン。それが「赤玉プレミアムブレンデッドワイン」です。

味わいの設計は「甘すぎない、けれど“赤玉らしい”」

では、その味わいはどのようなものでしょうか。
甘やかさが特徴の赤玉スイートワインと比べて、こちらはスタイルとしては、“やや軽口の辛口”に仕上がっています。ただ、赤玉らしいブドウ由来の甘やかな香りと、ほのかな甘みはしっかり残しているのが特徴です。
甘さをぐっと抑えつつ、赤玉らしい華やかさはキープ。そのうえで、日本の食事に合わせやすい設計がなされているのです。

さらにユニークなのが、原料の構成です。「ワイン原料酒に加えて、ハーブや和のボタニカルスピリッツなど、ワイン以外の原料酒もブレンドしています。それが、食卓でいう“薬味”のような役割を果たし、料理と調和しやすい味わいをつくっているんです」

ブドウ由来の甘やかなニュアンスが、みりんや砂糖を使った甘辛い味付けと響き合い、ボタニカルスピリッツが、料理の風味を引き締める。その構造こそが、「日本の食事に合うワイン」の鍵になっているのでしょう。

開発の難所は「三つのバランス」

「赤玉」を名乗るからには、ただの“和食向けワイン”では終われない。
開発で最も苦労したポイントについて、猪村氏はこう語ります。
「一つ目は、“赤玉らしさ”という味わいの骨格を守ること。二つ目は、日本の食事との相性を高めること。三つ目は、食事がなくても、ワイン単体で飲んでもおいしいこと。この三つのバランスを同時に満たすのが非常に難しかったです。」

確かに、”普通にただ飲んで美味しい”はそもそも大事なポイントですね。

「“料理に合う”だけに振り切ると、単体では物足りなくなることがある家飲みでは“とりあえず一杯”という飲み方も多いので、
料理がなくてもちゃんとおいしいことは外せませんでした。」

数多の組み合わせによる徹底した官能評価

鉄分やミネラルの量を突き詰めるような設計ではなく、どの原料酒が日本の食事に合いやすいのかという観点から、原料酒を一つ一つ選び抜いたそうです。
選定の軸となったのは、数多の組み合わせで試した官能評価。

「ワインだけでなく、複数の食材・料理パターンを用意して、大人数で延々とテイスティングと検証を繰り返しました。延べ回数で言えば“百回二百回では効かない”くらいです」

果てしない組み合わせの中から、日本の食事と最も自然に寄り添う味わいを探り当てたという。
専門家たちの舌を納得させた、食卓の料理との組み合わせ、これは非常に頼れるものではないでしょうか。

創業者の原点を、現代の食卓にアップデート

「赤玉スイートワイン」は、1907年発売。日本のワイン史の中でも象徴的な存在です。

「創業者・鳥井信治郎は『日本人の味覚に合うおいしいワインを造りたい』という思いから、赤玉スイートワインを生み出しました。ただ、当時と今とでは、日本人のお酒の飲み方は大きく変わっています。」

「“創業者の思いを、現代の生活に合う形で表現するにはどうすればいいか”。出発点はそこでした。その結果として、“やはり赤玉の名を冠するのがふさわしい”という結論に至ったんです。」

登美の丘ワイナリー&塩尻ワイナリー〜赤玉と国産ブドウの関係

サントリーのワインと言えば、登美の丘ワイナリーの「SUNTORY FROM FARM 登美」が世界的な評価を受けるなど、本格派の日本ワインも広く知られています。一方で、赤玉ブランドもまた、日本ワインの歴史と密接に関わってきた存在です。
どのような関係があるのでしょうか。

「赤玉は発売当初、スペイン産のワイン原料酒を輸入し、日本国内で加工して販売していました。ところが1930年代、世界情勢の悪化に伴い、原料の輸入が難しくなる可能性が出てきました。」

そこで同社は、登美の丘ワイナリーや塩尻ワイナリーにて国産ブドウ栽培を行うことに舵を切りました。

「登美の丘ワイナリーは、もともと赤玉のためのブドウづくりの拠点でした。現在はとくに塩尻ワイナリーとの関わりが深く、周辺の契約農家の方々で構成される『赤玉出荷組合』が、赤玉のためのブドウをずっと作り続けてくださっています」

なんと「赤玉出荷組合」なるものがあるとは驚きです!その歴史は来年で90周年。もちろん今回リリースのプレミアムブレンデッドワインにも、このブドウが使われているそうです。

ワインから遠ざかっていた人への“入り口”に

発売後から非常に好評と伺っていますが、どのような層の方が購入されているのでしょうか。
購買データからは、意外な傾向も見えてきたそうです。

「一番多いのが、普段あまりワインを飲まない方なんです。直近1年間ほとんどワインを飲んでいなかったけれど、『久しぶりに飲んでみようかな』というきっかけとして選んでいただいているケースが多いです。」

日常の食事に合わせて気軽に楽しめる一本は、ワインから少し距離を置いていた人たちの“再入門”にもなっているようです。
そうなると多くの方が集まるお席などにも最適でしょう。まもなく準備を始める年末年始用にも良いかもしれません。お醤油、みりん、砂糖を多く使うおせち料理にぴったりですね。

「ここからワインが好きになっていただいて、ゆくゆくは当社の日本ワイン「SUNTORY FROM FARM」のような、より奥深い世界にも興味を持っていただけたら嬉しいですね。」と猪村氏は語ります。

さいごに

「サントリー 赤玉プレミアムブレンデッドワインは、日本のどんな料理にも寄り添える味わいを目指して開発しました。
ぜひ一度、日々の食卓でお試しいただければと思います」

なかでも猪村氏の“一押し”はサバの味噌煮」だそう
「味噌とみりん、砂糖の甘辛いタレと、このワインの甘やかな香り、そしてハーブやボタニカルのニュアンスが驚くほどよく合います。ぜひ“サバの味噌煮×赤玉プレミアムブレンデッドワイン”のマリアージュを試してみてください。」

具体的な日常の食卓の料理と合わせる提案をされると、ワインを飲むハードルもグッと下がり、ワインがずっと身近なものになりますね。特別ではない、ふつうの今晩の食卓にいかがでしょうか。