写真:四恩醸造(山梨県)

四恩醸造

(山梨県)

家族の時間を大事に-。私たち「四恩醸造」(しおんじょうぞう)は、

横浜にある幼稚園の自然教育施設として2007年に誕生したワイナリーです。

山梨県牧丘町の甘くて美味しい巨峰を“自然からの贈り物”としてご家庭やレストランに届けております。

食卓を華やかに彩り、家族と楽しいひとときを-。

そんな思いで日々、日本産ワインを追求しております。

ワイナリー情報

ワイナリー名
四恩醸造
代表者名
瀬野 哲裕
住所
〒404-0016 山梨県山梨市牧丘町千野々宮764−1
URL
https://shion-winery.co.jp/

ワイナリー取材記

四恩醸造インタビュー:瀬野 崇氏



ここにあるタンクは合計で11基、こちらに9基とあそこの2つの小さなタンクで合わせて11基、そして樽が4本と、それだけで作っている本当にごくごく小さなワイナリーです。
小さいからこそまあ、常に私がそこに行って管理する、そういうことができるような管理体制になっております。ラベルも手貼りなんですよ。全部。 この四恩醸造というワイナリーは四恩学園という学校法人が母体になったワイナリーです。
学校法人四恩学園というのは、この(ワイナリー所在地)ちょっと800mぐらい下ったところにですね、畑を37年ぐらい前から持って、そこで巨峰を作ってたんですよ。その巨峰はですね、子供達のぶどう狩りのために作っていたぶどうです。
でも、そのブドウがやっぱりできた時に、まあ作ってもあの、大体取りきれなかったり、食べるのには形が悪いものがあったりとか、そういうものは、まあ他のワイナリーさんに頼んで、ジュースやワインに委託醸造していたんです。
で、それを子供たちの家族にプレゼント、クリスマスプレゼントにしてたんですね。なんでそのクリスマスプレゼントにするのかっていうと、その時ぐらいは家族で一緒に団欒を過ごして欲しいから、そのアイテムの一つとして。そういう気持ちをずっと持ってやってきたものになります。
それをですね、一から自分たちでもできるようになりたいな、ということから、小さいながらもできることからやってこうというところで、四恩醸造のここ、場所を手にいれるきっかけがありましてね、そこからじゃあここの場所を醸造所にして、それでやっていこう。
自分たちでジュースとワインを作って、クリスマスプレゼント作ろう、そういう思いから始まったところになります。


Q.クリスマスプレゼントがきっかけになってできたワイナリーなんですね。

はい。子供たちのために。もともとそういうここで一気に儲けようということよりも、こうしてもらってこれが楽しかった思い出だな、あんなところ良いところだったなぁ、とか、そういうことを思い出してほしい、その気持ちが一番です。
横浜の子供たちが田舎を知らないんですよ。
田舎を知らないし、土がどういうものかも知らない、知ってはいるけれども、でもそこから何ができるか、なんでそれが大事なのかということをやっぱり知らない。そういうふうなことを知るきっかけになればという、そういう目的もあって、そこからできる農産物、山梨だったら巨峰もあるしなっていう。
まず初めにその私の父である園長が、ここの巨峰に惚れ込んで。
それは自分たちでもこれをプレゼントしたい、ぶどう狩りしたい。だけどその当時はね、農家さんが子供たちにぶどう狩りをらせてくれなかったんです。だから自分たちで買って管理して、そこで受け入れようっていうことしかできなかった。今はもうそんなことないですけどね、そういう時代じゃないので。でも昔はそういう時代だった。
そこからどんどん、ぶどうをどうしようか、ぶどうを今までジュースにしてて、このジュースおいしいんだけれども、じゃあ自分たちでも作れるかな、というところからジュース作りを始めよう。で、ジュース作るんですが、ならばじゃあ一緒に、結局ワインも保存食なので、まずワインは保存食という考えから、じゃあこれだったら大人になっても飲めるよねっていう。そういう思いを持ってまず始めていたところがスタートになりました。
やっぱり子供が将来、ジュースを飲んで美味しかったなあ、山梨って楽しかったなあ、ぶどう狩りして面白かったなあ、そんな簡単な思い出から、それはどうしてできるんだろう、どういう風なものだったんだろう、って、もしくは他の子供達は知らないけど僕は知ってるよって自慢できたり。そういった小さな成功体験を積み重ねていった先にですね、大人になった時、あの頃こんないいことあったな、あんなことあったなあっていう思い出が、大人になっていろんな辛いことや苦労することなんかもぼちぼちあります。
でもそういう時に、それに対抗できる力になってくれる思いっていうのが力になってくれる、って思って四恩学園は動いております。
誰でも飲める美味しいワインを作ろう、そういうものを目指して作ってます。ほんとそういった普段の家庭の中で、出来る範囲で、ちょっと一輪花を添えて、彩りを広げて、食卓の彩りを良くしたい、そういう思いからやっぱりラベルも、まああの花のラベルを使ったり、ちょっと綺麗な絵のラベルを使ったり、自前のものでとりあえずできるところを持っていってそれで使っております。


Q.箱に「歌」が入っていますね。

四恩学園ではですね、日本舞踊のコーナー保育保育というふうに言うんですけども、そこで日本舞踊、謡曲といった昔ながらの日本の歌といったものを使って扱っております。これは万葉集かな、そこから取ったお酒を作る人の歌です。
「この御酒(みき)を醸(か)みけむ人はその鼓(つづみ)臼に立てて歌ひつつ醸みけれかも舞ひつつ醸みけれかもこの御酒の御酒のあやに甚楽(うただ)のしさ」
ていう、お酒造りは昔から結局娯楽だったんですよ。 で、文化の象徴なんですよね、それは。そのお酒造りをしてる人っていうのは、どんな楽しい思いをしてこんな美味しいお酒を作るんだろう、なんでこんなあのそれは歌いながら作ってるんだろうか、それとも踊りながら作ってるんだろうか、そういう風に普段のこのお酒に対しての思いというものをですね、そういう想像をしながらこの御酒をこのお酒を、飲んで楽しんでますっていう、そういう説明になりますけれども。そんな歌になりますこれは。


Q.瀬野さんは栄養士さんでいらっしゃったとか?

はい。私はもともと栄養士の出なんですよ。ご飯作りで何が大事なのかって言うと、毎日ご飯が食べられること、それが美味しければ尚よし。じゃあその美味しさを生むのは何かというと、もちろん基本的な五味。甘味・塩味・酸味・旨味・苦味。そういった舌で感じるところじゃなくて、結局それを食べる時の、人であったり雰囲気であったり、もしくはその食感であったり、いろんな要素が絡まって食事というのは成り立ってます。
それなので、日本でも和食っていう風に言われる、あれを文化の象徴と言ってるけれども、その象徴はなぜ象徴かっていうのは、それがみんな大事だと思ってるからですね。どんどんサプリメントに移行していって、それであのそこら辺はその方が合理的だよって言っても、でも結局、まあ栄養士の視点からすると、サプリメントは摂りすぎると危ないので、そこは本当に自分の食生活に合わせてバランス良く取るのが一番です。
で、そのバランスの中に、心地よさというものはお酒にしか持ってないものです。これは飲むだけでふわふわする感じもするし、人によっちゃ気持ち悪くはなるけれども、でも飲み過ぎに注意すれば、まあ百薬の長というだけあって、体は少しあっためてくれるし、白ワインはPHが低いと食中毒も予防してくれるし、赤ワインのポリフェノールとかそれよりもまず持ってるタンニンだとかそういう成分のほうが、そもそもの抗酸化作用を期待するというよりは、他の食べ物を食べた時の消化を助けてくれるんですね。
もちろん飲み過ぎはダメですよ。アルコールそのものは適量が一番ですけれども、その適量を取る時に、普段の食生活から、普段美味しい食事を楽しんで欲しい、そういう家庭であってほしいなという、そういう思いからやっぱりワインの中身についても外見についても、私なんかその想いをもって作ってますね。そういうふうな家庭を大事にしたい。特別な時、ハレの日、だからもいいんですけれども、普段の食生活、ケの日の食事こそ身体を皆さん作っているものになりますので、そこでやっぱり、心も体も健やかになってほしいな、そういう思いです。