昨年の動員数およそ1,600人の大人気ナチュラルワインイベント「RAW WINE(ロウワイン)」。

二度目の開催となる今年は、さらにパワーアップ!5月10-11日の二日間に渡り開催され、述べ2,000人のワインラバーが集まり会場は大変な熱気に包まれました。

今年は100軒近くのワイナリーが出展。うち日本ワインの生産者は11ワイナリー。
RAW WINEについて、そして当日の様子などをお伝えします!

「RAW WINE」とは?

この世界的なナチュラルワインの祭典「RAW WINE」は、マスター・オブ・ワイン(MW)であるイザベル・ルジュロン氏によって、ナチュラルワインの普及と発展を目標に、生産者・醸造家・輸入業者・消費者をつなげるトレードマーケットとして2012年に創設されたブランドです。
ロンドン、パリ、ニューヨーク、モントリオール、上海、そして東京と、世界各都市を巡回しながら、オーガニック、ビオディナミ、ナチュラルといった自然派ワインの造り手たちと愛好家たちをつなげています。

RAW WINE出展ワインのルール

このコミュニティに出展するワインは、添加物が含まれていたとしても極少量。
中には添加物を一切使用せずに作られたものもあります。亜硫酸塩を添加して作られた場合でも、EUの基準をはるかに下回るレベルで作られており、使用された亜硫酸塩の総量に関する情報が全てのワインに記載されています。

具体的には、手で収穫を行なっている、マロラクティック発酵を阻害しない、色やスタイルに関係なく亜硫酸塩の総濃度上限を70mg/lとすること、滅菌濾過しない、などなど10の基準が設けられています。

有識者インタビュー

RAW WINE会場にて出会った有識者にナチュラルワインについて、その楽しみ方、最近のナチュラルワイン事情についてなど、いくつか質問させていただきました。

🍇 「健全なブドウさえあれば、人の手は最小限で済む。それが僕たちの考える“ナチュラル”です」矢野陽之さん(グレープリパブリック/山形県)

山形・南陽に拠点を置く「グレープリパブリック」の醸造責任者の矢野陽之氏は、土壌とブドウ本来の力を信じた有機栽培にこだわり、極力人為的な介入を減らす醸造を行っています。
「健全なブドウさえあれば、人の手は最小限で済む。それが僕たちの考える“ナチュラル”です」

彼はナチュラルワインが一過性のブームとして消費されるのではなく「文化として根付かせるためには、振れ幅の中庸を大切にするべき」と語ります。

 

🌍 「僕たちはブドウ畑の声を聞き、それをボトルに写す仕事をしているだけ。余計なものは足さない」James Audas氏(DAS JUICE/オーストラリア)

オーストラリアの注目ワイナリー「DAS JUICE」の醸造家、ジェームズ・オーダス氏もRAW WINEの東京会場に出展。

「僕たちはブドウ畑の声を聞き、それをボトルに写す仕事をしているだけ。余計なものは足さない」

彼は日本ワインにも高い評価を寄せており、「北海道のピノ・ノワールは、世界の名だたるピノと並んでも遜色ないレベルにある」と語っています。

 

🍷「“おのずからしかる”──そのものがそのままである状態。それを受け入れる感性こそ、日本的なナチュラルワインの本質だと思います」 岩井穂純さん(岩井堂/ワイン講師)

長野県と東京を拠点にソムリエ・ワイン講師として活動しながら、2022年に長野県の下諏訪町にワインショップ「湯田坂 岩井堂酒店」をオープン。ワインスクールでナチュラルワインの魅力を伝える講師としても人気の岩井穂純さん。

岩井氏が立ち上げた築地のナチュラルワインが飲める角打ち「酒美土場」にはファンも多い。
そんな彼が語る「ナチュラルワイン」とは。

「“おのずからしかる”──そのものがそのままである状態。それを受け入れる感性こそ、日本的なナチュラルワインの本質だと思います」

気候や年によって味が違うことを「欠点」と捉えるのではなく、「自然の声」として愛でる──そうした姿勢がナチュラルワインの醍醐味だと語ります。

日本ワイン生産者によるセミナーも開催

Natan葡萄酒醸造所井下氏、グレープリパブリック矢野氏、SHINDO WINESの阪本氏による「日本におけるナチュラルワイン造りの課題」というテーマでのセミナーも開催されました。

話題はナチュラルワインに留まらず、そもそもの彼らのワイン造りの道を志すきっかけなど、彼らの”ワイン愛”をたっぷり聴ける1時間となりました!

日本酒も登場!ご存知ですか?注目のビオサケ

日本酒も注目です。今回はビオサケというコミュニティの日本酒生産者たちも出展していました。
ビオサケとは、自然環境を生かして育てた農産物と、水、土、気候などを生かして醸造したお酒の総称とのこと。

彼らが定義する”ビオサケ”の条件は下記いずれかに該当するものとしています。
・有機JAS認証を取得している
・可能な限り農薬化学肥料を使用しない原材料を使用し、自然の力を生かした製造方法を採用している

今回は、こういった日本酒もたくさん試飲することができました!
いくつか出展の生産者をご紹介いたしましょう。

当社の場合は、有機栽培米を使い、ナチュラルな製法で造った日本酒をお持ちしています。
”ナチュラルな製法”は、酵母の添加や醸造工程で環境負荷を下げる取り組み、具体的にはCO2排出をゼロにしています。

まだまだビオサケの認知度は低いので、今回こういった場に参加しました。(株式会社神戸酒心館/代表取締役 安福 武之助 氏)

「加賀鳶」が人気の金沢の福光屋からは、ORGANICの肩ラベルと、日本、アメリカ、EUの有機認証を取得したことを証明するロゴが貼られています。

「こちらは有機認証をとった田んぼでの有機栽培米を使い、有機認証を受けた酒蔵で造っています。もちろん造りの工程でも余計なものは使いません。」(金沢福光屋/松前歩氏)

ますます注目が高まるナチュラルワイン。
ニュートラルな気持ちで、自然を楽しむ機会として、楽しみ方はひとそれぞれ。
今後もファンが増えていく予感です。