「シャトー・メルシャン」の3ワイナリー「シャトー・メルシャン勝沼ワイナリー」「同 桔梗ヶ原ワイナリー」、「同 椀子ワイナリー」が一同に集結して開催する「シャトー・メルシャン フェスティバル 2025(略してシャトフェス)」。

昨年は、椀子ワイナリー(長野県上田市)で開催でしたが、今年はなんと東京渋谷で行われました!
開催の二日間ともあいにくお天気ではありましたが、さすがメルシャン!そして渋谷!オープンから夜まで大勢のワインラバーたちで会場は常に活況でした。

3つのメルシャンのワイナリーに加え、今年は、メルシャンが2021年より開始したブドウ栽培・ワイン醸造コンサルティング事業を行っているワイナリーの中から、岩手県のアールペイザンワイナリー(花巻市)とMKファームこぶし(花巻市)も参加。ワインラバーにとっては、より多くの種類のワインと出会える嬉しい機会となったようです。

各ワイナリーの歴代醸造長たちが揃い、屋内外、様々な場所、テーマで開催されるセミナーも人気でした。
なかには、エグゼクティブワインメーカーの安蔵光弘氏自らにシグナチャーをサーブいただくという贅沢機会に恵まれた方もいらしたようです。

メルシャン コンサルティング事業セミナーも大好評!

室内での有料セミナーも複数開催されましたが、どのセミナーもほぼ満席。
とても有意義な会となったようです。

なかでも好評だったのが、「メルシャン コンサルティング事業の歩み〜アールペイザンワイナリーとMKファームこぶしを招いて〜」。

メルシャンは、シニアワインメーカーで構成されるコンサルティングチームを有し、スタートアップのワイナリーにコンサルティング事業を行っています。
その成果は、これまで”知る人ぞ知る”という存在でしたが、あるワイン有識者は「メルシャンのコンサルティングが入ったワイナリーは劇的に美味しくなるからすごいよね」と評するほど。

しかし、これまでメルシャン社内でもその内容はあまり知られていなかったそうで、当該セミナーも多くの関係者の関心が高いものでした。

セミナーは、メルシャンの田村隆幸氏、藤野勝久氏に加え、コンサルティングを受けている岩手県のアールペイザンワイナリー高橋和也氏、MKファームこぶしの堰根慶氏の4名が登壇し、ワイナリーの説明や、実際にコンサルを受けて造られたワインを試飲いたしました。

ーどんなチーム?コンサルティングチームが目指すものとはー

コンサルティングチームの中心メンバーは、メルシャンシニアワインメーカーの田村隆幸氏、藤野勝久氏、大滝敦史氏。
彼らから直接指導が受けられるということがどれだけ素晴らしいことか、業界の方はきっとよくおわかりでしょう。

田村氏は、「私自身はメルシャンの偉大な先輩方に指導を受けることができました。海外で学んできた人材や培ってきたノウハウ、それらメルシャンのアセットを日本全国のスタートアップワイナリーと共有し、全体で盛り上げていきたい。」

「メルシャンといえば『日本を世界の銘醸地に』を標榜していますが、日本にワイナリーが500軒以上となる中、やはり自社だけでなく、日本のあちこちで実現できたら素晴らしいと思う。」と話します。

メルシャン一社で良いワインを造っても地域全体でワイン産地として認められなければ将来日本ワインの発展はない」というのは、現代日本ワインの父と称される麻井宇介氏がかつて勝沼にて造り手たちに伝えた言葉です。

現在のシニアワインメーカーたちによりその想いは引き継がれ、実際に具体化していく事業と言えましょう。

ーコンサルティングを受けてみての感想ー

当チームのコンサルティングのあり方として、メルシャンのコピーワインを作るのではなく、「まず彼らがどんなワインを造りたいか」これをよく話し合い、それに沿ったアドバイスをしたり手助けをしていく方針。

ディスカッションに参加したコンサルティングを受けている2社のワイナリーからは、実際の感想を伺えました。
彼らがコンサルを受けて良かった点としてあげたのは、「自分の立ち位置がどこなのか、まず学ばせてもらったことが大きい。」アールペイザンワイナリー高橋氏)、「どいういワインが『良いワイン』なのか、そこから勉強でした。一から学べている。」MKファームこぶし堰根氏)。

大きな企業や組織であれば問題にならないようなことでも、小さな個人経営のスタートアップワイナリーでは時に大きな不安となるのかもしれません。

それらに対し田村氏は「私自身はメルシャンの偉大な先輩方に指導を受けることに恵まれました。私が経験してきた先輩後輩の仲のような、そんなリレーションでやっていけたらいいと思う。」と寄り添います。

幸いにも、今回のお二人のワイナリーはコンサルティングを開始した時点で、すでに良いブドウができていたそうです。しかし、そういうところばかりではありません。やはり良いワインは良いブドウが肝心です。
藤野氏は「どうか植える前にご相談いただきたい。それが最も好ましいタイミングです。」とコンサルティングの相談をするタイミング、重要性について言及されました。

ー今後の展望についてー

2018年に植樹して7年目を迎える。次のステップとして所謂「テロワール」をどう引き出すのか、どういう方向性のワイン造っていけるのかをアドバイスいただきながら考えていきたい。(アールペイザンワイナリー高橋氏)

農機具メーカーのクボタがサポートするMKファームこぶしならではの「メルシャンと一緒に取り組むことで、より栽培での省力化、ICTなどを広めていけるアイディアなんかが生まれたら良い。たくさんの面積でたくさんの良いブドウが取れる未来を期待したい。」(MKファームこぶし堰根氏)という展望も聞けました。

今回のセミナーに参加者には造り手や業界関係者が多く、質問も活況でした。
ご興味のある方、ぜひ「ブドウを植える前に」一度相談してみるのもよいかもしれません。