「グランポレール 余市ツヴァイゲルトレーベ2022」が世界最大級のワインコンペティション「Decanter World Wine Awards 2025」にて、日本ワインで唯一のプラチナを受賞したニュースが記憶に新しい「グランポレール」。
サッポロビールが”想いをつなぐ日本ワイン”をコンセプトとしているプレミアム日本ワインブランドです。

オンラインサロン『ひぐち君の日本ワイン会』を中心に、日本ワインの魅力を発信する活動で活躍されるお笑い芸人の髭男爵ひぐち君を迎え、チーフワインメーカー多田淳氏との対談形式でのセミナーが開催されました。
ひぐち君は、今年からグランポレールのブランドアンバサダーを務めています。

造り手から、究極の飲み手それぞれの目線で語られるグランポレールの魅力は、どんなところにあるのか。
記事最後に、ひぐち君、多田氏への独占インタビューも載せてレポートです!

 シチュエーションに合わせてチョイス!グランポレールのポートフォリオ

「安いし余ったブドウで造ってるんでしょと思われがちですが、これが全然違うのです!」とひぐち君が語るのは、シリーズの中でもっとも低価格なブレンドシリーズ。”余ったブドウ”ではなく、”ブレンド用に選び抜かれたブドウ”を原酒にし、味や香りのバランスを慎重にみながらアッサンブラージュして造られている。

手間も時間もかかってますが、手に取りやすい価格。果実味メインで酸抑えめなので、初心者におすすめ。
「”日本ワインの良さ”をこのシリーズで味わって欲しい」(多田氏)

そして、冒頭述べたデキャンターにて世界一のツヴァイゲートレーベの称号を得たという「グランポレール 余市ツヴァイゲルトレーベ2022」を含むキャラクターシリーズも、主には2,000〜3,000円台という価格帯。
「これらについては”産地の良さ”を感じて欲しい。」(多田氏)

ひぐち君は、受賞の知らせを聞いた直後、近所のスーパーに買いに走って購入したそう。このグレードのワインが、近所のスーパーにて買えるということもまた素晴らしいですね。

そして、最も高価格帯となるのが”畑の良さ”を味わえるシングルヴィンヤード。
テイスティング含めて丁寧に紹介されました。

長野と北海道にもつ4つのシングルヴィンヤード

安曇野池田ヴィンヤード

長野県は、雨が少なく、標高が高い(概ね500-600m)なので寒暖差がしっかりあるためブドウの色づきが良い。
そのため、ブドウ生産量2位、ワインの生産量2位の一大産地です。

安曇野池田ヴィンヤードでは、欧州系を中心に栽培されています。

ボルドー留学中に香りを引き出す研究を行った多田氏が、帰国後に試行錯誤をして生み出した思い入れのある一本という「安曇野池田ソーヴィニヨン・ブラン<薫るヴェール>」をはじめ、白は香りの個性をしっかりもったワイン、赤はしっかり重厚感や凝縮感のあるワインが生み出されるヴィンヤード。

「確かにここのソーヴィニヨン・ブランは、香りも素晴らしいし、飲んでしっかり美味しい。」(ひぐち君)
香りからの期待を裏切らない味わいは嬉しいですね。
石がごろごろしている南西向き傾斜地で、水捌けがよいのも特徴。

北海道余市弘津ヴィンヤード

1990年開園。弘津さん親子と長年取り組んできたヴィンヤード。

北緯43度で冷涼、梅雨が少なく、道内では比較的暖かいので凍害のリスクも低い。聞くにつけなんともワイン用ブドウ栽培に適したこの条件下では、ピノ・ノワール、ケルナー、ツヴァイゲルトレーベをメインに取り組んでいる。

今でこそ余市というとピノ・ノワールの銘醸地というイメージですが、以前は寒すぎて不向きな土地だったそう。
「温暖化により98年ごろから北海道の気候も変わってきたため、近頃はよいピノ・ノワールが育つようになってきてますね、ブラインドで飲むとブルゴーニュに引けを取らないものができてます。」(ひぐち君)

熟していてもしっかり酸があるのが特徴。「余市らしい爽やかな酸」と表現される。

北海道北斗ヴィンヤード

2018年に開園。欧州系メインとし、その他ゲヴュルツトラミネールや甲州などにもチャレンジしているそう。それらも楽しみですね。
この土地ならではのメリットとしては、11月まで収穫期を引っ張れるため、その分熟度を得ることができること。
そのせいか、本日試飲させていただいたシャルドネは南国のシャルドネのようなトロピカルな香りや厚みのあるボディでしっかりとしたもの。

函館といえば、ブルゴーニュの老舗ワイナリー”ドメーヌ・ド・モンティーユ” によるプロジェクトが話題となりましたが、実は同時期にこのグランポレールでの取り組みも始まったそうです。

産地の特徴を体験できるテイスティング

セミナーでは代表的な6種のワインがテイスティングに並びました。
それぞれ、多田氏からの説明やひぐち君からはペアリング提案とともに、香りや味わいを確認することができました。

安曇野池田シャルドネ ブラン・ド・ブラン<トラディショナル・メソッド 2020>
安曇野池田で初のスパークリングワイン。
和柑橘、蜂蜜のニュアンス。ほのかな甘みが瓶内熟成によるものかブドウ由来のものかの議論がされたこちらは、実はノンドサージュ。

「高級旅館で一杯目に飲みたいですね」(ひぐち君)
たしかに、旅先ではせっかくならその地の食や酒を飲みたくなるもの。奥様と温泉旅行をされた際のエピソードをご披露しながら、地域との食の融合について提案された。

北斗シャルドネ2024
ひぐち君のテイスティングコメントは、「スズランや白桃のような華やかな香り。ミネラル感・わずかな塩味も。例えるなら石をなめたような感じ、まああんま石なめないと思いますけど。」
そして、具体的には、イカ刺し、ホタテ、数の子などの繊細な魚介と好相性なのではとも。

長野シャルドネ
熟成感あり、樽もしっかり効いている、バランスも良い。
「天ぷら、シメサバ、酢飯なんか良さそうですね」(ひぐち君)「このくらい厚みがあれば油を使った和食にもいけますね」(多田氏)
また、ひぐち君は、良い区画のブドウを使っていながら価格が抑えめであることにも注目される。

余市ピノ・ノワール 2021
弘津氏のブドウを使用しているものだが、北海道余市町登地区にある南向き斜面の人気エリアで、高品質なブドウが栽培されていることで定評がある。

梅しそ、ブラッドオレンジ、赤すぐりなど、余市らしいピノノワール。ひぐち君は「小梅ちゃん風の酸味」とも表現される。その他、森や腐葉土、磯っぽさもあり。

こちらは、寿司、赤身魚などが推奨された。ひぐち君によると「お醤油味の海苔煎餅にも合いますよ」とのこと。

安曇野池田ピノ・ノワール 2021
外観は濃い色調で、先述された「安曇野池田は小粒のブドウが育つ」ということに納得させられる。
熟した苺、ブラックチェリー、ブルーベリーの香りに、味わいはその小粒ブドウ由来の力強さを感じる。

「これくらいしっかりしてくると、メンチカツなど油を使った料理や赤身魚×醤油のような和食によいですね」(多田氏)
「トンカツは?」(ひぐち君)
「それは行き過ぎ」(多田氏)
最後の一杯を残し、お二人の掛け合いもかなり滑らかに。

メリタージュ 2021
カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローのボルドーブレンド。パワフルで凝縮感がありつつ、日本らしい瑞々しさも。

「これなら20年の熟成もいけそうなので、日本ワインではなかなか難しい『お子さんが生まれた年のワインを購入して、20歳になった時に乾杯する』が実現できますね」と粋なコメント。

食との相性では「脂の乗った和牛にぴったり」と、まさにお祝いのお席でのワインとして相応しい一本ですね。
一樽一樽丁寧に造り、そこから良いものを選んでアッサンブラージュしたというグランポレールの自信作。それゆえ価格はそれなりですが、アニバーサリーワインとして抜栓の日を楽しみに保存されてはいかがでしょうか。

さいごに

産地の特徴について丁寧な説明のあと「エゴを出すのではなく産地の個性を理解して、それを最大限に出したいと思ってる」という多田氏の言葉は印象的でした。

そして、ひぐち君からは、その昔「余市ピノ・ノワール登町セレクション」を買いそびれ、その後入手がどれだけ困難だったかのエピソードとともに「サッポロビールだからたくさん造っているでしょう、また今度買えばいいや」って思いがちだけど、美味しいものはやはりすぐに入手すべきとの注意喚起も。

さいごに、造り手多田氏が目指すもの、究極の愛好家ひぐち君が思う未来について語っていただきました。

今回のセミナーを通して考えた、産地、文化、地元食材との調和。
さいごのひぐち君の”ワインは人と人を繋ぐお酒”という言葉により、今回のセミナー内容についてしっかり納得した読者も多いのではないでしょうか。

髭男爵ひぐち君
1974年生まれ。福岡市出身。1999年お笑いコンビ「髭男爵」結成。
2015年日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートを取得し、
2020年「ソムリエ・ドヌール(名誉ソムリエ)」に就任。
2022年北海道「余市町ワイン大使」として、ワインを通じた広報活動に尽力する。
オンラインサロン「ひぐち君の日本ワイン会」などを中心に活動の幅を広げている。
書籍「髭男爵ひぐち君の語る日本ワインサロン」発売中。

多田淳 グランポレール チーフワインメーカー
<経歴>
2008年入社 千葉工場製造部
2013年岡山ワイナリー製造部 醸造担当として「グランポレール」の製造に携わる。
2018年フランス ボルドー大学DNO(フランス国家醸造士)過程に入学、格付けシャトーでの研修などを経て、2020年DNO取得
2020年グランポレール勝沼ワイナリー ワインメーカー
2024年チーフワインメーカー就任