チーズ好きが最も気になるコンテストのひとつ、第15回ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテストが10月17日、東京プリンスホテルにて盛大に開催されました。
2年に一度行われるこのコンテストは、

・日本人の嗜好にあったチーズの製造や、わが国の気候風土にあった独自のナチュラルチーズ文化を創造し、今後の生乳需要拡大を図る
・国産ナチュラルチーズに対し専門家によるアドバイス及びユーザーからの意見等を聞く機会を設けることにより、国産ナチュラルチーズの製造技術向上を図る
・ユーザーへの国産ナチュラルチーズの紹介の場を設けることにより、販路拡大を図る

という主旨です。そのため、生産者はもちろん業界関係者、消費者全体が”参加者”となる非常に有意義な機会。
表彰式から大規模な試食会まで、会の様子をレポートです!

コンテストの概要および表彰式の様子

今回、123の生産者から269アイテムが出品されました。これは前回の109生産者/248アイテムからさらに増加したものです。
審査部門は、フレッシュ、シェーブル、パスタフィラータ、ソフト、白カビ、ウォッシュ、青カビ、ハード熟成3ヶ月未満、ハード熟成6ヶ月未満、ハード熟成6ヶ月以上、ホエイ、トライアルの12部門。非常に細かく分けられています。
審査は、一次審査、二次審査、最終審査となり、最終審査は一般公開されました。

最終審査は、山本博紀氏(北海道乳業株式会社 取締役 製造部部長)審査委員長のもと、中村正氏(国立大学法人北海道国立大学機構帯広畜産大学生命・食評科学研究部門准教授)、三浦孝之氏(日本獣医生命科学大学応用生命科学部)、山本恵美子氏(雪印メグミルク株式会社マーケティング部)、岸保典氏(イオンリテール株式会社本社商品本部)、鈴木弥平氏(Piatto Suzuki オーナー氏シェフ)、AYUMI氏(モデル)、パトリック・パッション氏(株式会社アンドレ・パッション代表取締役)、工藤阿須加氏(俳優)という豪華な顔ぶれ。

各人がこれまでの審査を経てひとつずつ「推しチーズ」を決めてプレゼンし、試食、点数を付けるというシステムでした。

それぞれの業界で活躍する審査員ならではのコメントには、観覧者たちも興味深く思われたことでしょう。
たとえば鈴木弥平シェフは、黒胡椒が入ったハード熟成チーズをプレゼン。「黒胡椒が偏ることなくチーズ全体に均等に入っている、この技術力は素晴らしい。」「薄くスライスして焼いた肉に乗せて食べたりしたい」と、料理人ならではのコメントをされました。

各賞は、農林水産大臣賞を最高賞とし、農畜産業振興機構理事長賞、中央酪農会議会長賞、審査員特別賞、金賞、優秀賞、ベストトライアル賞。

【農林水産大臣賞】ウォッシュ 滋賀県 山田牧場 カーサビアンカ ラクレット

【農畜産業振興機構理事⾧賞】ハード熟成6カ月以上 兵庫県 六甲山牧場チーズ工房 グラン

【中央酪農会議会⾧賞】パスタフィラータ 岐阜県 ITALCHEESE 合同会社 Caseificio San Francesco ストラッチャテッラ(STRACCIATELLA di San Francesco)

【審査員特別賞】青カビ 宮崎県 ダイワファーム ヤマンクッバイブルー

【ベスト・トライアル賞】トライアル 東京都 プティレジャポン ブラウンチーズパウダー

その他、受賞チーズ一覧はこちら
https://www.dairy.co.jp/cheesecontes/img/015.pdf

<編集部の注目チーズ:ベストトライアル賞を受賞したプティレジャポンのブランチーズパウダー>

ホエイ主体のブラウンチーズ。従来のブラウンチーズをさらに煮詰めて水分を飛ばし、粉状化しやすい固さにしたもの。過度な水分蒸発による鍋底の焦げを避けるため、丁寧な火加減と撹拌が必要となる、非常に手間のかかる工程で作られたチーズ。
ほろ苦さと乳由来の酸味のバランスが良いチーズです。生産者はサラダやアイスクリームにかけて楽しんで欲しいと語られました。

123工房のチーズが並び、生産者と会える試食会場は今年も大盛況。鳳凰の間が満員となる活況ぶりでした。
多くのチーズラバーや業界関係者たちが、生産者との再会を楽しみ、チーズの説明を聞きながらテイスティングされました。
ワインや日本酒のコーナーも設置され、日本の酒と日本のチーズの相性も再確認できたようです。

受賞の如何に関わらず本当にクオリティの高いチーズの数々。そして新しいアイディアを生み出すパワーも感じる試食会でした。
今後の日本のチーズの発展にさらに期待高まる機会となったようです。