11月3日(木・祝)に発売される、「SUNTORY FROM FARM 日本の新酒 2022」を手掛けた入社2年目の醸造家 圓谷朱理さんにインタビュー。

「UNITED ARROWS LTD. WINE CLUB」(以下、ワイン部)の部長 蟹澤徹さんとサントリー登美の丘ワイナリーへ突撃訪問し、ワインのことや担当した際の秘話についてお聞きしています。

後半では、ロゼワインについて、新酒づくりを振り返ってみての感想などについてお伝えしていきます。

お話をお聞きした方

サントリー登美の丘ワイナリーの圓谷朱理さん

ロゼワインについて

「SUNTORY FROM FARM 日本の新酒 2022」では、甲州とマスカット・ベーリーAの二種類が発売されます。

中でも蟹澤さんが気になったのが、“マスカット・ベーリーAをなぜロゼにしたのか?”といった部分。

その理由を圓谷さんにお聞きしました。

蟹澤「今回の新酒は、マスカット・ベーリーAをロゼとして仕上げています。近年ロゼはワイン愛好家の中で話題となっていますが、実際にまだまだ浸透しているとはいいがたい印象です。なぜ、今回新酒をロゼにしようと思ったのでしょうか。」

圓谷「早摘みのマスカット・ベーリーAの良さを引き出すためです。新酒に使用するマスカット・ベーリーAは収穫が早いものの、その分、甘味と酸味のバランスがよいといった特徴があります。この個性をしっかりといかすのであれば、ロゼがいいだろう…と設計しました。」

蟹澤「私たち『UAワイン部』は、ファッション業界からワインを推すのであれば、“ロゼワイン”といった発信をし続けています。ライフスタイルのカジュアル化が進んでいる今、ワインをその中にフィットさせるのであれば、やっぱりロゼがよいのではないかと考えています。そもそも、ロゼワインは幅広い料理に合わせられますし、1本あれば普段の食卓のペアリングで悩まなくて済むところも魅力ですよね。」

圓谷「新酒のマスカット・ベーリーAのロゼは、試作の段階で自分でも料理を作って合わせたりして設計していますし、豚肉の甘みやお味噌の甘みが感じられる料理だけでなく、幅広い料理とペアリングもしやすく仕上がっていると思っています。」

蟹澤「豚肉の甘みと味噌の甘み…。それに、先程おしゃったかぼちゃとくれば…『ほうとう』じゃないですか?(笑)。『SUNTORY FROM FARM 日本の新酒 マスカット・ベーリーA ロゼ 2022』とほうとう…。抜群に合いそうですね。」

圓谷「たしかに、ほうとうとの相性はよさそうです!(笑)。あと、個人的にロゼの色が好きといった理由もあります。心がウキウキするというか、“新酒ができた”といった喜びを表現できるワインが、ロゼワインだと思っています。」

蟹澤「自分もロゼの色が大好きです!『UAワイン部』が推している理由の一つでもあるんですよ。」

新酒づくりを終えて

「SUNTORY FROM FARM 日本の新酒 2022」の製造を通して、圓谷さん的にうまくいった点、改善していきたい点をお聞きしました。

蟹澤「新酒づくりを通して、自分的にうまくいったな…と思う点はどんなところにありますか。」

圓谷「醸造の現場に毎日足を運ぶことで、温度や比重などをチェックできたところはよかったと思っています。健全に醗酵しているか…など、新酒の醗酵状態を日々チェックしてきたので、仕上がったワインに目指した香りがしっかりと出ていました。“今年はよくできているね”と、先輩方と喜びを分かち合うことができて嬉しかったです。」

蟹澤「ネガティブなところのない、健全なワインができるところは本当に素晴らしいですね。一方で、改善していきたい点はありますか。」

圓谷「今回、ワインの醗酵温度の難しさをあらためて痛感しました。自分で考えている理想の醗酵温度に設定しても、それ通りにいかないことが多かったですね。先輩方は、その部分がとても上手で、しっかりと狙い通りの温度に調整することができます。まだ、そういった感覚を身につけるところは全然足りていないな、と感じました。」

若い世代が挑戦すること、今後の夢について

圓谷さんのような若い世代が重要なポストに抜擢されるといった話は、非常に珍しいかもしれません。

そのことについて、さらに今後やってみたいことを圓谷さんにお聞きしました。

蟹澤「若い方が挑戦できる環境があること。また、自分の手掛けたものが世に出回ることなど、こういった事例があることで若い世代も刺激を受けるかもしれません。」

圓谷「“やってみる?”といった感じで新酒の話が来た時は、本当に驚きました。重要な仕事を任せてもらえることは、正直に嬉しいですね。ただ、自分は結構プレッシャーを感じやすい、心配性な性格です。そんな中で先輩方が、“そんな心配しないでも大丈夫。チームだから”と言ってくれたので、本当に私たち若い世代がのびのびと挑戦することができます。」

蟹澤「その社風、羨ましい限りです(笑)。ちなみに、若い世代だからこその、“強み”はどんなところにあると思っていますか?」

圓谷「何でもやってみたい!と思えるところかもしれません。ベテランの方は今までの経験があり、その蓄積された技術と経験をいかしてお仕事をされています。ただ、自分はその経験が浅く、ある意味で“軸”が決まっていない状態です。そのため、いろいろとチャレンジしたいと思える部分は、若い世代の強みかもしれません。あと、挨拶の声の大きさも自分の強みです(笑)。」

蟹澤「重要ですね、そこは(笑)。そんな圓谷さんが、今後つくってみたいワインなどはあるのでしょうか?」

圓谷「ソーヴィニヨン・ブランに興味があります。自社のワインに、『ジャパンプレミアム 津軽産ソーヴィニヨン・ブラン 2019』といったものがあるのですが、それを飲んだ時に、“こんな美味しい白ワインがあるのか?”と感動した記憶があるんです。日本ワインは、美味しいと感じた瞬間でした。白桃やグレープフルーツ、パッションフルーツなど、こういった香りをしっかりと引き出せるソーヴィニヨン・ブランのワインをつくってみたいです。」

最後に

最後に、圓谷さんから9月に刷新したサントリー登美の丘ワイナリーについて、また読者に向けてのコメントをいただきました。

圓谷「新しくなったサントリー登美の丘ワイナリーでは、屋外にベンチがあり、富士山を眺めながらゆったりとワインを楽しむことができます。自然とワインが融合したような空間を楽しめますので、ぜひリフレッシュしに訪れてほしいです。また、新酒のワインですが、今年は甲州、マスカット・ベーリーAともに、香りよく酸味と甘みのバランスのよいブドウが収穫できました。秋冬の旬の食材を使ったお料理と合わせて、皆さまで楽しく、美味しく召し上がっていけたら幸いです。」

いつかは、サントリー登美の丘ワイナリーのある自社畑でブドウを育て、そのブドウでワインをつくってみたい、とも語ってくれた圓谷さん。

職人といったイメージも魅力のひとつであるワインづくりですが、一方で若い女性が携わるワインも魅力的です。

圓谷さんのような女性がつくるワインは、愛好家の方だけではなく、同世代の方なども手に取りやすいのではないでしょうか。

ちなみに、圓谷さんの「新酒」への想いは、ボトル裏面にも表現されています。

彼女が手がけた魅力溢れる日本ワイン「SUNTORY FROM FARM 日本の新酒 2022」。

ぜひ、この機会に手に取ってみてはいかがでしょうか。

参考

サントリーの日本ワインについて
http://suntory.jp/NIHON/