チョコレートにワインを合わせたい。

ワイン好きの方であれば、各ワイン雑誌やワインサイト、食品関連のサイトで何度も特集されていることはご存知だと思います。

しかし、「〇〇には、この銘柄がオススメ(ソムリエや自称ワイン関係者提案)」といったピンポイントでのマリアージュが紹介されているだけのことが多く、自分でワインを購入する際にどんなことに気をつければよいか分からない…ということも少なくありません。

もちろん傾向を知る上では重要な情報ですが、とりあえず自分で選べるようになりたいという方には若干物足りないでしょう。

ここでは、ちまたに出回っているチョコレートとワインの相性を調べた結果わかったことを簡単にまとめていきます。

さらに、その内容を踏まえたペアリングも実践してみました。

チョコレートとワインをペアリングさせたい、と考えている方はぜひチェックしてみてください。

チョコレートにワインを合わせるコツ

チョコレートとワインのマリアージュのコツ。

各メディアで多種多様なテクニックが紹介されていますが、大きくわけるとこれらに注意する必要があることがわかりました。

  • 甘さのバランス
  • 香りのバランス
  • 温度に注意する

それぞれ解説していきたいと思います。

甘さのバランス

チョコレートとワインを合わせる際、重要になってくるのが甘さのバランスです。

チョコレートがワインより甘い場合、ワインが持つ美味しさが失われ、嫌な部分だけが突出してしまいます。

例えば…

  • 果実味が薄まる
  • 酸味を強く感じる
  • 苦味をより感じる

などです。

糖度が高い(または乳製品含有量が多い)チョコレートの場合、赤・白問わずワインがもつフレーバーに関連する化合物がマスキングされてしまい、双方の美味しさを感じなくなってしまうといわれています。

「ワインとチョコレートの相性はあまり良くない」と感じている方は、大量生産されている市販の甘いチョコレートとドライなワインを合わせていたかもしれません。

詳しくは後述しますが、ワインとチョコレートを合わせる際の基本として、「ワインがチョコレートを上回る甘さや風味」を持っていた方がよいでしょう。

ちなみにここでいうワインの甘さとは、糖度もですが「甘やかな果実味」とか「グリセロール由来のまろやかさ」と考えてください。

香りのバランス

甘さのバランスを整えたら次は、香りの共通項を探していきましょう。

一般的なワインペアリングでも香りは重要視されていますが、チョコレートの場合もそれと同じ。

チョコレートが持つ香りや風味に近い要素を持つワインを当てることで、マリアージュの成功率がぐっと高まるとされています。

例えばスパイシーさが感じられるチョコレートであれば、シラーなどスパイシーな要素を持つ赤ワイン、オレンジピール、ベリー、ナッツなどがちりばめられたチョコレートであればその要素を持つワインを選ぶと親和性が高まるでしょう。

チョコレートの中に液体状のベリーなどがふくまれているものなどは、ジャミーな風味の赤ワインなどと相性が良いかもしれません。

温度に注意する

案外、見逃されがちな要素が「温度」です。

ご存知の通り、ワインは温度が下がるとフレッシュさがアップするものの、感じ取れる香りの要素は少なくなり、酸度、渋みが高まります。

ワインの個性によって温度は変化させるのは有効ですが、チョコレートと合わせる際には温度管理に注意をはらった方がよいでしょう。

例えば、板チョコレートなど一般的なチョコレートが溶ける温度はおよそ28度ほどといわれており、口に含んだ時に体温で溶け出すようにできているそうです。

ワインを冷やし過ぎてしまうとチョコレートと合わせた時にチョコレートが溶けきらず、風味が損なわれるためペアリングのバランスが崩れるといわれています。

ただし、板チョコではなく、生チョコなど柔らかなチョコレートは溶けやすい状態であるため逆に冷やしたワインとの相性が抜群です。

そのためなめらかな生チョコレートであれば、しっかりと冷やした貴腐ワインなどの相性が良さそうですね。

ワインと合わせるならプレミアムチョコレートがオススメ

「甘さのバランス・香りのバランス・温度」。

この3つのコツを意識しながらワインとチョコレートを選べば、“ひとまず”ペアリングの成功確率は高まるはずです。

しかし、大前提としてチョコレートの品質にはこだわるべきでしょう。

前述したように、大量生産されているチョコレートの場合、甘さ(人が美味しく感じる)に調整されていたり、自然ではない風味で香りが演出されることが少なくありません。

香りの要素が近しいと思っても、やはり甘さ(強度)のバランスが崩れてしまうことから、「ワイン×チョコレート」のマリアージュは成立しにくくなってしまいます。

香りの要素もナチュラル…というより、違った意味でバラバラだったりするので繊細なワインの風味とは喧嘩してしまうことになるでしょう。(ふつうに食べる分には美味しいと思います)

一方、近年日本でも注目されているプレミアムチョコレートは原料となるカカオ豆の個性をピュアに表現するアイテムであり、甘さと香りを意識する際に使いやすいチョコレートといえます。

ちなみにプレミアムチョコレートの場合、「アルデヒド」、「ピラジン」、「エステル」といった特徴的な揮発性物質が存在しており、ナッティ&フルーティー&フローラルといった香りの要素に大きく関与していると示唆されていました。

ナッティ&フルーティー&フローラルは、まさに高品質なワインにとっても重要な要素です。

多くのメディアで紹介されているワイン×チョコレートの組み合わせをみても、基本的にはオーガニックや希少なカカオ豆が使われている「プレミアムチョコレート」がベースとなっています。

おそらく、皆さんがワインとチョコレートを合わせようと思うときに用意されるワインはとっておきの1本でしょう。

品格を合わせる…という要素もワインペアリングのひとつだといわれていますので、ぜひプレミアムチョコレートでペアリングを楽しんでみてください。

実際にペアリングしてみた

これらコツを考慮した、「ワイン×チョコレート」のペアリングを実践してみました。

まず、チョコレートは成城石井のシングルオリジンチョコレートシリーズの〈シングルオリジンチョコレート ペルー(カカオ分64%)〉

華やかなドライフルーツの芳香、フレッシュ&フルーティーノートのチョコレートと解説されています。

カカオ分64%がやや多いですが甘やかさもありそう。

フレッシュ&フルーティーというこで、白ワインかロゼもいいような気がします。

いろいろ考えた結果、選んだワインはBookRoad 〜葡蔵人〜の〈オレンジデラウエア〉

デラウェア特有のフルーティーさと爽やかさ、酸味もほどよくフレッシュ&フルーティー。

とはいえ、オレンジワインなのでボディ感も〈シングルオリジンチョコレート ペルー(カカオ分64%)〉に負けない強さ(甘さ)もあるはずです。

実際に合わせてみると、予想通りの好相性。

チョコレートの甘さにまけないデラウェアの果実味。

デラウェアのフルーティーな風味がチョコレートに加わりますが、余韻はチョコレート特有の香ばしい風味…。

時間によって香気成分が変化していく、大人のペアリングを楽しむことができました。

大人のペアリングを楽しもう

衝突しやすいといわれているワインとチョコレートですが、ちょっとしたコツをつかめばマリアージュさせることができます。

チョコレートを用意した後、ペアリングの要素を考えながらワインショップやネットでワイン探しをしてみるのもおもしろいでしょう。

もちろん、チョコレートにも「ミルク、ホワイト、ダーク」など種類があるため、ワイン先行で逆にチョコレートを探す…というのも一興です。(近頃人気のBean to Barの店主に相談してみるのもいいかもしれませんね)

ワインとチョコレートは大人な雰囲気のペアリング。

ぜひ、チャレンジしてみましょう。

参考

明治ザ・チョコレートの開発フレーバーカカオ豆の香りに着目した新価値創出

How To Pair Wine And Chocolate

How to Pair Chocolate and Wine: The Ultimate Guide

How to Pair Wine With Chocolate?

5 Myths about Pairing Wine and Chocolate – 37 Chocolates