みなさまこんにちは。
ワイン・食・人 磯部美由紀です。

わたくし普段は、日々の食卓で季節ごとの食材と様々な日本ワインをペアリングし試行錯誤して楽しんでおりますが、今回はワインスクールが開催する講座に参加し、”スクールが教えるペアリング”を学んでまいりました。

ワインスクール レコール ・デュ・ヴァンが開催するこの講座は、回ごとにテーマが違っており、単発受講が可能です。
今回私が参加したのは、丹下慶子先生がご指導くださる南フランスの料理とワインペアリングの回です。
丹下先生は、ご自身で「さくらキッチン」というパン教室も主宰されており、今回は先生のパンも楽しめるという特典も!

南フランスのワインの特徴

ニースやカンヌなど有数のリゾート地を擁することで知られるこの地は、なんといってもロゼワインの豊富さが大きな特徴です。
ワイン生産量の89%がロゼという、生産量、消費量ともに、とにかくロゼワインがとても多いです。

南に地中海を望むプロヴァンス地方は、典型的な地中海性気候で、夏は暑く乾燥し晩秋から冬にかけて降雨があります。
ミストラルと呼ばれる強く冷たい風も、ソムリエ試験を勉強した方は記憶におありでしょう。

主に栽培されている品種は、白はヴェルメンティーノ、ユニ・ブラン、グルナッシュ・ブラン、黒はシラー、グルナッシュ、サンソー、ムールヴェードルなどですね。

 

会場は白金台のフレンチ「ジョンティ・アッシュ」

恵比寿のミシュラン3つ星 “ジョエルロブション”で経験を積み、フランスにて修業を重ねた平野敬祐氏が、こだわりの静岡県地元食材はもちろん、全国各地、また世界の旬の食材を選び抜き、フランス料理の技法をベースに腕をふるいます。
今回は南フランス。南仏といえば、ラタトゥイユやブイヤベース、ラングドックのセート風などがいただけるのでしょうか。

店内は大変贅沢な空間。
ワインスクールの教室での授業とはだいぶ雰囲気が違い、こんなに楽しいクラスある!?とこっそり歓喜です。

料理ごとのペアリングの様子

ソムリエ教本を読むと、ワインとともにその地方の料理があげられていますが、実際に食べたことや見たことがないとイメージが湧きにくいと感じた経験はありませんか。
また、知っている料理でも、同産地のワインとの組み合わせは実際にはどんな感じなのだろう?と試してみたくなったり。
それらを実現できるこのクラス、しっかり五感で覚えることができそうですね。

さて、ペアリングの様子をご紹介いたします。

・2020 Cremant de Limoux Le Clos des Demoiselles<j.Laurens>
×ブランダードのベニエ、小さなピサラディエール、フダンソウのバルバジュアン、栗とパンチェッタのヴルーテ

シャルドネ60%,シュナン25%,ピノ・ノワール15%
シャンパーニュ地方出身の造り手によるクレマン。
トラディッショナルな製法でとてもエレガントな仕上がりです。
南仏地方の伝統的なおつまみたちを手でつまみながら、スタートです!

・Insolence Rose<Estandon>
×ラタトゥイユ

グルナッシュ主体、シラーのロゼ。
ベリーやハーブのニュアンスがとても爽やかでした。
”生意気”という意味のInsolenceがぴったりな気軽に楽しめるワイン。

そして合わせたお料理ですが、これ本当にラタトゥイユ?という斬新な外観の一皿。
全て別々に野菜を調理後、トマトのゼリーでキューブ状に包まれています。
使用している食材や調理法からいえば、れっきとしたラタトゥイユだそう。
ただ一つ、ラタトゥイユを名乗るには重要な食材、バジルが欠けていました。
なんとそれは、一緒に提供される丹下先生のバジルパンと合わせてラタトゥイユが完成されるという仕掛け。

・2021 By.Ott Rose<Ott>
×紋甲イカのセート風

プロヴァンスのロゼ品質向上の第一人者であるOtt。
アルザス出身で、2004年にルイロデレールとパートナーシップを提携している実力造り手として有名です。
本来、セート風のような港町料理にはカジュアルな白ワインなんかを合わせることが多いそうですが、ペアリングの重要な要素のひとつ「お料理とワインの格を合わせる」という法則により、今回の少しラグジュアリーなセート風には、グルナッシュ、サンソー、シラーから造られるしっかりめで上品なロゼワインがセレクトされたようです。

たしかに本家のセート風とは外観から異なります。
添えてあるのは本家はバターライスだそうですが、今回はルイユのリゾットでした。

・2021 Bandol Rose<Tempier>
×徳島産黒鯛のポワレ ブイヤベースのジュとひよこ豆のエクラゼ

Bandolの中でも歴史ある造り手さんのロゼ。
ムールヴェルド主体、グルナッシュ、サンソーのこちらは、とてもふくよかで、余韻が長くなめらかな印象です。

口に運べば、ブイヤベースの複雑味のある魚介系のソースが、よりワインの旨味を膨らませる働きをしてくれ、ペアリングの醍醐味のようなものを味わえる組み合わせ。
真鯛やムール貝、オマールなどでじっくりと出汁をとったというソースは逸品です。

・1999 Ch.Montus XL<Alain Brumont>
×カスレトゥールーズ風

シャルキュトリーたっぷりのカスレには、やはりパンチの効いたワイン。
さすがにここはロゼではなく、赤ワインの登場です。
タナ100%で40ヶ月樽熟成したワインは、果実味豊かで凝縮感たっぷり。
料理とワインの重さを合わせることで、かなりの満足感を得ることができました。

・2016 Monbazillac<Cordier>
×オレンジのマリネ ラベンダーのジュレとアーモンドのグラスを添えて

ペアリングはデザートにまで続きます。
霧深い地方で作られた貴腐ワイン。
南西のソーテルヌと呼ばれ、甘さの中にも心地よい苦味を感じることができ、グランマニエでマリネされたビターオレンジによく合いました。
また、味わい深い貴腐ワインはラベンダーの強めな芳香にも上品に寄り添い、優雅に食事の締めくくりを演出してくれました。

まとめ

今回のペアリングでは、産地を合わせる、ワインと料理の重さ軽さを合わせる、格を合わせるなどを実際に体験しました。
また、ワインだけでなく、食材を補ったり、日本食でいう白米のような役割をしたり、料理の素材と同素材でワインと繋ぐ役目を果たしたりというパンの様々な存り方についても勉強することができました。

このような構造は、南仏に限らず普段の日本ワインと家庭の食卓を考える場合にも、十分に参考になるものと思います。
机上でのお勉強に加えて、実際にこのような体験をされるのもまた良い機会になるかもしれませんね。

このシリーズ、次回はエスキスのシェフソムリエの経歴を持つ太田賢一先生によるロワール編が開催されるそうです。

日程:2023年4月21日(金)
時間:昼の部 12:30~   夜の部 19:00~
価格:25,000円(税サ込)

※お申し込みや詳細はレコール・デュ・ヴァンにご連絡ください

https://www.duvin.jp/event/2041
https://www.duvin.jp/event/2040

こんなにあります!日本のロゼワイン

日本でも最近ロゼワインは意外と豊富に造られています。
山菜など春の食材には、見た目にもお味にもロゼワインがおすすめです!
ご家庭でおこなう春のペアリングにいかがでしょうか🌸

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