ふと、“ワインはどのように瓶詰めされているのだろう…”と思ったことはないでしょうか。
大手・中堅ワイナリーであればそれ相応のマシンが活躍していますが、小規模のブティック・ワイナリーなどでは手作業で瓶詰め作業がおこなわれています。
ここでは、ワインの瓶詰め作業について解説。
ワイン雑学のひとつとして覚えておいてください。
ボトル選び
ワインの瓶詰め作業は、まずワインボトル選びからスタートです。
ワインボトルにはさまざまな種類があり、その中でも生産者は主に750mlのボトルを使用します。(ほか、100mlから15,000mlまでさまざまなワインボトルがある)
ワインボトルには、「ボルドー型」や「ブルゴーニュ型」、「アルザス型」などがあるため、生産者側は自分の造るワインのスタイルに合わせてそれを選択。
ワインボトルの形や色を上手に選択することで、消費者にワインの個性をわかりやすく伝えることができます。
衛生面のケア
ワインはとても繊細なお酒です。
ボトル内に細菌が入っていたり汚れがあったりすると、その味わいが一気に変化してしまいます。
そのため生産者はワインを瓶詰めする前に、ボトルの洗浄と乾燥をおこなった後、不活性ガスなどを使用。
瓶詰め前には安心・安全なワインを届けるための手間が必要になります。
ワインはその性質上、瓶詰め前がアロマやフレイバーが酸化による影響をもっとも受けやすいタイミングです。
そのため、二酸化炭素や窒素などの不活性ガスの使用は必須といえるでしょう。
ワインの流入
ワインボトルが清潔な状態になったら次はワインの流入です。
樽やステンレスタンク、専用機器、またはサイホンなどから瓶内にワインを流入させていきます。
この時に注意すべきは飛沫を立てながら流入するのではなく、一気に流入してしまうか最小の流量で入れていくこと。
この時、瓶内は不活性ガスが充満しているものの、飛沫を立てると空気中の酸素がワインに影響を与える可能性があり、ワインが劣化する恐れがあります。
ただし一般的なワイナリーでは瓶詰めの専用機器が使用されているため、この部分のミスによる劣化したワインはほとんど市場には出回っていないでしょう。(もちろんゼロとは言い切れませんが…)
コルキング
ワインをボトル内に流入させたら、即座にコルキングの作業に入ります。
スクリューキャップのワインが増えていますが、手作業では難しい上にさらにそれ専用の機器は高額であることから、大手や中堅ワイナリーでないと取り入れるのは難しいといわれているようです。
そのため、一般的なコルクの打栓工程についてお伝えしていきます。
まず、コルクの打栓するためには、コルカーと呼ばれる機器を使用します。
いろいろな種類がありますが、主に床置きタイプが人気です。
コルカーにワインボトルをセットし、飲み口にコルクを挿入。
コルカーのハンドルをおろすとコルクが圧縮し、プランジャーによってコルクがボトルの首部分にしっかりと入り打栓完了です。
一般的に圧力を逃がすために1から2日はワインボトルを立てておき、その後は逆さま、またはボトルを寝かせてコルクを湿らせるように保存されます。
ラベル貼りなど
ここまでくればワインはすでに瓶内に入っているため、基本的に瓶詰め作業は終了です。
しかし、このワインを市販する場合はラベルを作成して貼ったり、飾りのためにボトルの頭に付けるカプセルなどをつける作業をおこなう必要があります。
カプセル自体は飾りとして、コルク劣化などを防ぐ目的で使用されているようですが、ワインの品質を左右することはありません。
一方のラベルもワインの品質を左右するものではないですが、市販する上で重要な表示事項の印字やワイン情報を記載する必要があり、手の抜けない作業となります。
そもそも、ほとんどの消費者はラベルに記載された情報でしかそのワインを知ることができません。
さらに中には、「ジャケ買い」と呼ばれる“ラベルデザインの善し悪し”だけでワインを選ぶ方もいるため、現実問題として中身以上にラベルのインパクトは重要といわれているのです。
ワインラベルは手書きまたはPCでデザインされ、大手であれば機械が、小規模であればマンパワーで1本ずつボトルに貼付けられます。
極端かもしれませんが、手塩にかけたワインが売れるか否か、このラベルデザインと情報にかかっているといっても過言ではないのではないのです。
瓶詰め作業風景も面白い!
ワイン造りというとブドウ栽培や醸造工程の目立つ部分に光が当たりがちです。
しかし、地味でありながら最後の瓶詰め作業もじつはとてもデリケートで重要な工程のひとつです。
ぜひ、小規模ワイナリーの瓶詰め作業を拝見できる機会がある方は、その現場に立ち会ったり、手伝いを志願してみてはいかがでしょうか。