秋から冬にかけてスーパーなどで見かける機会が増える果実、「柿」。

品種によって出回る時期に違いはありますが、柿は9月から12月に旬を迎えると言われています。

独特の食感と甘味、滋味深く、強いうまみを感じる柿は日本人にとって大切な果物のひとつです。

本記事では、柿とワインの相性を考えます。祝日の午後、熟した柿とワインを合わせたくなるような、おすすめの組み合わせを紹介しましょう。

柿について

柿について下記の内容でまとめました。

  • 柿とは?
  • 柿の歴史
  • 柿の品種や選び方

それぞれ解説します。

柿とは?

柿とは、カキノキ科カキノキ属の一種に分類される果実です。

日本でも古くから栽培されてきた果実で、“国果”としても知られています。

柿の主な先産地は中国や韓国、日本ですが、スペインでも多く栽培されているようです。(日本の主な産地は、和歌山県・奈良県・福岡県)

冒頭でお伝えしたように柿は9月から12月の秋・冬シーズンに旬を迎えますが、品種によって市場に出回る時期に違いが見られます。

柿には早生品種と中生品種、晩生品種があり、早いものは9月上旬、遅いものは11月頃に収穫タイミングを迎えるようです。

ちなみに柿はハウス栽培も行われており、7月には収穫を迎えるものもあります。

早生品種は歯応えのよい食感が特徴で、晩生品種は柔らかく甘みの強さが特徴、中生品種は食感・甘みのバランスの良い食べやすい味わいが特徴です。

ハウス栽培されたものは理想的な環境が整えられているため、栄養価も高く甘みも乗っている特徴があります。

柿は栄養価が高く、ビタミンCとビタミンAが豊富に含まれているだけでなく、食物繊維、β-カロテン、タンニン、カリウムなどが含まれます。

“柿が赤くなれば医者が青くなる”といったことわざがあるように、食べ過ぎには注意ですが、バランス良く日々の食生活に取り入れたい果実でもあるのです。

柿の歴史

柿は古くから日本で栽培されている果実であり、奈良時代にはすでに存在していたことが裏付けられています。

また、縄文時代や弥生時代の遺跡からも柿の種が発見されていることからも、日本最古の果実と言っても過言ではない歴史を持っているようです。

鎌倉時代には日本固有の甘柿が生まれ、江戸時代になると品種名が見られるようになり、品種改良も進みます。

明治時代に入ると「柿の王様」と称される富有柿が岐阜県瑞穂市(旧本巣郡巣南町)にて誕生するなど、品種改良が加速。

なんと、柿は日本国内だけで約1,000種類の品種が存在しているとも言われているほどです。

ちなみに、甘柿が世界的にも人気を博しているそうで輸出量も増えているそう。

日本の柿は、“KAKI”として世界でも親しまれているようで、アジアでは高級フルーツのひとつとして愛されているとのことです。

柿の品種や選び方

柿には多くの品種が存在します。

上記でお伝えしたように日本には 1,000近くの品種が存在していますが、中でも代表的な品種が下記です。

  • 富有柿
  • 次郎柿
  • 太秋柿
  • 平種核柿
  • 蜂屋柿など

中でも富有柿は青果売場でよく見かける柿で、日本国内で最も栽培されている品種です。

ちなみに、平種核柿は10月の下旬から旬を迎えますが、次郎柿は10月下旬、富有柿は11月頃から旬を迎えるなど品種によって食べ頃に違いが見られます。

また柿には、等級が存在しており、秀(赤秀)を頂点に、優(青秀)、良、規格外の4つに分類されています。(見た目の問題で、味には大きく影響がないそう)

サイズは190から219gのMサイズから、350g以上の4Lサイズに分類されるなど、同じ品種の柿であっても評価に違いがあるようです。

美味しい柿の見分け方を下記にまとめました。

  • 皮に張りとツヤがある
  • ヘタと果実に隙間はない
  • 色付きが良い
  • ずっしりと重たい
  • 黒い横すじがあれば熟している

食感も良く甘い、ジューシーな柿を選びたい場合は参考にしてみてください。

ただし、硬い柿が好きな方もいるでしょうし、料理に使うとなれば熟しすぎていないものを選ぶといった場合もあるでしょう。

柿は個人の好み、また用途に応じて選ぶようにしてみてください。

ワインと合わせる上で知りたい柿の特徴

柿は果実であり、ワインとは良い相性を示すようなイメージを持ちます。

しかし、ワインにもさまざまな種類があるため、できれば、“ベスト”と感じられる組み合わせで楽しみたいところです。

柿に合うワインを探すために、まず柿の特徴を考えていきましょう。

ワインと食材(料理)を合わせるテクニックのひとつに、香りを合わせるといった方法があります。

ワインが持つ香りと食材の持つ香りのバランスが取れるだけでも、ペアリングが成立しやすくなるでしょう。

しかし、柿は香りが少ない果実として認識されており、香りのプロからも、“香りが少ないだけでなく、特徴的な香りもない”と言われています。

柿のなんとも言えない甘く熟した香りを感じることはできますが、どんな香りかと言われればイメージしにくい方もいるかもしれません。

香りがないわけではないが、だいぶ弱いといった部分が柿の特徴かもしれません。(ブドウやイチゴ、りんごのような、〇〇フレーバー”といった柿風味のお菓子が少ない理由もこれ?)

そもそも、柿には酸味もほとんどなく、その味わいの評価は、“甘み”と“食感”が決め手とされています。

また、柿の甘味成分は7割以上がショ糖と言われており、ブドウ糖や果糖とは違った自然な甘みが特徴です。

品種によってはスパイスのニュアンスもあるようですが、よく熟している日本の柿はそこまで感じることはないでしょう。

タンニンも柿が含有する特徴的な成分ですが、一般的に市販されているものは甘柿ですので渋さが強いものを見かけることはありません。

では、これら条件からどのようなワインが合いそうなのか探っていきましょう。

柿と合わせるワインの特徴は?

柿とワインを合わせる際のポイントとして、柿は甘みが強く食感が良い、酸味が弱い、香りが少ないといった特徴をいかします。

甘口ワインはおすすめですが、糖分を気にされる方や柿の持つ繊細な甘みと風味がマスキングされてしまうといった懸念を持つ方もいるかもしれません

タンニンを感じる赤ワインやオレンジワイン、ロゼワインは柿に渋みをプラスするほかに、ベリー系のニュアンスをプラスするため少し方向性に違いが出てきそうです。

では、考え方を変えて柿はどのような食材と合うのか考えていきましょう。

柿は豚肉と良く合うと言われており、ソースに使用されることがあります。

美味しい豚肉は臭みがなく、甘みと旨味が強く酸味が少ないことが条件とされているほか、食感もしっかりとしているため合いそうです。

また香りが少く甘い、酸味がないといった部分から、柑橘やスパイスを加えるとぼやけた柿の風味がグッと引き締まり大人の味になると言われています。

そうなると、ペアリングしたくなるのが白ブドウ品種のゲヴュルツトラミネールです。

ゲヴュルツトラミネールはフランスのアルザスやドイツ、北イタリアで有名な品種ですが、北海道でも質の高い同品種のワインが多く生産されています。

ゲヴュルツトラミネールといえば、スパイスのニュアンスを感じる品種として知られており、ほかにはライチやトロピカルフルーツ、若干の柑橘のニュアンスも特徴です。

味わいは柔らかく濃厚な果実の甘みがある一方で、リースリングと比較すると酸味は穏やか。

辛口も魅力的ですが、中甘口でつくられたゲヴュルツトラミネールは蜂蜜のニュアンスも出てくるため、柿にぴったり合いそうです。

実際に、下記にてゲヴュルツトラミネールと柿を合わせてみました。

ゲヴュルツトラミネールと柿のペアリング

柿はシンプルにそのまま、富有柿をカットしました。

ゲヴュルツトラミネールはライチやバラの華やかさとスパイシーな香りが特徴です。

柿は甘くシンプルでクセのない味わい。

ゲヴュルツトラミネールを合わせるとスパイシーさとアロマティックな香りが柿の甘みの上に乗り、複雑な風味になります。

柿とワインの甘みのバランスが良く、どちらかが突出することはありません。

ゲヴュルツトラミネールの強すぎない酸味が後味を引き締め、柿がエレガントな印象になりました。

忖度抜きに、とてもゲヴュルツトラミネールと柿は最高の相性です。

調理した柿にもとても合いそうなので、ぜひ試してみてください。

まとめ

柿とワインを合わせる際、スパイシーかつアロマティック、酸味が強すぎない甘みを感じる白ワインを選ぶと良いでしょう。

もちろん、スパークリングワインもおすすめですが、シャープ過ぎないものが良いかもしれません。

赤ワインであれば、甘めのランブルスコのようなスパイシーかつ微発泡、酸味も穏やかでタンニンはほぼ感じないもの、ナチュール系のマスカット・ベーリーAなども良いかもしれませんね。

今回はゲヴュルツトラミネールをおすすめしましたが、ほかにもワインと柿のベストペアリングを自分なりに探してみてはいかがでしょうか。

参考

https://sanchoku-prime.com/articles/persimmon_season

https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-05660023

https://www.fuyugaki.com/?mode=f7#color

https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/130300/20/21/tisiki/rekisi.html