”五感を通じて自然に還れる、感動と癒しの空間を創造するワイナリー”として、2019年にオープンした北海道仁木町のNIKI Hills Winery。
2014年に事業をスタートし、今年の7月7日で10周年を迎えます。

気候、地形、土、そのどれもが特徴的で仁木ならではの味わいを生み出すワイナリー。それらに触れ楽しみ、さらには併設レストランにてその土地の食材を使った料理とのマリアージュに舌鼓を打ち、心もお腹も満たされラグジュアリーな部屋にて仁木の朝を迎える。そんな体験が叶うワイナリー。
一度は行ってみたい!という方も多いのではないでしょうか。

今回、NIKI Hills Wineryの本社DACホールディングスにて、新商品および新ヴィンテージのお披露目が行われました。
ワインの試飲はもちろん、会にて披露された日本ソムリエ協会名誉顧問の熱田貴氏や醸造家太田麻美子氏のお話しなどを交え、どのようなワイナリーであるか、改めてご紹介していきたいと思います。

(一社)日本ソムリエ協会名誉顧問の熱田貴氏が語る!北海道および仁木のワイン

熱田氏は、オープン当初からNIKI Hills Wineryの監査役として、ワインの監修を務められています。
インタビュアーは(WSET)Level 4 Diplomaホルダーの近藤美伸氏。(さらにこの度、国際ソムリエ協会(A.S.I.)」が世界基準のソムリエを認定する資格試験「International A.S.I. Sommelier Diploma 2024認定試験」において、一番評価の高いゴールドで合格されています)
お二人によるパネルディスカッションでは、北海道のテロワールや仁木のワインについて語られました。

<近藤氏>最近の北海道ワインは、日本全体の中でも人気が高まっていますが、熱田先生の思われる北海道ワインのイメージはどんなものでしょうか。
<熱田氏>北海道のワイナリーはこの10年前で約3倍に増加し、現在64軒あります。全体として気候風土に恵まれているということでしょう。
そうしたことからも”GI北海道”に指定されており、”北海道”全体としての特徴も大事だとは思います。一方で、北海道はとても面積が広く、道東、道南、道央によって気候風土が全く違います。やはりそれぞれのエリアの特徴が味わえるワインを造っていきたいですね。

<近藤氏>どんどん発展している日本ワイン。現在多くの産地でそれぞれの特徴をどう表現すべきか模索途中だとは思いますが、先生は仁木のワインの特徴についてはどう思われますか。
<熱田氏>私がワイン造りをしていたSaint-Emilionは、今はもう樹齢が古過ぎて植え替えているところも多いです。一方で、仁木はまだ10年程度。これからあと15年くらいすれば、飲み手のみなさんがあっと驚くようなワインが出来てくると思っています。それらの過程も合わせ、ゆっくりと長く親しんでもらいたいですね。

<近藤氏>仁木の土壌について、特筆すべきことはありますか。
<熱田氏>ワイナリーの裏、数分のところにゼオライト山があります。ゼオライトは、数百万年前からの羊蹄山の火山活動によって積もった多孔質の天然鉱物です。この石は熱を出します。そして雨が降ってもすぐに乾燥するという特徴がある。そのためゼオライトのある3-5m上の土はカラカラに乾燥している。だから葡萄は頑張って根を伸ばすため、ワイン用葡萄栽培にはもってこいの土壌です。

<近藤氏>確かに、仁木の圃場は雨が降るとドロドロになってしまうのですが、水捌けが良くすぐに乾くのが特徴ですね。また、以前ゼオライトを見たフランス人が「毒を排除してくれる石だね」とも言っていました。
<熱田氏>悪いものを吸い込んでくれるパワーもあると言われている石です。まさに自然界からの贈り物。ここでワインを造りなさいと神様が言っているような気がしますね。

<近藤氏>品種についてお伺いします。北海道は冷涼な産地なので、ケルナーやツヴァイゲルトレーベが成功しています。また最近はシャルドネやピノも人気になってきています。仁木における今後の品種の展望としてはいかがお考えでしょうか。
<熱田氏>正解がわかるのはあと10年以上かかると思っているが、土壌には恵まれているので、適した品種を探すため今は多種類植えていかないとね。官能テストをしっかり毎年やっていき、丁寧に研究していく必要がありますね。
育った葡萄をどう扱っていくか、多くの方に飲んでもらいながら意見をいただきながら、造っていきたいですね。

<近藤氏>日本ワイン全体としての今後の展望についてお伺いできますか。
<熱田氏>たとえば「日常でワインをどう楽しんでいくか」のような日本におけるワイン文化の醸成も大事ですね。
WHO推奨の1日あたりのワインの適量はそう多くない。合わせてチーズを食べたり休肝日を作ることによって、ゆっくりと日常でのワイン文化が育っていくのではないでしょうか。
真のワイン文化は、高級なものだけでなく、家庭のワインをいかにして楽しむかということでもあると思います。

醸造家・太田麻美子氏によるNIKI Hillsのワイン造り

醸造家の太田麻美子氏にはオンラインにて、ワイン造りについてお話しを伺うことができました。

ー2022年のワインについて
HATSUYUKI2022は、2021年と比較するとより葡萄本来のポテンシャルを引き出す形で造っています。

スキンコンタクトによりアロマをさらに引き出す方法を取りました。
一年一年、ワイナリー全員が一丸となって造っています。そのような成長や変化についてもあわせて楽しんでもらいたい。

ーNIKI Hillsのワイン造りのこだわりは、どのような点でしょうか
私たちはまず”お客様にとっての一本”ということを大事にしています。
お手元に届いた時に喜んでもらえる健全な状態でというのは大前提。そして、きれいな造りというか、最低限のクオリティは必ずお届けしたいと思っています。私たちの想いが届けられたら良いなと日々のワイン造りに励んでいます。

また、余市川の左岸らしさのテロワールを表現していけたらと思っています。

編集部が見つけた注目ワイン!

ワイン今回編集部が注目した今期の注目ワインをご紹介します。
(写真をクリックすると商品購入画面【CRAFT WINE SHOP】に移動します🍷)

【NEIRO Assemblage 2023】

NIKI Hills Wineryのワインファンの皆さまは、NEIROのラベルがこれまでと違っていることにお気づきかもしれませんね。
こちらは、もともとのNEIROに使用されていたバッカスに、今回ケルナーがアッサンブラージュされたもの。
バッカスとケルナーのアロマティックがとてもフレッシュです、またアルコール度数が10.5%と低めで軽快ながらエレガントな雰囲気も持ち合わせています。

(近藤氏コメント)
2023年の収穫では、ブドウ糖度が上がりにくい傾向にあったのですが、補糖はせずにできるだけピュアに仁木のテロワールを表現したいという醸造家の思いがありました。
醸造段階からワインのテイスティングに至るまで、一つ一つの判断を慎重に、オーナー、醸造家、ソムリエでテイスティングやディスカッションを行い、NEIRO Assemblageが出来上がりました。
NIKI Hillsには5名のソムリエと2名のワイン・エキスパートがおります。 そして、NIKI Hillsの親会社である広告会社DACグループに在籍するワイン・エキスパートも含めると合計で11名のテイスターがおり、世界に通用するワイン造りを目指しております。
 
【HATSUYUKI 2022】
NIKI Hills Wineryといえば、やはりHATSUYUKIを最初に思い浮かべる方も多いでしょう。
2015年から造り続けているフラッグシップワインです。
 
(近藤氏コメント)
HATSUYUKIは、ケルナー100%のワインです。ケルナーは、トロリンガーとリースリングの交配品種で、飲んでみるとそのアロマティックさやフレッシュで高い酸味から、父親リースリングの面差を感じます。
北海道はドイツやオーストリア系の品種のワインが多くありますが、中でもケルナーは見事にその特徴を表現し成功しています。HATSUYUKIは、清廉な北海道らしさが感じられるワインで、和食とも好相性です。
 

最後に

この10年の確かな歩みにより、国内外のコンクールでも複数のアイテムが受賞するなど、NIKI Hillsのワインは高く評価されてきています。
それでも”まだまだ夢の途中”と語る彼ら。さらにこの先、どのような進化を遂げるのでしょうか。
 
さて、今年は10周年ということで8月にはワイナリーにて盛大な記念パーティーが予定されています。
旅先の候補としても、ご自宅でも、ぜひ今注目のNIKI Hills Wineryのワインを楽しまれてみてはいかがでしょうか。