日本が世界に誇るブドウ品種のひとつが、甲州。
フィネスのある品質の高いワインを生み出す白ブドウで、世界的にも高く評価されています。
今回、そんな甲州の「和柑橘の香り」と「苦み」に注目。この2つの要素をキーポイントにした、甲州に合う料理を紹介します。
料理研究家の尾田衣子さん考案、甲州の「和柑橘の香り」と「苦み」に合うレシピです。
甲州の「和柑橘の香り」と「苦み」とは?

甲州は、完熟すると果皮が薄い藤紫色になる、“グリ系”と呼ばれる白ブドウ品種。
生食用も兼ねていることからヴィティス・ラブルスカ(アメリカ系品種のことで、ブドウジュースのような香りが特徴)とイメージされていますが、じつはヴィティス・ヴィニフェラ(ヨーロッパ系品種。シャルドネやソーヴィニヨン・ブランなどと同じ系統)です。
その昔、香りが弱く水っぽいワインと低く評価されていましたが、甲州のポテンシャルを最大限引き出すための栽培・醸造技術の発展により、世界のトップワインに比肩する品質のワインを生み出す品種へと成長を遂げています。
さて、そんな甲州のテイスティングでよく挙げられる特徴が、「和柑橘の香り」と「苦み」です。

甲州にはソーヴィニヨン・ブランにふくまれている各種チオール系物質が存在することが発見されていますが、グレープフルーツ様の香りとともに、“カボスやスダチ”など和柑橘の香りも感じられます。
また、品種特性とともに果皮がやや厚めのグリ系であることから一般的な白ブドウ品種よりもポリフェノールなどの影響を受けやすく、後味にほのかな、“苦み”を感じるところも特徴でしょう。
これら要素がほかの品種にはない甲州らしさを構成するポイントですが、あえてこの特徴を、“ペアリング”に活用してみるもおすすめです。
甲州に合わせるおすすめレシピ
ワインと料理のペアリングを考えるとき、香りや風味、テクスチャーなど共通点を探すと成功しやすくなります。
そこで今回は、甲州の「和柑橘の香り」と「苦み」に焦点を当てました。
料理研究家の尾田衣子さんが考案する、「甲州に合わせるおすすめレシピ」を紹介します。
アジとクレソンのすだち和え

- 【材料】2人分
アジ(刺身用)…1尾
みょうが…1個
クレソン…1束
刺身のつま(荒く切る)…適量
すだち…1個醤油…小さじ2
ごま油…大さじ1
白ごま…小さじ2
- 【作り方】
- アジは3枚におろし、皮を引き、薄切りにする。
- みょうがは小口切り、クレソンは茎を細かく、葉は2㎝幅に切る。すだちは1/2個薄切りにし、更に8等分にする。
- ボウルにアジ、みょうが、クレソン、すだちを入れ、醤油・ごま油・白ごまを加えて軽く和える。
- 器に盛り残りのすだちを絞る。
- Point
★アジで季節感を演出。和柑橘として皮の苦みもやわらかなすだちを使用しています。そこに、5月頃がおいしい季節のクレソンやみょうが、お刺身の「つま」など春野菜の苦みもプラス。ごま油と醤油、すだちの搾り汁で味付けした、酸味と苦みのバランスがおいしい一皿です。
- ペアリング
★和柑橘らしいすだちのやわらかな酸味が、甲州の柑橘の香りと調和。春野菜の苦み、口に残る和柑橘の風味もまた、甲州の爽やかな酸味とほのかな苦みとよく合います。ごま油でまろやかな味わいになったアジとの相性も抜群。クレソンが甲州の苦みとよく合うため、いろいろな料理に加えたペアリングもおもしろそうです。
鶏の山椒風味 甘夏菜の花サラダ添え

- 【材料】2人分
鶏もも肉…1枚
甘夏…1/2個
菜の花…1/2束
下味
塩 適量
酒 小さじ2
粉山椒 適量
黒コショウ・オリーブオイル 適量
- 【作り方】
- 鶏もも肉は食べやすい大きさに切り、塩と酒をふり10分おく。
- フライパンで皮目からこんがり焼き、粉山椒をふる。
- 甘夏は房から取り出し2等分し、菜の花は塩ゆでし2cm幅に切りにする。
- 甘夏、菜の花を軽くオリーブオイルで和える。
- 器に②を盛り付け④を添える。
- Point
★鶏もも肉を粉山椒で香りづけ。甘夏はそのまま使用し、菜の花と一緒にオリーブオイルに和えたものと鶏もも肉を一緒にいただきます。甘夏の甘さと酸味と春野菜らしい菜の花の苦みがよく合う一品です。
- ペアリング
★甘夏のさわやかな香りと甲州の和柑橘を思わせる香りは、パーフェクトと言いたくなるほどのペアリング。さわやかな酸味とのバランスも良く、菜の花の苦みも後味で調和します。スパイシーな山椒の風味と鶏肉と甲州を合わせれば、さらにうまみが膨らみます。
まとめ
ワインと料理のペアリングは難しいとイメージされていますが、ワインの持つ特徴をキーワードに考えるだけで成功率が上がります。
例えば、甲州の「和柑橘の香り」と「苦み」についても、この特徴をあえて主役に考えることで、ワインも料理も引き立つ素敵なフードペアリングを叶えることができました。
ぜひ、今回のペアリングを参考に、甲州の「和柑橘の香り」と「苦み」を意識したフードペアリングをいろいろ試してみてはいかがでしょうか。
参考

料理研究家/分子栄養学アドバイザー
オリーブオイルソムリエ
尾田 衣子(Oda Kinuko)
料理研究家・オリーブオイルソムリエとして、ワインの個性を引き立てるタパスや家庭料理を多数考案。
現在は、ワイン×タパスの少人数制イベントを中心に活動。
「難しい理屈より、家で再現できて“ちゃんと美味しい”こと」を大切に、初心者にも分かりやすい言葉でワインの楽しみ方を伝えている。
また分子栄養学をベースに“ワインを楽しみながら体を労わる食の工夫”にも定評があり、大人世代に向けた“心と体が軽くなるワイン時間”の提案を行っている。
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