日本人ならではのワインペアリングを楽しみたい。

日本ワインがお好きな方であれば、なおさらそんなことを考えているのではないでしょうか。

しかし日本らしいツマミというと日本酒や焼酎、ビールに合うようなものが多く、ワインとの相性が難しいと思われている食材ばかり…。

そんな中、食材とワインの選び方さえ間違えなければ、ワインと最高の相性を示す日本らしいおつまみがあるのです。

それが…「かまぼこ」!

“またおかしなものが出てきた…”と思われる方もいると思います、かまぼこはヘルシーですし重たい味わいではないので、“ちょこっと飲み”に最適。

ここでは、「ワイン×かまぼこ」の可能性を探っていきます!

かまぼこのスペック

かまぼこと一口にいっても種類はさまざま。

まず、ワインに合うかまぼこを見つけるためにコイツのスペックをチェックしていきましょう。

かまぼことは、魚から骨や皮を取り除き水にさらした後、食塩と一緒にすりつぶされ加熱されてつくられる食材です。

スケトウダラをはじめ、イワシ、イトヨリダイ、シログチ、エソ…などが主な原料魚とされています。

そんなかまぼこの主成分は、タンパク質。さらにDHAやEPAといったn-3系脂肪酸グループにふくまれる栄養も多く含まれている健康的な食品でもあるのです。

蒸かまぼこや蒸焼かまぼこ、焼板かまぼこ、ちくわ、カニカマ、はんぺん、さつま揚げなどは全て「かまぼこ」の仲間。

かまぼこは日本人の生活に欠かすことができない、大切な食材といっても過言ではないでしょう。

ワインに合うかまぼこの選び方

さて、今回の主題は「ワイン×かまぼこ」。

ワインに合うかまぼこの選び方を解説していきましょう。

そもそも、かまぼことワインが合わないと思われている理由は「生臭みを感じるから」です。

魚を使った練り物にタンニンぎしぎしの若いボルドーを合わせてみれば、悶絶するような状態になってしまうことは容易に想像できます。

とはいえ選び方さえ間違わなければ、かまぼこはワインの最高のパートナーになってくれるのです。

 

こんなかまぼこを選びたい

 

かまぼこには数多くの種類があることはお伝えしました。

まず、その中でも弾力がしっかりとした、「蒸しかまぼこ」を選びましょう。

ぷりぷりっとした食感はワインと合わせる際に重要なポイントとなります。

次に白身の魚を使ったものをチョイスしてください。

先日の数の子のコラム  でもお伝えしていますが、DHAとEPAはワインの鉄分などと喧嘩して生臭みを発生させる成分です。

とくに赤身魚を使ったものはDHAとEPAが多いことで知られているため、白身魚が原料であるものを探していきましょう。

そして重要なのが、「シンプルで新鮮なものを選ぶ」こと。

かまぼこの良さは幅広い食材と合わせやすいところですが、ほか具材が入っているかまぼこはその味に引っ張られてしまいワイン選びに苦労します。

さらに、化学調味料がたっぷり入っていたり、やや時間が経過しているものは、DHAとEPAが酸化してワインとの相性をすこぶる悪くします。

これらの要素をまとめると…

  • ぷりぷり食感の蒸しかまぼこ
  • 白身魚を使ったもの
  • 他の具材が入っていないもの
  • 化学調味料が入っていない新鮮なもの

ということになります。

そもそもこの要素を満たしているかまぼこは美味しいですからね。ほかのお酒ともよく合うでしょう。

かまぼこに合うワインの選び方

さて、かまぼこが決まったら次はワインです。

前述したように鉄分が少ない方が魚特有の生臭みとぶつからないため、鉄分量が少ないといわれている日本ワインがオススメです。

さらに香りについては、繊細なものからある程度強いものでも問題ありません。ただし、「かまぼこに調味料として使うなら合いそうなもの…」という選び方がいいでしょう。

例えばレモンや柑橘を感じるワイン、オリーブオイルもかけてもかまぼこは美味しくなるのでハーブの香りがするワイン、塩でいただくこともできるので塩味を感じるものもいいかもしれません。

逆にチェリー風味やジャムはかまぼことは合いにくいイメージなので、白ワインの方が良さそうです。

また、酸味が強すぎたりタンニンが強いものもかまぼこの風味とバラバラになりやすいので避けた方が無難でしょう。

これら香りや味わいもですが、とても重要なのが…テクスチャーです。

ぷりぷりしたしっかりとした弾力が特徴のかまぼこですので、ワインもテクスチャーがしっかりとしたものを合わせたいところです。

発泡性のものや、ほどよくミネラル感がある骨格がしっかりとしたものが良さそうですね。

このような感じでワインを選んでいけば、かまぼこと合うワインにたどり着けるはずです。

ハギースパーク重畳Petit×かまぼこをペアリング!

これら条件を考慮して実際に用意したのが、大和葡萄酒の〈HUGGY WINE ハギースパーク重畳Petit〉と佐藤修商店の〈無添加 かまぼこ〉

ワインは甲州を樽熟成させたスパークリングワインでかまぼこは“でんぷん・卵白を使わず、さらに合成着色料・保存料を添加しない”シンプルなかまぼこです。

実際に合わせてみたところ、予想通り素晴らしいペアリング。

みずみずしく、しっかりとした食感のかまぼこ。魚特有の香りは多少するものの、〈HUGGY WINE ハギースパーク重畳Petit〉がそれを包み込む形で後味もスッキリ。

いや…むしろ、かまぼこのもつ旨味を後味で感じるほどです。

泡のテクスチャーもかまぼこの弾力とマッチしますし、甲州のもつ柑橘の感じ、樽由来のオークの風味も強過ぎないので口の中でかまぼこの風味とバランスよく同調します。

また、かまぼこに塩やレモン汁をかけることで、〈HUGGY WINE ハギースパーク重畳Petit〉との親和性がさらにアップ。

これをオリーブオイルにしたらソーヴィニヨン・ブランとも楽しめそうですし、あえてわさび漬けあたりを使うのであれば、“にごり系”の日本ワインとも楽しめるかもしれませんね。

気軽に楽しめるのでオススメ!

かまぼことワインは合うわけがない…と思っていた方も多いかもしれませんが、合わせ方によっては素晴らしい相性を楽しめます。

もちろん、かまぼこに調味料をかけたりしてワインによせる、という方法もあるのでいろいろ試してみるとよいでしょう。

ちなみに、小田原にある『鈴廣 かまぼこの里』には“かまぼこバー”なる場所があり、かまぼことワインのペアリングを楽しむことができます。

かまぼことワインは日本人だからこそ楽しめるペアリング。

ぜひ、チャレンジしてみてください!

参考
かまぼこカード日本語版(PDF) – 日本かまぼこ協会