1年中販売されている野菜のひとつ、「かぼちゃ」。
煮物やサラダ、スープなど幅広い用途で食べられているかぼちゃですが、秋から冬にかけてのこれからが旬であることをご存知でしょうか。
本記事では、かぼちゃとワインを合わせる際のポイントをまとめました。
かぼちゃをつまみにワインを楽しみたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
かぼちゃについて
かぼちゃについて、基本的な情報を下記の内容にまとめました。
- かぼちゃとは?
- かぼちゃの栄養
- 美味しいかぼちゃの選び方
それぞれ解説しましょう。
かぼちゃとは?
かぼちゃは、“南瓜”と表記されるようにウリ科の野菜のひとつです。
厳密には、“ウリ科カボチャ属に属する果菜の総称”で、大きく分けると下記の3種類に分けられます。
- 日本かぼちゃ(東洋種)
- 西洋かぼちゃ(西洋種)
- ぺポかぼちゃ
日本かぼちゃは水分の多いねっとした味わいが特徴で、西洋かぼちゃはホクホクした食感と甘みが特徴的、ぺポかぼちゃはおもちゃかぼちゃと呼ばれるようにハロウィンでよく見る加工用、観賞用のかぼちゃですが食用も存在しています。
40年以上前は日本かぼちゃの栽培が多かったようですが、食生活の欧米化などの影響から現在では西洋かぼちゃが主流となっているようです。
かぼちゃの起源はアメリカ大陸と言われており、日本には室町時代末期頃にカンボジアから伝えられたことから、“南瓜”という名がつけられたと考えられています。
主にスーパーでよく目にするかぼちゃは、黒皮栗かぼちゃと呼ばれる西洋かぼちゃに分類されている品種です。
ちなみにぺポかぼちゃにはユニークなものが多く、そうめんかぼちゃをはじめ、あのズッキーニもぺポかぼちゃの仲間になります。
さて、そんなかぼちゃの旬は冒頭でお伝えしたように秋から冬にかけてで、具体的には10月から12月あたりが美味しい時期です。
かぼちゃは夏から秋の入口に収穫されるのですが、追熟させることでより美味しく、栄養価も高くなることで知られています。
そのため、収穫時期ではなく、それよりも後の秋冬にかけてが旬と言われているのです。
かぼちゃの栄養
かぼちゃは栄養価の高い野菜として有名です。
中でも、β-カロテン、ビタミンE、ビタミンCが豊富であり、ビタミンB1やB2も含まれているなど数ある野菜の中でもトップクラスの栄養価を誇ります。
カリウム、食物繊維も豊富なのでお酒のお供にも最適です。
また、かぼちゃというと皮も美味しく食べられますが、カロテンが豊富に含まれていることもあり積極的に食すべきでしょう。
ちなみに日本では江戸時代から冬至の日にかぼちゃを食べる風習がありますが、夏場の収穫からの追熟によりでんぷんが糖に分解される影響で秋・冬に甘く、栄養価がグンと高まることが理由のようです。
美味しいかぼちゃの選び方
かぼちゃを選ぶ際、ポイントになるのが重たさです。
まず手に取ってみてずっしりと重みを感じるものを選びましょう。
また、ツルツルのかぼちゃよりもツヤがなくゴツゴツとした、皮がとても硬いものは完熟しているかぼちゃです。
また、ヘタが硬いもの、形も整い色むらがないものを選ぶと良いでしょう。
完熟して甘みとうまみが存分に味わえる絶品野菜です。
カットされているかぼちゃは赤みを帯びているもの、みずみずしい見た目とワタ・種が詰まっているもの選ぶと良いと言われています。
かぼちゃの香りや味わい
かぼちゃとワインを合わせる上で、どのポイントを押さえるか悩ましいところです。
今回、西洋かぼちゃをメインに考えていきましょう。
まず、かぼちゃは生で食べることは一般的ではないため、基本的には熱を入れたものとなるでしょう。
かぼちゃの味わいとして特徴的なのは甘さとホクホク感で、これはデンプンがアミラーゼ
によって糖に変えられるためです。
さらに、ホクホクした食感もデンプンが関与しています。
甘く柔らかな食感ということで、調理法にもよりますがドライ過ぎかつボディが強すぎる、テクスチャーがしっかりとし過ぎているものは微妙かもしれません。
次に、香りを見ていきましょう。
かぼちゃを煮た際に発生する香りの中でも特徴的なのが、ヘキサナールなど青さを感じさせるものであることがわかっています。
また、特徴香として(2E, 6Z)-ノナジエナールがあり、これはきゅうりやスミレの特徴香としても知られているもので、南瓜の名前の通り、瓜のようなあの香りが感じられるようです。
そのほか茶豆やロースト香、プロパナールなどの出汁を思わせるような香りもあります。
かぼちゃにワインを合わせるなら?
青さやきゅうり、スミレのようなニュアンス、そこに甘めのローストしたような香り、さりげなくスパイシーさも感じるかぼちゃ。
いろいろな組み合わせが考えられますが、もしかぼちゃの天ぷらであればリースリング、煮たかぼちゃであればカベルネ・フランあたりが良さそうかもしれません。
リースリングはリナロールなどが関与するアロマティックな香りとほのかなスパイシーさ、柔らかな口当たりと爽やかな酸味が特徴です。
青っぽさをカバーするアロマティックな香りと果実の甘さのバランス、さらに天ぷらのクリスピーなニュアンスと油っぽさを爽やかな酸がすっきりさせてくれると考えます。
一方、本命としてチョイスしたいのがカベルネ・フランです。
カベルネ・フランはカベルネらしい青いニュアンスがあり、花で言えばスミレのニュアンスが感じられる赤ワインです。
樽熟成からやってくるスパイシーさもちろん、ミディアムボディの柔らかさもかぼちゃのテクスチャーに合うでしょう。
また、ヘキサナールの青さをぶつけるというよりは、この青い匂いはタンニンが抑制してくれると言われているため、やはりほど良いタンニンのあるカベルネ・フランを組み合わせることでバランスの良いペアリングになると考えられます。
また、ミディアムボディとは言え比較的軽快なタイプが多く、その果実味が出汁と合うといった意見も多く、まさにかぼちゃ向きのワインです。
醤油ベースの甘みのある煮付けや煮込み料理にもカベルネ・フランは合うと称賛されているため、かぼちゃをワインに合わせるのであればカベルネ・フランが良いのではないでしょうか。
かぼちゃ×カベルネ・フラン
今回は、カベルネ・フランにかぼちゃの煮物を合わせました。
シンプルに、しょうゆやみりんなどで煮込んだ和食の定番、「かぼちゃの煮物」です。
カベルネ・フランは青いニュアンスや清涼感、ブルーベリーなどの果実、木材、すみれなどの香りが感じられます。
口当たりも優しく、骨格はあるものの厳しすぎない印象でタンニンもスムースです。
かぼちゃの煮物を口に含むとまずは甘さを感じますが、青さやナッツのような風味、醤油ベースで煮込んでいるためねっとりした甘さも感じます。
この二つを合わせたところ、カベルネ・フランの青いニュアンスとバランス良く調和、かぼちゃの甘みとワインの果実味の調和が感じられ、後味はフランのタンニンのおかげでさっぱりとした印象です。
甘さを増幅させるわけでもなく、どちらかが突出して美味しくなるわけでもありませんが、とても上品なペアリングだと感じました。
ちなみに、バターで濃厚な味わいに仕上げたかぼちゃの煮物であれば、熟成させたカベルネ・フランと相性がグッと良くなりそうです。
まとめ
秋から冬にかけ、かぼちゃを食べる機会が増えるという方も多いでしょう。
煮物、またシンプルにかぼちゃを食べるのであれば、お共のワインはカベルネ・フランが良いかもしれません。
塩でいただく天ぷらであればリースリングやゲヴュルツトラミネール、ヴィオニエなどもおすすめですが、天つゆであればカベルネ・フランで問題ないでしょう。
すみれやミディアムボディ、ほど良いタンニンという部分を切り取るならば、かぼちゃのシンプルなスイーツには、ピノ・ノワール100%のブラン・ド・ブランも良いかもしれません。
これからの季節おいしくなる、かぼちゃ。
ぜひ、カベルネ・フランと合わせてみてはいかがでしょうか。
参考
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=25
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/0811_yasai1.html
https://www.maff.go.jp/j/kids/crops/pumpkin/column01.html