カウンターのみのレストラン、「JULIA」。

独創的なお料理とワインを中心としたペアリングを楽しめる、外苑前の名店です。

海外産ワインをメインに扱っていた同店ですが、今「日本ワイン」を主軸のワインにシフトさせているそう。

今回、その理由や日本ワインへの想いをJULIAオーナーでソムリエの本橋健一郎さんにお聞きしました。

日本ワインを扱う理由

数々の銘醸地のワインを取扱ってきた、JULIA。なぜ、日本ワインへシフトしたのでしょうか。

—-本橋

じつは前から日本ワインはやりたかったんです。海外で食べ歩きしたりソムリエとして仕事をしていると、“日本の地元のワインはないのか?”とよく聞かれます。

なので、いつかは日本ワインをやりたいという構想は持ち続けていました。

しかし、店舗で日本ワインを取扱うには取引における事情や、ワイナリー自体を見つけた上で繋がりを持たないといけないなど、何かとハードルが高かったんです。

そんな中、株式会社CruXさんとの出会いを通じて、日本ワインの取り扱いが安定して出来るようになりました。

国産にこだわる

JULIAでは国産の食材にこだわっているそう。

そんな部分も日本ワインを取扱う理由のひとつだと本橋さんはいいます。

—-本橋

ニューヨークのミシュラン一つ星で働いていた時など、自分の店を持つならローカルの食材など地元を大切にした料理を提供しろ、とアドバイスをもらいました。

そのため、僕自身が茨城県の出身であるため、JULIAで揃える肉や魚、野菜など8割は茨城県産です。また、塩や黒糖などはゆかりのある沖縄県のものを利用してます。

先ほどの話にも通じますが、これだけ国産食材にこだわっておきながらワインは輸入といった点にも、以前から違和感を感じていたんです。

今はCruXの西浦さんに提案された日本ワインを取扱うなど、いろいろ自由に揃えられるのでありがたいですね。

ちなみにコロナ禍の前、海外のお客さまが来店客の半数を占めていたのですが、そういった中でも日本ワインを提供すると喜んでくれました。

私たちがハワイに行った時、ハワイ風の肉じゃがを食べたいとは思いませんよね…。

日本を訪れるのであれば、そこは日本の食材、そして日本ワインを提供するのが一番なのではないでしょうか。

日本ワインは海外でも通用する

JULIAとえば、月代わりのペアリングコースを提供するお店。その中で、本橋さんは日本ワインが海外でも通用することを伝えていきたいといいます。

—本橋

JULIAは、お客様がレストランとして年に一回の贅沢をしにくる…といった場所ではなく、毎月一回ご褒美として通えるレストランを目指しています。

ペアリングコースは月代わりなので、日本ワインもその時々で取扱うものを変えますし、今月あったワインが来月揃えるかはわかりません。

お客さまには、JULIAに来る度に新しい発見をしてもらいたいんです。

例えば、当店では味噌や醤油を使った料理は出していません。こういったものを使えば海外風の日本料理になってしまい洋風に形が変わってしまうからです。

そしてこういった料理と日本ワインをペアリングしていただき、“日本ワインなんて…”と思っていた方をよい意味で裏切ってあげることも重要だと思っています。

“日本ワインは国際的にも通用するワイン”ということを、どんどん伝えていきたいです。

胸を張って日本ワインだけでやっていく

JULIAには、一般のお客さまだけでなく、ソムリエなど飲食関係の方も多いそう。そんな人たちにも日本ワインを伝えていきたいと本橋さんはいいます。

—本橋

飲食業会の方などはJULIAに来て、突拍子もないものが出ることを面白がり、期待してくれています。

ソムリエでも日本ワインを知らない人が多く、今後もそういった方に“あなたの地元にもこんな良いワインがあるんだよ”といったことを伝えていきたいですね。

また、日本には、“日本ワインだけでペアリングコースを提供する”といったお店はほとんどありません。

“JULIAは、日本ワインだけでやっていく”。

このスタイルを胸を張ってやり続け、国内のみならず海外にも発信していけたらおもしろいと思っています。

日本ワインの魅力を楽しもう

JULIAの本橋健一郎さんのお話から、“日本の良さ、地元の良さ”を再発見し、楽しむことが大切であることを学びました。

“国産にこだわるけれど、欲張ってあっちこっちのものを使うわけではない。茨城、沖縄県など自分にルーツがある場所。そこで注目した食材を使い、生産者と一緒に未来をつくりあげていきたい”という本橋さんの言葉がとくに心に響きました。

日本ワイン自体も単体で楽しむだけでなく、こういったユニークなコースとペアリングすることで、そのワインの持つ新しい魅力に気がつくはずです。

ぜひ、日本ワインの懐の深さ、おもしろさをJULIAで体験してみてはいかがでしょうか。

参考

JULIA

東京都渋谷区神宮前3-1-25 アレーデジングウマエ 1F
お問い合わせ:03-5843-1982
※完全予約制

公式HP