醸造技術の向上や産地の取り組みにより、近年品質が大きく向上している日本ワイン。
インバウンド需要の増加も伴って、レストランを中心に日本ワインへの関心が高まってきています。
こうした背景から今回、山梨県・長野県・山形県の20社のワイナリーが一堂に会し、レストランや酒販店など業界関係者向けに日本ワインの魅力を直接伝える試飲会「Feel Japan Wine!」が東京銀座にて開催されました。
主催は、マンズワイン株式会社、サントリー株式会社、株式会社Wine in Motionとの3社共催。
先述のとおり業務用に特化した試飲会ながら、昨年末の募集開始から約2週間ほどでチケットは完売、当日は約320名が来場し大変な賑わいとなりました。
内訳は、レストラン・ホテル関係が約6割、酒販店が約3割、残りがメディアなど。
こうした業界向け試飲会は無料で開催されていることも多かったが、今回は会費500円(税込)。
「会場の規模も限られていますし、初回から出展生産者たちに過度な負担はかけたくなかった。だからこそ、会場費の一部は参加費でまかないつつ、本当に意味のある出会いの場にしたかった」と主催者は話します。
たしかに、生産者はサンプルワインやそれらのデリバリー、説明資料の準備など様々なコストがかかっています。そして、来場者は真剣に仕入れを前提として「ワインを知る」目的の場です。そこは対等な関係であるべきでしょう。

魅力的な出展ワイナリー
長野県、山梨県、山形県を中心とした20社が出展。品質の高さに加え、安定供給と商流の現実性を重視したラインナップとなっていました。
つまり、お客様が“欲しい”と言った時に、きちんと継続して供給できる生産量と体制を持っているワイナリーということですが、これも今回の目的である「日本ワインをホテルやレストラン、酒販店で“継続的に扱える商材”として根付かせること。」に則したセレクトと言えます。
実際にそれぞれ生産者の声としても、
「多くの方に試していただき、ピノグリやピノロゼなんかも美味しいとのお声が聞けて嬉しい」「熟成していて美味しくなっているピノ・ノワール2020を持ってきています」(ヴィラデストワイナリー小西氏)
「業務店向け専用の『酵母の泡』(シャルマ方式のスパークリングワイン)持ってきてますが、これ人気ですね」「ワイン全体の中での日本ワインのシェアが上がることが大事。それには自分のワイナリーだけが売れるのではなく、みんなでレベルアップしていく必要があると考えます」(マンズワイン長井氏)
「ある程度在庫が安定してて、価格的にもお店で使いやすいものを意識して本日は並べています」(タケダワイナリー岸平氏)
と、業務店向けに幅広いレンジで提案の用意をして参加している様子が伺えました。
今後はこれらの基準をもとに、他の産地の参加が広がっていくことも期待できそうです。



「毎年開催することが大事」今後の展望
主催者たちは「日本のワイナリーは、この10年で品質を本当に必死に高めてきた。でもその分、プロモーションが追いついていないのでは。」との問題意識を挙げられます。
「日本ワインブーム」に支えられて売れてきた時代は、すでに転換点を迎えているようです。
「これからは、“きちんと飲んで理解した人”に、“どういうワインか”を伝えながら売ってもらう必要がある。そのための場所を、最大市場である東京に作りたかった」とのこと。
そしてこの先、海外バイヤーの招聘、消費者向け企画の検討、継続開催によるプラットフォーム化といった構想もすでに視野に入っていると言います。
「まずは今回参加してくれたワイナリーさんの声を聞きながら、みんなで育てていきたい。ワインはヴィンテージの違いも大事なので、毎年開催していくことが重要でしょう。4回、5回と続けていくうちに、“この会は最初から見てるよ”って言ってもらえる存在になれたら嬉しいですね」と主催者の柳原氏は今後の展望を語りました。
日本ワインの“いま”を、正しく、深く、そして継続的に伝えていくための彼らの取り組みは今後も続いていきます。

磯部 美由紀
日本ワイン.jp 編集長
J.S.A認定 ワインエキスパート / C.P.A認定 チーズプロフェッショナル
映画 フロマージュ・ジャポネ 制作実行委員会 事務局長
https://nihoncheese.jp
ワイン記事監修実績:すてきテラス
Picky’s こだわり楽しむ、もの選び〔ピッキーズ〕
