7月12日、山梨県甲府市のシャトレーゼホテル談露館にて、美酒美県やまなしセミナーが開催されました。
主催は山梨県。山梨県ワイン酒造組合、山梨県ワイン酒造協同組合、山梨県酒造組合の後援。
約70名の業界関係者、メディアが出席しました。

会の様子をレポートです。

美酒美県やまなしセミナー内容

セミナーは下記三部構成にて実施されました。

1.山梨県産ワインへの提言
2.山梨県産日本酒トークセッション〜酒の源流としての山梨の水〜
3.日本ワイン&日本酒のテイスティング

【1.山梨県産ワインへの提言】

大橋健一氏(マスター・オブ・ワイン)が、「山梨ワインの世界市場での成功を目指して」というテーマで、海外マーケットの現状、さらにそこでの山梨ワインのプロモーションについてお話しになりました。

インバウンドが増加している今、海外へのプロモーションには絶好の機会。
生産量が多い少ないの話ではなく、興味を持って日本に来てもらった人たちへワインを飲んでもらう準備はできてますか?語学力や魅力的なワイナリーやワインの写真の準備なども必要です。と呼びかけました。

海外の方は「和食」に大変興味を持っているため、旅の目的が「食べること」である人たちが多い。
彼らが日本に来て和食を食べる時に、フランスやイタリアのワインを出すことのほうが勿体無いと言えるのではないか。
など、実例や体験談も交え、考えを述べられました。

 

【2.山梨県産日本酒トークセッション〜酒の源流としての山梨の水〜】

久田健一郎氏(地質学者)、天野怜氏(笹一酒造株式会社代表/山梨県酒造協同組合会長)、木村咲貴氏(SAKEジャーナリスト)によるトークセッションが行われました。

久田氏は、かつて日本酒でGI山梨を取得する際の地質学的調査プロジェクトでもご活躍されたそうです。
日本酒の80%は水であることを考えると、とても重要なファクターです。

甲府盆地はフォッサマグナ(1500万年前)と呼ばれる大地溝帯に位置しています。
西側の縁が南アルプス(東の方ははっきりしていない)。これこそが山梨県の水の特徴を出していることであり、このような土地のあり方は、世界にどこにもない。とても複雑な地域となっていることなどを伝え、山梨県の地質、水、石の話から酒の特異性について語られました。

天野氏(笹一酒造代表)からは、笹一の仕込み水について興味深いお話などが聞けました。
笹一酒造の蔵は、富士・御坂地域に位置し、蔵の真下から水が湧き出ている。
以前ソムリエのチャンピオンたちが仕込み水を飲んだ際に「3種類の味がする」と表現されたそう。
すでに調査から3つのプレートがぶつかり合って地下から水が出ていることがわかってため、官能的にも地質学的にも証明された出来事でした。
そうした複雑性から、笹一酒造の酒は和食だけでなくフレンチやジビエ料理などとも合うそうです。

また、GI取得においては、「水」もとても重要視されており、他の地区は統一された条件があるそうです。
しかし、山梨の場合はすべての蔵の水が違う。水系が違うことが大きな特徴であるため、山梨の酒をプロモーションする場合は、八ヶ岳から富士山まで並んで、土地そのものを説明するように酒を案内しているそう。

 

【 3.日本ワイン&日本酒のテイスティング】

山梨県を代表する日本酒、ワインがブースを並べ、生産者と交流しながら試飲を楽しみました。
また、上記2のセミナーを受け、山梨県内4箇所の日本酒仕込み水の比較テイスティングコーナーもあり、海外から招聘された専門家たちも興味深く説明を聞きながら、飲み比べを楽しんでいた様子です。

さいごに

主催の山梨県産業振興課長の三科吾諭子氏は、「山梨の産地の特性を世界に向けて広げていけるような、産地の魅力の認知度向上につなげていけるような取り組みをしたいと考えている。」と述べられました。