東京屈指の美食エリア、麻布十番。
その地で美食家たちに長きにわたり支持されているフレンチレストランが、『エル ブランシュ (Aile Blanche)』です。
トラディショナルなフレンチをモダンで新しい創作料理へと昇華させるオーナーシェフ小川智寛氏(兄)とソムリエ小川雅之氏(弟)が織りなす、至極の美食を愉しむことができる唯一無二の名店として知られています。
『エル ブランシュ』が麻布十番の地にオープンしたのは、2007年3月。17年間、王道的なフランス料理とフランスワインのペアリングを愉しめるお店として名を馳せていた同店ですが、2024年6月末に新たな挑戦をスタートさせました。
それが、「フランス料理と日本ワインのペアリング」をベースとしたスタイルへの転換です。
さらに20時からは、日本ワインを気軽に飲むことができるワインバーに変化。
日本ワインファンであれば必ず訪れておくべき、注目のレストランになることは間違いありません。
今回、日本ワイン.jpではリニューアルに対する想いを、小川智寛氏(以下、智寛氏)と小川雅之氏(以下、雅之氏)にインタビュー。
さらに、「フランス料理と日本ワインのペアリング」を実際に体験してきました。
兄弟だからこそ17年間続けてこれた、そして新たな挑戦をスタートさせることができたと語ってくれた小川兄弟。
日本ワインファン必見のインタビューをぜひご覧ください。
リニューアルのポイント
Q:『エル ブランシュ』リニューアルオープンおめでとうございます。まず、今回のリニューアルにおけるポイントをお聞かせください。
智寛氏「リニューアルを機に、『エル ブランシュ』は、“日本ワインとフランス料理のペアリング”をベースにしたフレンチレストランとなりました。カウンター席を4席から倍の8席に増やしたので、以前よりもお客さまとのコニュニケーションがとりやすくなったかたちですね。また、同店はオープンキッチンのライブ感が楽しめるお店ですので、フランス料理、そして日本ワインも含めた、“食の体験”がさらに楽しみやすくなったと思っています。」
雅之氏「18時から20時までが、フランス料理のコースを提供する時間。20時以降はワインバーとして、日本ワインをグラスで楽しめるようになりました。グラスワインのラインナップは日によって変わり、自分が飲みたいと思うワインを開けています。なので、希少性の高い日本ワインなども日によっては開けるかもしれませんね。また、ワインを酸化させないためにコラヴァンを使用しているので、豊富な種類の日本ワインをグラスで提供することができます。」
日本ワインの取り扱い、料理の変化について
Q:日本ワインは以前から提供されていたのでしょうか。また、日本ワインのペアリングが主体になることで、料理の内容などに変化があったのか教えてください。
雅之氏「『エル ブランシュ』がオープンした当時は、フランスワインがメインでした。フランス料理とフランスワインといった、まさにオーソドックスなフレンチレストランだったと思います。そんな中、コロナ禍の頃に日本ワインに興味を持ち始めたことで、少しずつですがお店で提供するようになっていました。そこから、今回のリニューアルを機会に日本ワインをメインに扱おうということになったかたちです。」
智寛氏「リニューアル前はフランスワインとのペアリングがベースだったので、ソースも複雑な味わいと構成に仕上げていました。今は日本ワインをベースにしたことで香りを重視するようになり、極力シンプルな味わいと構成の料理へと変化しています。食材選びも日本ワインを扱うようになってから、日本の優れた生産者さんの食材を使うようになりましたね。ただ、料理を最終的にどう仕上げるかを大切にしているため、国産に固執しているわけではなく、幅広い産地の食材を使用しています。」
Q:ワインと料理のペアリングというと、“ワインに合わせて料理を作る、料理に合わせてワインを選ぶ”といったテクニックになってくると思いますが、『エル ブランシュ』ではどのようにペアリングを完成させているのか教えてください。
智寛氏「レストランとしてはまず、料理があってワインを合わせていくといった方法がベースだと思います。ただ、私たちは兄弟ですので、弟から、“こんなワインがあるんだけど”と言われて飲んでみながら、“ならば料理はこんなものを作ってみよう”など二人で話しながらペアリングを完成させていく感じですね。料理がありきなんでしょうが、そこは兄弟の強みをいかしています。」
雅之氏「兄と長く一緒にやってきているので、兄の料理がどんな味わいか考えながらそれに合わせたワインを選んでいます。日本ワインをどこかで試した時、頭の中で兄のどんな料理と合うか考えながらセレクトすることもありますよ。日本ワインは繊細な香りと味わいが魅力です。料理、そして日本ワインの良さを引き出せるようなペアリングにしていきたいと日々考えています。」
『エル ブランシュ』が魅せる「フレンチ×日本ワイン」の饗宴
日本ワインをベースにフランス料理のペアリングを提案する、新生『エル ブランシュ』。
前菜、そしてメインの二皿で、「フレンチ×日本ワイン」を体験しました。
前菜 「真つぶ貝、スイカ、オレンジのマリネ」×「多田ワイナリー バッカス オレンジ サンスフル」
前菜として提供された一皿は、
智寛氏「最下部にカリフラワーのムース。その上にスイカとオレンジと一緒にマリネした北海道のツブ貝を乗せています。ソースはマンゴー、香りに黄ハーブを添えました。」
それに合わせるワインは、<多田ワイナリー バッカス オレンジ サンスフル>です。
雅之氏「ペアリングでご提案するワインは、<多田ワイナリー バッカス オレンジ サンスフル>です。バッカスと呼ばれるブドウ品種を使用したオレンジワインで、香りは華やかながら酸がしっかりと感じられる1本です。
ツブ貝特有の苦味と旨みとオレンジワインの苦味を合わせます。軽快な前菜なので、次の料理に繋がるような爽やかなペアリングを意識しました。」
オレンジワインの華やかな香りとスイカやオレンジのフルーツの香りの融合。ツブ貝の苦味とオレンジワインの苦味がうまく合わさり、後味の酸も口の中をさっぱりとさせてくれる素晴らしいペアリングです。
メイン 「北島ワインポークのロティ」×「さっぽろ藤野ワイナリー ミキノホトリ ルージュ」
メインに登場したのは、
この北島ワインポークに、赤ワインをベースにフランボワーズヴィネガーの香りと酸味を加え黒トリュフの芳醇な香りを添えて豊かな味わいに仕上げました。
智寛氏「メインは北海道 北島農場のプレミアムブランド「ワインポーク」を使用しました。肩ロースをローストしています。ソースは、赤ワインとフランボワーズビネガーにトリュフを香りを添えました。また、しょうがとコンソメでコンポートしたナス、りんごのピューレ、フレッシュなオーストラリア産の黒トリュフも添えています。」
ペアリングとして提案されたワインは、<さっぽろ藤野ワイナリー ミキノホトリ ルージュ>です。
雅之氏「<さっぽろ藤野ワイナリー ミキノホトリ ルージュ>は、ピノ・ノワールとツヴァイゲルトをブレンドした赤ワインです。ピノ・ノワールの華やかさ、ツヴァイゲルトの酸味がお肉との相性を良くします。柔らかなワインポークの甘味とピノ・ノワールの華やかな香り、ツヴァイゲルトの甘味もよく合います。」
驚くほどに柔らかく肉の甘味がしっかりと感じられるワインポーク。
フランボワーズを使用したソースの華やで軽やかな香りとワインの華やかな香り、ツヴァイゲルトの持つ土っぽさも見事に調和します。
日本の柔らかいお肉にはタンニンが少ない赤ワインが合うと考えているという、雅之氏。
日本ワインだからこそ堪能できる、至高の「フレンチ×日本ワイン」です。
日本ワインファンは迷わず『エル ブランシュ』へ
Q:最後に日本ワイン.jpの読者に向けて智寛氏、雅之氏から一言あればお願いします。
智寛氏「今回のリニューアルによって、お客さまとの距離が近くなり、よりライブ感を楽しんでいただけるようになりました。高級レストランをイメージされる方もいると思いますが、料理を楽しんでいただくことはもちろん、弟であるソムリエから日本ワインの話を聞きながら、食事とワイン、そして会話を気軽に楽しんでいただきたいと思っています。」
雅之氏「20時以降は、ワインバーとなります。日本ワインをグラスで種類豊富にご用意しておりますので、ぜひそちらも楽しみにご来店いただけますと幸いです。」
麻布の名店、『エル ブランシュ』が日本ワインとフランス料理のペアリングをベースとした、大胆なスタイルにリニューアルされました。リニューアルされた内装は美しくモダンでありながら、居心地のよいアットホームな雰囲気も醸し出しています。
「フレンチ×日本ワイン」の可能性を確かめに、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
店名:Aile Blanche(エルブランシュ)
住所:東京都港区麻布十番2-8-10 パティオ麻布十番5階
Tel:03-5439-4338(16:00〜21:00)
営業時間:レストラン18:00 – 20:00 / ワインバー 20:00 – 23:00
定休日:毎週日曜日 *事前に店舗にご確認ください
予約:
https://www.tablecheck.com/ja/shops/aileblanche/reserve
地図

NORIZO
★ 映画監督★日本ワイン.jp ディレクター★
日本ワインを世界へ発信するドキュメンタリー映画 “Vin Japonais(ヴァン・ジャポネ)“
監督・撮影・編集。2022年11月25日 公開。
日本のチーズの今を知るドキュメンタリー映画 “Fromage Japonais(フロマージュ・ジャポネ)“
監督・撮影・編集。2024年4月12日公開
日本ワインだけでなく、その周辺情報について現地取材やインタビュー動画を通じて、様々な角度から独自の視点でみなさまにお届けします!