先日、2024年「サントリー日本ワイン」戦略について会見が開催されました。

サントリーの日本ワインブランドと言えば、2022年9月大刷新された、「SUNTORY FROM FARM」です。

今会見では、サントリー株式会社 常務執行役員 ワイン本部長 吉雄敬子氏とサントリー株式会社 サントリー登美の丘ワイナリー 栽培技師長 大山弘平氏が登壇。

日本ワインのトップランカーとして躍進を続ける同ブランドは、2024年どのように進化していくのでしょうか。

2024年「サントリー日本ワイン」戦略について、概要をお伝えしていきます。

2つの方針・戦略

2024年「サントリー日本ワイン」戦略では、下記2つの方針・戦略が重点的に発表されました。

  • フラッグシップワインの進化
  • ワイナリーの進化

それぞれ解説します。

フラッグシップワインの進化について

「SUNTORY FROM FARM」のフラッグシップワインは、シンボルシリーズの、「登美」と「岩垂原」。

登美の丘ワイナリー、塩尻ワイナリーで生み出される、同ブランド最高峰の位置づけとなるワインです。

フラッグシップワインの進化のポイントとして挙げられたのが、下記の2点でした。

  • 日本固有品種『甲州』強化
  • 「登美 赤」の革新

甲州は日本固有品種であり、サントリーにとっても重要なぶどう。

『甲州』を世界に肩を並べるぶどう品種に高めていきたいといった思いから、同社は甲州の強化を継続し続けています。

甲州の収穫量拡大、「SUNTORY FROM FARM」の甲州からつくられたワイン3種が国際コンクールにおいて受賞するなど、その歩みは止まるところを知りません。

そして、今回ついにフラッグシップワイン「登美」から、「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」が発売となります。

じつは、「登美」として甲州は初。

詳しくは後述しますが、日本最高峰の甲州が誕生したと言っても過言ではない、期待値の高い1本になっているのではないでしょうか。

次に、「SUNTORY FROM FARM 登美 赤」の革新について。

1950年代に世界のワインを意識した欧州系品種への挑戦をスタートさせたサントリーは、時代ごとに目指す品質を決め、品種構成を調整しながら登美の丘のテロワールを表現し続けてきました。

「登美 赤」の品種構成はその年代によって違い、ある年はカベルネ・ソーヴィニヨン主体、ある年はカベルネ・フラン主体、ある年はメルロが主体…といったかたちで、年ごとにテロワールを表現した構成比率となっています。

そして現在、世界品質とテロワールの個性の高いレベルでの両立を目指す、「SUNTORY FROM FARM 登美 赤 2020」の主役は、なんと「プティ・ヴェルド」です。

プティ・ヴェルドと言えばボルドーにおける補助品種として知られていますが、世界に比肩するクオリティのプティ・ヴェルドが収穫可能となっており、同ぶどうを主体とした「SUNTORY FROM FARM 登美 赤 2020」が、2024年に登美の丘ワイナリーのテロワールを表現する赤ワインとして登場します。

上記、「登美」2種について下記で詳しく解説しましょう。

「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」

 

サントリーでは、世界の白ワインに比肩する鍵として甲州の凝縮感を高める挑戦を続けてきました。

適した系統を選んで植える、適した圃場を選び適した方法で栽培する、完熟したぶどうだけを厳選して収穫するなど、自家ぶどう園であることの強みを最大限活かし、“最高”の甲州への挑戦を行ってきたとのことです。

そんな中、登美の甲州に必要な味わいのぶどうを目指す2区画を選定。

適した系統の植え付けはもちろん、収穫時には完熟した房のみを選別するなどこだわり抜いた結果、念願の「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」が誕生したのです。

「SUNTORY FROM FARM 登美 甲州 2022」は、フラッグシップワイン「登美」にふさわしい、和柑橘を思わせる豊かな香り立ち、果実味溢れる凝縮した味わい、程よい余韻が感じられるワインに仕上がっているとのこと。

これまでの、「甲州」とは一線を画すワインが実現しました。

「SUNTORY FROM FARM 登美 赤 2020」

 

新ヴィンテージとなる、「SUNTORY FROM FARM 登美 赤 2020」は、「プティ・ヴェルド」を主品種とした赤ワイン。

サントリーは90年代からの試行錯誤の結果、プティ・ヴェルドは登美の丘のテロワールに適した、個性豊かな味わいを得ることを見出してきました。

もともと強い個性を持つプティ・ヴェルドですが、登美の丘のテロワールによって柔らかさ、気品の高さを感じられるワインに仕上がるとのこと。

同社は、“色が濃く、力強さを発揮しながら柔らかさ、上品さが感じられる”プティ・ヴェルドを収穫するためにフェノール化合物の成熟を待つことが鍵とし、栽培管理を徹底し、ぶどうが病気に罹患しない環境をつくり上げてきたと言います。

さらに、2022年に無破砕仕込や垂直型圧搾機といった設備導入によって醸造プロセスを改善。

ぶどうのさらなるポテンシャルを引き出す醸造により、フラッグシップワインの名にふさわしい、「SUNTORY FROM FARM 登美 赤 2020」が誕生したのです。

「SUNTORY FROM FARM 登美 赤 2020」のぶどう品種は、プティ・ヴェルド54%、カベルネ・ソーヴィニヨン46%とプティ・ヴェルド主体。

果実の完熟を追求し、黒系果実の印象と、なめらかで気品のある味わいが魅力のワインとのことです。

ワイナリーの進化について

2024年「サントリー日本ワイン」戦略では、登美の丘ワイナリーの進化についても語られました。

ワイナリーの進化のポイントが下記です。

  • 更なる美味品質の追求
  • サステナブル経営推進
  • お客様接点強化

とくに注目したいのが、更なる美味品質の追求の概要。

登美の丘ワイナリーのテロワールを活かす取り組みとして、なんと畑を約50区画に分けてのぶどう栽培を管理。

ぶどうの特徴ごとに細かい原酒のつくり分けを行うために、新・醸造棟を建設するとのことです。

着工は、2024年9月で完成は2025年9月を予定。

畑区画ごとにぶどうを仕込み、多彩な原酒のつくり分けを行うことで、さらに高品質なワインづくりが可能になる驚きの計画です。

また、サントリーでは気候変動への対応や自然環境・土壌保全、地域社会との共生など「人と自然と響きあう」を体現した事業活動を実現するためのサステナブル経営を推進していくとのこと。

そして、上記の50区画体験ツアーなど、「ものづくり」を伝える限定ツアー、「ワインの愉しみ方」を伝える商品・イベントを提供するなど、現地ならではのツアー・商品・イベントで、消費者にワイナリーの魅力をより深く感じてもらう企画も多数予定しているそうです。

今以上に日本ワインが身近に感じられる、そんな素敵な場所に進化を遂げることを期待しましょう。

「SUNTORY FROM FARM」に期待!

会見では、サントリーの日本ワイン中期方針として、2030年には10万ケース (単位:9L/ケース)の販売数量を目指しながら、「ものづくり」と「お客様接点」の質を高めていきたいといった話もありました。

質の高いぶどうを栽培するだけでなく生産量を増やすることも、日本ワインが躍進していくためには重要です。

日本ワインのトップランカーとして走り続け、さらに進化し続けているサントリー。

日本ワインブランド「SUNTORY FROM FARM」に、注目し続けましょう。

参考

https://www.suntory.co.jp/wine/nihon/