こちらのコーナーでは、日本ワインを盛り上げるための活動をしている人、日本ワインの普及に貢献している人にフォーカスし、
その具体的な活動やワインとの関わり方などをご紹介していきます。
第一回目は、お笑い芸人として活動する傍ら、この度「余市町ワイン大使」に就任されたひぐち君にインタビューさせていただきました!
日本ワインに“はまった”きっかけを、教えてください
「LIFE with WINE」という日本ワインのイベントがありまして、その10回目(2017年2月開催)に、ゲストとして呼んでいただいたんです。「ルネッサンスしてください」と。
ちなみに、僕はルネッサンスって言わない方なんですけどね(笑)。
無事に自分の出番を終え、当時ワインエキスパートの資格を取得したばかりということもあり、とても興味深く全てのブースを回らせていただきました。
そこで、とあるワインに出会って。
さらにその造り手の方に、日本ワインは”旨味”や”出汁感”が特徴的で、その繊細な味わいが和食に寄り添うというお話を聞いて。
そこから日本ワインにハマりました。
ーーちなみに、そのワインとは?
北海道余市町のピノ・ノワールのワインです。
それまで、ほとんど日本ワインは飲んだことなかったんですけど。というか、実はワイン自体そんなに飲んだことがなかったんです。
ーーそれなのに、ワインエキスパートを取得?
そうなんです(笑)。
2015年にワインエキスパートの資格を取得しました。
“貴族のお漫才”という、ワイングラスで乾杯するスタイルのネタをやらせてもらっているので、
以前からボージョレ・ヌーヴォーの解禁イベントに呼んでいただいていました。
ある年、フランス大使館の方々も参加されるような、ちょっと格式の高いボージョレ・ヌーヴォーのパーティーに呼ばれ、
「今年のヌーヴォーのお味はいかがですか?」って初めて聞かれて。
それまではスーパーやショッピングモールなど、どちらかというとカジュアルなイベントが多く、そんなコメントは求められたことがなかったんですけど(笑)。
何かそれっぽいこと言わなきゃと、「いやー、今年のは重たいですね」と的外れなことを言ってしまい、とんでもない空気に。
これはちょっと勉強した方がいいなと、慌ててスクールに通い、ワインエキスパートを取得しました。
それがキッカケとなり、「LIFE with WINE」に呼んでいただいた、という流れですね。
――ワインを勉強し始めるには人それぞれ色々なきっかけがあると思いますが、ひぐち君のケースは特殊ですね。
そうかもしれませんね。
ワインスクールに行っても最初は何もわからなかったです。
「カベルネ・ソーヴィニヨン」が言えなかったくらいで。ずっと「カルベネ」って言い間違えて、よくツッコまれてました。
ワインスクールって、だいたいワインに馴染みがあって、すでに予備知識を持っている方が多いのですが、
僕はテキストの一行目からわからず、結構大変でした。
日本ワインに関し、どのような活動をされていますか。日本ワインに関わり始めた頃から 現在にいたるまでの活動内容について、教えてください
たまに番組のロケでワイナリーをご紹介させていただいたり、2019年には福島大学で講義をさせてもらったり。
ありがたいことに、その講義の3回目だったんですけど、1年目は田崎真也さん、2年目は辰巳琢郎さん、で3年目がなぜか僕っていう(笑)。
ちょっとプレッシャーでしたけど、大学生の前で「日本ワインの現在」というテーマでお話しさせてもらいました。
他には、長野県原産地呼称管理委員会・GI長野のワイン官能審査委員や、日本ワイナリーアワード2021・2022の審査員も務めさせていただきました。
個人的には、「ひぐち君の日本ワイン会」というオンラインサロンをやっています。
月一回のオフ会でリアルワイン会を開催していたのですが、コロナ禍に入ってからはzoomを使ったリモートワイン会に切り替え、
先日110回を超えました。
「ワイン王国」では、”品種のいろは”という連載に参加させてもらったり、ワインイベントに呼んでいただいたり、
ありがたいことに、色々やらせてもらっています。
ーー親しみやすいイベントから、アカデミックなお仕事まで幅広くご活躍ですね。
いやいや、全然僕ではアカデミックな感じにはならないですけど。
――いやでも先生・・・
いえいえ、先生じゃないですよ(笑)。まだまだ勉強中の身ですので。
――オンラインサロンはどんな感じですか?
毎週開催するリモートワイン会では、造り手の方と僕がトークさせていただき、
そのワイナリーのワインをメンバーの皆さんと飲みながら、その後質問をしてもらうというようなスタイルです。
時間は90分くらい。
コロナ禍になってから始めたのですが、ほぼ毎週やってますね。
通常、ワイナリーに見学に行くと、ご説明される内容ってある程度決まっていることが多いと思うのですが、
リモートワイン会ならではなのは、造り手の方も飲んでいるので、「ここだけの話ですよ」みたいなのが結構聞けるんですよ。
それが面白いなと思います。
なので、リモートワイン会では、僕もかなり勉強させてもらっています。
造り手の方の解説を聞きながらワインを飲ませてもらうというのは、本当に贅沢な時間です。
日本ワインの現状および今後について、どのようにお考えですか
現在、日本のワイナリーが400軒を超えていますが、飲み手がそこまで増えていないような気がします。
日本ワインのイベントに参加しても、新しいファンをあまり見かけない。
まだ飲んだことがない方にも、その魅力を知ってほしいですね。
以前僕もそうでしたが、日本ワインってどこで買っていいのかわからないと思うんです。
なので、コンビニやスーパー、近所の酒屋さんなどで買えたり、カジュアルな居酒屋やバーでもっと飲めるようになったり、
ワイン文化がどんどん根付いていくといいなと。
例えば、甲州ワインは1000円台のものもけっこうあるのですが、数量の問題もあり、探さないとなかなか出会えない。
オンラインショップで購入できますが、ワイン初心者にはまだハードルが高いような気がします。
より身近に日本ワインを飲めるような場が多くあれば、そこでまず体験してもらって、美味しい!となれば、
次回からオンラインショップなどで買ってみよう、みたいにどんどん広がっていくのかと。
そんなふうに、間口が広ければ広いほどいいのかなと思います。
日本ワインの楽しみ方として、おすすめがあれば教えてください
コロナ禍の状況にもよりますが、まずはワイナリーに訪問することをおすすめします。
造り手さんやブドウ栽培農家さんのお話を聞いて、そのワインを飲む。
ワインって、説明を聞いて飲むと格段に美味しくなるので、それを一度体験してもらうと、より楽しめると思いますね。
日本ワインはとくに。
僕は英語もフランス語もできないので、海外のワイナリーでは通訳さんが訳してくれる説明を聞いて「なるほどなー」と思うのですが、
造り手さんの性格までは分からないんですよね。
でも日本のワイナリーだと、造り手さんの性格とか、ああこの人が造ってるからこういう味になるのかなとか、
そいういったことが勝手に想像できたりする(笑)。
これも、日本ワインならではの楽しみ方なのかなと思います。
――確かに、自分で訪問したことのあるワインって、なんだか思い入れというか愛着みたいなものも後々までありますよね。
そういう意味では収穫とかお手伝いさせてもらえる機会があれば、より思い入れも強くなりますね。
和食と日本ワインのペアリングって最強なので、ワイナリーで買ってきたワインを、お家のご飯と合わせて楽しむのもオススメです。
――日常で楽しめる身近な存在になりますね。
今後、日本ワインを盛り上げていくために、どのような活動をしていきたいですか
先日「余市町ワイン大使」に任命していただき、余市町登地区「木村農園」の木村幸司さんに、
ワイン用ブドウ栽培の1年の流れを教えてもらっています。
もちろん邪魔にならない程度にですが、畑を見せていただいて作業をさせてもらって。
一年間のブドウの生育のプロセスを、SNS等でお伝えできたらなと思います。
「ワインの品質は原料のブドウで8割決まる」と言われています。
良いブドウでないと美味しいワインはできないので、そのブドウから見せていただけたらと。
――ワインを楽しむだけじゃなく、原料のブドウ栽培からきちんとご自身で体験して学んでいかれるのは、素晴らしいですね。
いえいえ。でも役場の方には「ガチ過ぎません?」って引かれるくらいなんですけど(笑)。
どうしても行きたくてお願いさせていただきました。
先日はピノ・ノワールの芽かき作業を教えてもらったのですが、これがなかなかできないんですよ。
だって、あの「木村農園」のピノ・ノワールですよ!摘みすぎると収量が落ちてしまうし、残し過ぎてもまたダメだし。
――責任重大ですね。
そうなんですよ。もちろん他の作業も大事ですが、芽かき次第でその後のブドウの樹の形が決まってくるんです。
めちゃくちゃ重要なんですよ。
とても緊張しましたけど、2日間やらせていただきました。
仕立て方や芽かきのやり方も、同じ産地でも栽培家によって違うので、面白いですね。
山梨の畑でも教えていただいていたのですが、そこは棚仕立てで、余市町は垣根だったり。
品種の違いもありますが、山梨と余市町とでは芽かきだけでも全然違いますね。
今後もいろいろな作業を見せていただく予定です。
最後に
日本ワインの総合 Web メディア「日本ワイン.jp」は、最近興味を持ったばかりの初心者から、各地のワイナリーにも積極的に訪問したり、日本ワイン検定 1 級をパスした「日本ワイン マスター」のようなマニアまで、さまざまな方に閲覧いただいていますが、最後に 「日本ワイン.jp」読者のみなさまに、メッセージをいただけますでしょうか。
「一人でも多くの飲み手が増えるように、美味しいと感じたワインはSNS等でアップしてほしいですね。そうすると情報を共有できるので。
それと、日本ワインに興味のある方、オンラインサロン「ひぐち君の日本ワイン会」で、ぜひお待ちしております(笑)。」
たくさんお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。
私も”飲んだらSNS投稿”、早速今夜から実践してみたいと思います!
ルネッサーンス!!
【ひぐち君の日本ワイン会 DMMオンラインサロン】
https://lounge.dmm.com/detail/1486/
ワイン&チーズライター 磯部 美由紀
日本ワイン.jp チーフエディター / J.S.A認定 ワインエキスパート / C.P.A認定 チーズプロフェッショナル
ワイン記事監修実績:すてきテラス Picky’s こだわり楽しむ、もの選び〔ピッキーズ〕