子どもから大人まで、幅広い年代の方に愛されている鶏肉料理「からあげ」。
飲食店を訪れたら必ず注文してしまう…という方も多いことでしょう。
さて、そんな「からあげ」は、お酒好きの人たちにとっても愛すべきおつまみのひとつ。
居酒屋などでビールやレモンサワーと合わせている光景をよく目にしますが、じつは白ワインとも相性抜群なんです。今回、「からあげと白ワイン」の可能性についてを解説。
ぜひ、白ワインとからあげを楽しく美味しく合わせてみてください。
からあげ×ビール&レモンサワーはなぜ?
“からあげに白ワインと聞いても美味しさを想像できない…”という方もいるでしょう。
冒頭でお伝えした通りからあげに合わせるお酒といえばビールかレモンサワーなどが定番であり、この組み合わせこそが“王道”といったイメージを与えます。
唐揚げの特徴をまとめると…
- 衣の脂っぽさ
- 鶏肉のジューシーな肉汁が楽しめる
- 食感の良さ.etc
ご家庭やお店によって作り方の差異はあれば、基本こういった部分がからあげの特徴といえます。
さて、そうなるとビールやレモンサワーは、強い炭酸と爽快感のある飲み心地、ドライな後味が特徴であるため、からあげのこってりした感じを洗い流す…という意味では最適なペアリングでしょう。
しかし、冷静に考えてみてください。これは、からあげを美味しく食べる(お酒を美味しく飲む)ための一例にしか過ぎず、もっとさまざまなお酒とのペアリングにチャレンジするべきではないでしょうか。
そこで、ここで提案したいのが「白ワイン」とのペアリングなのです。
からあげと白ワイン
一般的に白ワインはレモンやグレープフルーツ、青リンゴ、ハーブの香りが特徴とされています。
さらに苦みが少なく、酸がしっかりとしているため後味はスッキリとした印象。
そのため、爽やかな印象で楽しめるお酒のひとつといえます。
また、白ワインは10℃から14℃、場合によっては5℃から10℃が適温。しっかりと冷やした方が美味しく飲めるワインということになります。
さて、この白ワインの特徴とからあげの特徴を組み合わせていきましょう。
香りが合う
柑橘やハーブの香りが合うからあげにかけるものといえば、レモン汁。(嫌がる人もいるので要注意)
まず、からあげにレモンがかかることで白ワインの柑橘の風味と親和性が生まれます。
もちろん、レモンをかけなくても白ワインが口内でレモンの代わりになるという効果が期待できます。
また、からあげはハーブソルトやタルタルソースなどをつけても美味しく食べられるため、白ワインのハーブの風味と喧嘩せずに馴染みます。
柑橘とハーブなどの複雑な風味がからあげに組み合わさることにより、からあげがより美味しく楽しめると考えられるのです。
脂っぽさや肉汁をキレイに流す
白ワインは酸がしっかりとしているため、衣の脂っぽさを流し口の中をさっぱりとさせてくれます。
また、からあげを噛んだときに出てくるジューシーな肉汁も白ワインの果実味と相性抜群。
それでいて、肉のしつこい後味は白ワインの酸が洗い流してくれるため、口の中は鶏肉の美味しい風味と白ワインの香りだけが残るのです。
熱々からあげをクールダウン
ビールやレモンサワーとからあげの組み合わせで重要視されるのが、温度の違い。熱々の食べ物を冷えた飲料で流し込むあの感覚は私たちに至福の心地良さを与えます。
しかし、前述した通り白ワインも冷やして飲まれることが一般的ですので、この快感を得ることが可能です。
大げさかもしれませんが、熱々のからあげに香りの要素が複雑な冷えた白ワインを合わせることで、“白ワインの隠れていた香りが引き出される”可能性すらあるのです。
どうでしょうか。最初は懐疑的だった方であっても、白ワインとからあげの可能性が少しずつ見えてきたはずです。
では、次に具体的な組み合わせについて解説していきましょう。
もも肉のからあげにはジューシーな白ワイン
からあげの材料は大きくわけて、“もも肉”と“むね肉”に大別されます。(骨付きなどもあります)
もも肉から作られるからあげは主に、衣カリカリ、弾力ある歯ごたえ、肉汁たっぷりといったテイストで仕上げられるため、白ワインもジューシーなものを選ぶとよいでしょう。
樽熟成されたシャルドネ、やや熟成された白ワイン、ヒュメ香(スモーキー)が感じられるソーヴィニヨン・ブランなどがオススメです。
もも肉の味わいに負けない強さを感じさせる白ワインを選ぶと、より美味しく食べ合わすことができるでしょう。
むね肉のからあげには爽やかな白ワイン
鶏は胸を活発に動かすため、むね肉はもも肉に比べて肉質がしっかりしており、たんぱくな風味が特徴です。
むね肉から作られるからあげの場合、カラっとした衣だけでなく柔らかな衣バージョンもよく見かけます。
肉質に弾力があるもものの、もも肉に比べてさっぱりした味わいですので、比較的食べ進めやすいからあげが仕上がるようです。
さて、そんなむね肉のからあげには爽やかな白ワインがおすすめです。
柑橘や青いニュアンスを感じるソーヴィニヨン・ブランやリースリング、オーストリアのグリューナー・ヴェルトリーナもいいでしょう。
透明感があり、香りが爽やかで華やかなワインはたんぱくなむね肉のからあげによく合います。
むね肉はさまざまな味付けに対応する部位ですので、香りの要素が強い白ワインでも喧嘩せずに合わせられるでしょう。
日本ワインなら甲州が抜群に合う!
もも肉やむね肉、さらにその仕上がり方によってワインを変えるのは正直面倒くさい…。
こういった方には、“甲州”から造れた白ワインをおすすめします。
日本を代表する白ブドウである甲州は、数多くの食事に合わせやすい万能ワインを生み出します。
ソーヴィニヨン・ブランを思わせる柑橘の香りがあるもの、樽熟成を経たもの、シュール・リーによってうまみが増したもの…。
どんなスタイルであっても甲州が持つ、清潔感と清涼感、爽やかな酸は失われておらず、からあげとよく合います。
しっかりと冷やした甲州を揚げたてのからあげと合わせてみましょう。
“今日から、ビールとレモンサワーは卒業!私の中では、からあげには白ワイン!”という宣言をしたくなるはずです…!
ワインの楽しみを広げよう
白ワインとのペアリングというと、“少し手の込んだ料理を合わせなければいけない”といったイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、今記事で解説したように白ワインはからあげとの相性が良く、飲食店はもちろんご自宅でも気軽にペアリングを楽しむことができます。
「定番」の世界だけではなく、「意外」な世界に一歩足を踏み入れるだけでワインライフがぐっと楽しくなります。
ぜひ、そのキッカケとして「からあげと白ワイン」を試してみてはいかがでしょうか。