世界各国で数多くの店舗を展開するコーヒーチェーンのひとつ、スターバックス。提供されているコーヒーの品質の高さはもちろん、豊富なメニュー、居心地の良さ、店員(パートナー)たちのフレンドリーな接客など、毎日通いたくなる「サードプレイス」として多くの人たちに愛されている場所です。

スターバックスのイメージと言えば「コーヒー」や「ティー」ですが、日本ワインも提供されていることをご存知でしょうか。

さらに、そのワインは日本ワインファンから絶大な支持を得ている北海道余市町の「平川ワイナリー」によるもの。

スターバックスが、なぜ平川ワイナリーを取り扱うのか、そもそも日本ワインを取り扱う意味とは。

今回、スターバックスコーヒージャパン株式会社 ビバレッジ開発担当 石村正樹(いしむら まさき)さんにスターバックスが平川ワイナリー、そして日本ワインを取り扱う理由をお聞きしました。

前編では、スターバックスがワインを取り扱う理由、平川ワイナリー導入までの経緯をお伝えします。

コーヒーと同じ農作物由来のワインを“スターバックスのセンス”で届けたい

平川ワイナリーのワインが提供されているのは、2019年に東京・中目黒に誕生した「スターバックス リザーブ® ロースタリー 東京」(以下ロースタリー)の「

ARRIVIAMO™ BAR(アリビアーモ バー)」。

ロースタリーは、世界でも5店舗しかない焙煎工場併設型の店舗で、1階はコーヒーをメインに提供する「STARBUCKS RESERVE®(以下スターバックス リザーブ)」、2階はティーをメインに提供する「TEAVANA™(以下ティバーナ)」、3階はカクテルなどお酒を楽しめる「ARRIVIAMO™ BAR(以下アリビアーモ バー)」、4階はイベントスペース「AMU TOKYO」で構成されています。

また、コーヒー豆やティーリーフ、グッズ、フードも豊富に用意されており、ミラノ発のイタリアンベーカリー「プリンチ」の商品も提供。

ブランドの情熱やイノベーションを体験できる、スターバックスのこだわりが全て詰め込まれた特別な店舗です。

石村「スターバックスは、お客さまにとっての“サードプレイス”として、さまざまなシーンで豊かな時間を過ごしてもらうことが目的のコーヒーショップです。コーヒーはあくまでそのアプローチのひとつといった考え方で、それを象徴するのが中目黒のロースタリーになります。

コーヒー、ティー、アルコールを提供するバーなど、館全体でコーヒーの粋を超えた楽しさを提供していきたい思いで商品を開発しています。」

コーヒーショップであるスターバックスが、なぜ「アリビアーモ バー」でワインも提供するのか。そこには、「農作物由来」という共通点があると石村さんは言います。

石村「コーヒーとワインには、産地、気候、テロワール、生産者さまの哲学、品種による味わいの違いなど共通点が多くあります。そして、コーヒーもワインも農作物由来の食品です。

私たちは、そのワインをグラスだけではなく、カクテルとしても提供しています。ワインのバックストーリーやクラフトマンシップ、アリビアーモ バーのバーテンダーたちのスキルを組み合わせながら、スターバックスらしいセンスで“体験”としてお届けしたい。

“スターバックスらしさ”を、お客さまに感じていただけたら嬉しいです。」

日本の素晴らしいワインを多くの人に伝えたい

「アリビアーモ バー」で提供されているワインは、「イタリアワイン」が中心。

スターバックスの創業者であるハワード・シュルツが、イタリアのエスプレッソ文化に感動したことをきっかけにアメリカでチェーン展開を始めたこと、アリビアーモ(ARRIVIAMO)がイタリア語であり、イタリアの文化を発信していこうというコンセプトであること、イタリアンベーカリーの「プリンチ」やイタリアの食文化のひとつアペリティーボを提供していることなどから、アリビアーモ バーではイタリア文化を発信する場所として親和性が高いと考えています。

“イタリア”の文化を発信する「アリビアーモ バー」で、なぜ日本ワインを取り扱うのでしょうか。

石村「各国のロースタリーでは、その“土地”のものを取り扱うというミッションがあります。

私たちの住む国には、“日本ワイン”という素晴らしい品質のワインがある。だからこそ、我々を通じて多くのお客さまに日本ワインを伝えていきたいという思いからこの取り組みをスタートさせました。」

スターバックスを訪れるお客さまは必ずしもワインに詳しいわけではないからこそ、“日本にはこんなに素晴らしいワインがある”ことを伝えていきたいと語る石村さん。

スターバックス、さらにロースタリーのような発信力のある店舗で日本ワインが取り扱われていることは、ワインファンを増やす上でも重要なアプローチではないでしょうか。

スターバックスと平川ワイナリーの親和性

「アリビアーモ バー」では、平川ワイナリーを取り扱う以前からいくつか日本ワインを提供していたとのこと。

なぜ、平川ワイナリーを取り扱うに至ったのでしょうか。

石村「日本には、小規模ワイナリーさまが多い印象です。スターバックスとしてある程度の供給力は必要になりますので、まずそのハードルをクリアできるワイナリーさまを探すところからスタートしました。

その上で生産者さまの顔が見えること、哲学を持ってワインをつくられていること、品位が高いこと、コスト面など…これらの条件をクリアするワイナリーさまとなると数が限られてきます。

その中で、お付き合いのある酒販店さんに紹介されたのが、平川ワイナリー。これが、私たちと平川氏が出会うきっかけでした。」

平川ワイナリーのオーナーは、ヴィニュロン(栽培醸造家)でありソムリエであるワインづくりのカリスマ平川敦雄氏。

石村さんたちは、平川氏のワインづくりを知るために北海道余市町にあるワイナリーへと実際に足を運んだといいます。

剪定、収穫など、ブドウ畑で汗を流した石村さん。

平川氏のブドウ栽培やワインづくりの情熱を間近で見ながら、感銘を受けたと語ります。

石村「平川ワイナリーを訪れ、剪定作業などさまざまな体験をさせていただく中で、ブドウ畑、ワイン、平川氏のお人柄、全てが素晴らしいと感じました。

平川氏のワインづくりへの姿勢、哲学、ワイン1本ずつに込められたストーリー、そしてブランディング。ワインの品位の高さはもちろん、全てに感服いたしました。」

そして、石村さんは人とのつながりの強さに共通点を見出したと言います。

石村「私たちスターバックスは、人とのつながりを大切にするブランドです。私が実際にブドウの収穫に参加した際、平川氏のファンの方、多くのお知り合いがお手伝いに来ていました。

平川さんは、人とのつながりをとても大切にされている方。そこに我々の理念でもある“コネクト(つながり)”との親和性を強く感じたんです。」

ミネラルを根に感じる品位あるワイン

平川氏のワインづくりへの強い情熱に惚れ込んだ、石村さん。

平川氏のワインには共通して、“ミネラル”を感じるといいます。

石村「平川氏のワインを試飲させていただいたとき、どれも香りや味わいの素晴らしさはもちろんなのですが、共通してミネラルを感じました。これが土壌の味、テロワールの味わいではないかと個人的に感じたんです。」

さらに、平川ワイナリーのワインから感じ取れるこのミネラルのニュアンスが「プリンチ」のパンとの相性がよく、ペアリングもぜひ体験してほしいとのこと。

石村「平川氏のワインを飲んだとき、プリンチのパンとの親和性を感じました。例えば、ワインにまつわるストーリーは語らないと伝えられませんが、ペアリングは語らずとも理解いただけるアプローチです。

ワインとプリンチのパンを合わせていただき、“おいしい”と感じていただくことも、平川氏のワインを伝えるためには大切だと考えています。

ワインの背景にあるストーリーや生産者の哲学、品位、そしてプリンチとの親和性の高さ。私たちスターバックスが平川ワイナリーを提供する理由が、ここにあります。」

余市の風土を想像しながら味わってほしい

スターバックスと出会い、自らが醸すワインが店舗で提供され、さらにカクテルというかたちで多くのお客さまへ届けられている。

平川ワイナリーはスターバックスのどこに共鳴したのか、カクテルをどのように楽しんでほしいか平川氏にお聞きしました。

平川「プロフェッショナル 精神でものづくりをされているところ、終わりなき探究心で、最高の品質を生み出そうとしているところ。

そして、原料が育つ風土や自然の要素を大切に、味わいを追求しているところに共鳴しました。

そして、ワインにスターバックス様の思考が加わって誕生したのが今回のカクテルです。カクテルには、余市・平川ファームの風景が込められています。

余市の風土を想像しながら味わってみてください。」

参考

お話をお聞きした方

スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社 ビバレッジ開発担当 石村正樹(いしむら まさき)

ビバレッジ開発担当 20192月入社

STARBUCKS RESERVE® ROASTERY TOKYO

アリビアーモ バー (ARRIVIAMO™ BAR

北海道余市 平川ワイナリー