美食家の読者はもう体験されてるかもしれません、ESPRIT C. KEI GINZA(エスプリ・セー・ケイ・ギンザ)。
2020年にアジア人として初めてミシュラン三つ星を獲得したことで知られるパリのレストラン、Restaurant KEI(レストラン ケイ)。そのオーナーシェフ小林圭氏が「美食の研究所」として銀座に立ち上げたのが、ここESPRIT C. KEI GINZA(エスプリ・セー・ケイ・ギンザ)です。
世界に名高い小林圭氏の料理はもちろんですが、実はワインリストでも世界から注目を集めているのです。
世界で評価されるワインリストや、彼らの日本ワインへの思いを探るべく、シェフソムリエの中島一希氏、シェフの杉本昌久氏にインタビューいたしました。
Star Wine List of the Year Japan 2025の受賞について
同店は、Star Wine List of the Year Japan 2025でシルバー賞を受賞しています。
Star Wine Listとは、レストランのワインリストを評価するコンテストです。「ソムリエにとってこの賞はとても名誉なこと。海外、特に北米・南米・中米のお客様が受賞後に増えました。Star Wine Listを“ガイドブック代わり”に来てくださるんです」と中島氏は嬉しげに語ります。
海外からのお客様はもちろんですが、国内でもやはりStar Wine Listをご覧になったワイン関係者や愛好家が多く訪れるという。
それもそのはず、選び抜かれたボトルたちは「読むだけで旅になる」ようなラインナップなのです。
世界で評価されたワインリストはどのようなな内容でしょうか。
900本超の壮観なワインリスト
テーブルにどっしりと置かれた分厚いワインリスト。まるで辞書や図鑑のよう。
フランスワインを中心に700〜800アイテム。国内ワインを含めると、総数はなんと 900アイテム超とのこと。
同店には、コース料理に合わせるいわゆる「ペアリングコース」は存在しません。
その代わりに、中島氏は 120種に及ぶハーフボトル にこだわり、「少しずついろいろ楽しみたい方には、ハーフは最強です。個人的にも好きで、ずっと集めてきました」と、料理に合わせて自由に色々と飲んでもらえるようにしています。
ペアリングがないからこそ、ゲストはワインと料理の関係性を自分で発見できるのは、とても贅沢な自由ですね。

続いて見せてもらったのは、なんと日本ワイン専用のリスト。ここには国際品種を中心に 70アイテムが揃っています。
「世界のお客様にも、日本のワインを知ってほしい。その思いを込めています。」とのことで、海外からいらっしゃるお客様には白では甲州、シャルドネが、赤はピノ・ノワールが人気だそう。
とくに甲州については、中島氏から積極的に提案し、“飲んで世界が変わる体験” を味わってもらうそうです。
中島氏の考えるペアリングの極意
興味深いのは、中島氏のペアリング理論です。
「ペアリングをご希望の場合は、必ずメインから組み立てます。たとえばシカやピジョンなら、白胡椒やスパイスの香りがあるワインを合わせると一気に世界が広がります。その後に、前菜に合わせるワインを料理はもちろん、他ワインの順番やバランスなどの全体の香りの構造を組み立てます。」
今はジビエの美味しい時期ですね。そこで名前が上がったのが、シャトー・メルシャン椀子ワイナリーの”椀子シラー”。
「椀子シラーの白胡椒のアクセントが、鹿肉の脂を洗い、香りの余韻を引き立てます。蝦夷鹿のロティをメインにされる方にはお勧めです。」
また、「椀子ワイナリーは10年以上通い続けておりますが、今のブドウの質は本当に素晴らしいですね。」とも語ります。日本ワインはこうしてブドウの状態までもをソムリエ自身で見に行けることも、また良い点でしょう。

日本の旬を最高の状態で届ける
杉本シェフの生み出す料理もまた絶品です。
店名にある「C」は、「cuisine(料理・厨房)」、「creation(創造性)」を意味し、お店の中央には料理を生み出す要であるオープンキッチンが大きく構えています。
毛蟹の最中はESPRIT C. KEI GINZA(エスプリ・セー・ケイ・ギンザ)のスペシャリテ。噴火湾産の毛蟹と蟹味噌バター、その上にグリビッシュソース、そしてフランスKaviari社のクリスタルキャビアKEIセレクションが贅沢に乗った美しい一品。
同店は虎屋の経営ということで、おなじみ虎屋と同じ製造会社に特別に作ってもらった最中は、パリッとした食感と香ばしさ。冷たくみずみずしい海の香りが重なります。
中島氏が合わせる日本ワインは グレイスワイン「菱山畑 甲州」。
樽を使わないステンレス醸造のクリスピーな柑橘の香りが、キャビアの生臭みを抑え、旨味を引き立てるとの説明です。
さらに蝦夷鹿のロティは、山椒とミックスペッパーの複雑な香りが重なり、おすすめの椀子シラー2022と共鳴し口中にいつまでも美味しさの余韻が残ります。
杉本シェフは、「まず食材です。国内の素晴らしい食材を最高の状態で届けるため、冷たいものは冷たく、温かいものは熱く、最速でお出しすることにこだわっています。キッチンからお客様の様子を見られることもポイントです。」

世界から銀座へ、銀座から世界へ
Star Wine Listをきっかけに世界中から多くのお客様が来店されるESPRIT C. KEI GINZA(エスプリ・セー・ケイ・ギンザ)。
一歩足を踏み入れたそこでは、日本の食材や旬を感じる絶品の料理、それに合わせる日本ワインを世界で評価されるクオリティで味わうことが叶うのです。
「日本のワインを、世界のお客様にもっと知ってほしい。銀座からその魅力を発信していきたいと思います。」(中島氏)
杉本シェフと中島ソムリエのタッグが描かれるこれからの日本の食と日本ワインの未来、大いに期待です。

磯部 美由紀
日本ワイン.jp 編集長
J.S.A認定 ワインエキスパート / C.P.A認定 チーズプロフェッショナル
映画 フロマージュ・ジャポネ 制作実行委員会 事務局長
https://nihoncheese.jp
ワイン記事監修実績:すてきテラス
Picky’s こだわり楽しむ、もの選び〔ピッキーズ〕

