日本ワインコンクール金賞受賞3種の北海道産ワインを中心にテイスティングしながら、北海道産ワインの”いま”をシニアソムリエの阿部眞久氏より学べるセミナーが、東京明治屋ホールにて開催されました。
そこで語られた魅力や日々の楽しみ方をお届けします。

講師を務められたNPO法人ワインクラスター北海道代用理事の阿部氏は、元々はホテルでソムリエをしていましたが、約25年前くらいに北海道に移住されてからは、主に北海道のワインについて紹介する講師として活動されています。‎

産地の拡大と認知

国税庁が制定した「果実酒等の製法品質表示基準」により、それまで曖昧だった「国産ワイン」という表現に代わり、日本国内で栽培されたぶどうを100%使用して、日本国内で醸造されたワインのみを”日本ワイン”と定義されたのが2015年です。

そこから10年、北海道のワイナリー軒数は増加の一方で、現在80軒に迫る勢いです。(2025年7月現在 73軒)
札幌圏外の新規地域(弟子屈、蘭越、音更、鷹栖など)にも広がり、なんと日本最北端と言われる場所にもワイナリー設立の話があったり、地域活性化などの取り組みの一環としてワインを始めるというケースもあるようです。

阿部氏はこうした現状を紹介し「北海道は広いので、エリアによって気候うか、ます。」と語られました。

産官学が動く:北海道ワイン・プラットフォーム

こうした動きを受け、産学官連携で情報・人材・研究を循環させる取り組みが進行中です。
北大ワインテイスティングラボでは、毎週金・土・日・月に一般向け有料テイスティングを提供していますが、国立大学で公的にワイン評価体験ができるユニークな場として好評を得て、開設から一年でその人気は定着しているようです。

気候変動と品種について

阿部氏は「6〜10月の高温化で、今年は積算温度は過去最高を更新しているでしょう。そうした気候変動により北海道内でも栽培する品種が変わってきています。」とも話します。
海沿い(小樽・余市)と内陸(空知・中富良野)で昼夜の寒暖差に差が生じ、酸保持や完熟の度合いが地域で二極化しているそうです。
余市ではケルナーからシャルドネ・ピノ系へ植替えの動きが出てきており、将来的には「北海道」より細かいエリアでのGIの可能性も示唆されました。

受賞ワインを味わう!テイスティングハイライト

① 宝水ワイナリー(岩見沢)/RICCAシャルドネ 2024
(日本ワインコンクール2025金賞)

ステンレスで熟成をしており、すっきりと品種特性を楽しめる。
外観は淡いレモンイエロー、真っ直ぐな酸と清潔な果実味。樽に頼らずバランスで魅せるスタイル。今後3〜4年の熟成余地のあるワイン。

② 北海道ワイン(小樽)/北島ヴィンヤード〜No.7〜Kerner 2021
(日本ワインコンクール2025金賞)

青りんごや柑橘に、熟成由来のハーブ。少し樟脳ニュアンス。2021年の充実感を伴い、ボディと苦味の締まりが好バランスになっている。

③ 千歳ワイナリー(千歳市)/北ワインケルナーレイトハーベスト 2023(遅摘み甘口)
(日本ワインコンクール2025金賞・部門最高賞)

蜂蜜、オレンジピールのニュアンス、軽い貴腐のタッチもある。高い濃縮感ときれいな酸で、長期熟成に期待できるワイン。
ペアリングは同じ産地にあるドライフルーツを纏ったフレッシュチーズなどが好相性。

④ 北海道ワイン(小樽市)/葡萄作りの匠 田崎正伸 木樽熟成ツヴァイゲルト 2019
(キャセイ香港インターナショナル ワイン&スピリッツコンペティション 2024 銀賞)

余市町の契約農家、田崎農園のツヴァイゲルト種をセニエ法で凝縮感を高めたワイン。
プラム、ブルーベリーにブラックペッパーの香り。15〜16℃で、エゾシカのロースト+ひと振りの黒胡椒に好適でしょう。

さいごに

今回テイスティングした主力4品種(シャルドネ/ソーヴィニヨン・ブラン/ケルナー/ツヴァイゲルト)が、品質×供給×価格の安定軸になってくる可能性は非常に高いものと思われます。

日本ワインコンクール2024では金賞7点ありましたが、なかでもドメーヌレゾンのソーヴィニヨン・ブランは非常に高い評価を受けています。
ケルナーは50年の蓄積で安定しており、辛口から遅摘み甘口まで可塑性の高い品種として再評価されています。
そうした「白の強さ」と「多様な産地の物語」で、新しい章を開きつつあるのではないでしょうか。
また、内陸/沿岸/道東など、エリア別の個性が楽しめるようになってきているのもポイントでしょう。