池袋駅から一時間程度、埼玉県小川町に位置する武蔵ワイナリー。
小公子で造られるワインが抜群に美味しいと評判です。
今回、代表の福島有造氏に、その栽培や醸造のこだわりをインタビューしました。

無農薬、無肥料の栽培

約4.5haの福島氏の畑には、現在小公子の他、ヤマソービニオン、メルロー、プティマンサン、シャルドネ、デラウエア、アルバリーニョ、セミヨン、プティヴェルドの9品種が栽培されています。
この日は、その中でも2ha弱を占める小公子の畑に入らせていただきました。

棚仕立て、雨除けのカバーがかけられています。
足元は雑草が生い茂り、大きなものは膝くらいの高さまで。

福島氏のブドウ栽培においてのこだわりは「余計なことはしない」。

「窒素、リン酸、カリウムは植物の三大栄養素と言われているけれど、これらの元素記号は植物の成長ホルモン内に含まれていないんですよね。つまり必須ではない。与えると元気になるということはあるかもしれませんが。」

そのため、福島氏の基本的な栽培方法は、枝を切らない、脇芽とる、摘芯しない。
それだけで十分だと考えています。

また、その理由から土壌をいじることもしません。
肥料は使用せず、脇芽を取ることによって、成長ホルモンを分泌させ、先端が伸びる、という自然の流れに沿った方法をとっている。

ただ病気はどうしても心配です。
病気の原因のほとんどは水分、つまり雨さえ避けることができればよいとのことからと雨除けを設置することに。
棚仕立ての上に、雨除けをきちんとカバーすればブドウの房に雨が当たらない。
雨が完全に防げれば、病気もほぼ出ない。こうしたロジックです。

そして、棚仕立てにしたもうひとつの理由は、根の這わせ方。
斜面の上方向に枝を伸ばし、摘芯はしない。枝と同じ長さだけ、根っこが伸びる。
そのため、垣根ではなく、どこまでも伸ばせるような棚仕立てにしている。

人間がやることは最小限でいいとのお考えで、
「肥料も農薬も使っていません。でも雨除けしてるから厳密には自然栽培って言えませんね。無農薬、無肥料栽培といっています。」とお話しになります。

 

趣深い日本の樽へのこだわり

醸造所内はめずらしい土壁。
通気性と調湿性に優れ、自然に快適な空気の循環が起こるそうです。
土着酵母のみで醸す福島氏のワイン造りには最適な環境です。
人にも微生物にも心地のよい室内でしょう。

そして気になったのが様々な樽。
見慣れたフレンチオークの他、ミズナラ、杉、檜なども。
「これからはできるだけ日本の木材を使っていきたい。桜や栗の木の樽にも興味があります。」とのこと。
様々な樽のバリエーションが楽しめるのも、武蔵ワイナリーの特徴のひとつです。

 

晴れた日のテイスティングはぜひテラス席で!

武蔵ワイナリーでは、おおよそ10種類のワインがテイスティングできます。
小高い丘の上に建つワイナリーのテラスからの視界は広く、気持ちの良い風を感じられます。
この日は色々なタイプの小公子を比較試飲しました。

麹が決め手!福島氏の味噌も大人気!

売店ではワインの他、隠れた名品として、福島氏の作る出汁がいらない味噌が人気です。
とにかく麹がよい。麹造りが上手。

麹菌が米の中に入っていく理論から考え、米の中心部まで麹菌が入っていくように水分を調節している。
米の水分量と同程度に水を切っている。なのでしっかりとした味わいの美味しい味噌が作れるそうです。

さいごに:ランチは武蔵とんナリーがおすすめ

小川町の駅前に、武蔵ワイナリーのワインと合うとんかつが楽しめる「武蔵とんナリー」があります。

トンカツは埼玉県児玉郡神川町産の地元豚、付け合わせの野菜は小川町産有機野菜、ごはんは地元産無農薬イセヒカリ、そしてお味噌汁は上記で語った福島氏の自家製味噌を使っています。
調味料は全て化学調味料無添加。
全てにおいて、限りなくオーガニック、無添加で安心な材料を厳選しているお食事をいただくことができます。

自然に優しい栽培、醸造にて造られたワインと、オーガニックながらしっかりとした食べ応えのあるトンカツ。
ワイナリー見学の際には、こうした上質なランチもおすすめです。

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武蔵ワイナリー(埼玉県)

 

<武蔵ワイナリーHP>

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