ワインに合う肉じゃがは関西風がメイン?その理由を考えてみた!

コラム

和食の定番メニューのひとつ、「肉じゃが」

ご飯に合う料理(おかず)といったイメージですが、“ワイン×肉じゃが”のペアリングをすすめるワイン雑誌やウェブサイトが多いようです。

個人的にも悪い組み合わせではないと感じていますが、ふと気がついたことがありました。

それが、「ワイン×肉じゃが」に使われているのは、「関西風の肉じゃが」であることを…。

ワイン(日本ワインもふくめ)との相性に特化するのであれば関東風ではなく、「関西風 肉じゃが」をチョイスした方がよいのかもしれません。

ここでは、「関西風 肉じゃがと日本ワインの相性」について考えていきたいと思います。

肉じゃがの地域差

肉じゃがは、肉、じゃがいも、人参、玉ねぎ、さいやんげん、白滝(家庭による)を使った煮込み料理。

食べたことが無い!という日本人はおそらくいないのではないでしょうか。(好き嫌いは別にして…)

さて、そんな肉じゃが。

地域によって使用される肉や味付けに違いがあるようです。

Jタウン研究所が実施した「肉じゃがに使うのは、豚?牛?」という全国アンケートによると、関東地域(一部 中部地方をふくむ)から東北、北海道は豚肉派が優勢、関西地域から九州地域にかけては牛肉派が優勢という結果に…。

自分は豚派は100%の山梨県出身なので、“肉じゃがに使う肉は、牛肉”という場所があることに最初は驚いたものです。

諸説あるようですが、関東は農耕時に馬を使い、関西は牛を使っていた…という歴史から、こういった違いが出てきたのではないか、といわれています。(関東大震災後、関東地方で養豚ブームがおこったことも一因だとか…)

ただ、関東や東北地方は豚派100%だけではなく牛派もいるため、一概に関東は豚肉と決めつけることはできなさそうです。

あくまで、ここでは大きなくくりで関西風の肉じゃがといえば、“牛肉を使う”ということで進めていきます。

味付けの違い

関西風の肉じゃがの主役は牛肉であることがわかりました。

では、味付けの違いはあるのでしょうか。

まず、関西風は牛肉の旨味をいかした味付けになっていることが多く、和風だしや砂糖が多く使用されていることが多いようです。

以前、カルビー『じゃがりこ』にて地域の味が楽しめることをコンセプトにした限定品として、「じゃがりこ 肉じゃが味」が販売されていましたが、調べてみると関西を意識した牛肉の旨みと甘さを意識した味付けでした。

関東風は豚肉のうまみ…というよりは、しょうゆやみりん、砂糖、だしをバランスよく使ったやや辛い(しょっぱみ?)のある味付けのイメージ。(実家はそんな感じでした)

より関西風の肉じゃがを美味しくするために牛脂を使うというレシピもあったり、関東風は水ですが関西風は日本酒を使うなど、素材の味の出し方や甘味にも違いがありそうです。

ワインに合わせるなら関西風の肉じゃが

さて、この違いを見てみるとやはり「肉じゃが×ワイン」を試すなら関西風の方がよさそうです。

赤ワインの場合、ワインに含まれるタンニンが牛肉の脂肪分を洗い流すという観点から、牛肉を使った、また牛脂で旨味を強める関西風の肉じゃがに軍配が。

白ワインの場合も、日本ワインであれば果実由来の甘味やうまみを感じるため、だしの風味と甘味の強い関西風の肉じゃがが合いそうです。(関東風は、さっぱりした甲州が合いそうですが…)

また、鰹だしの香気成分にはピラジン類、フェノール類、含硫化合物などがふくまれているといわれていますが、一部のワインも似たような香気成分をふくんでいることから、香りの部分でもバッティングしない…と考えることもできるでしょう。

ちなみに、赤ワインを加える「西洋風 肉じゃが」というレシピが多く見受けられますが素材はやはり牛肉

“西洋風につくった関西風の肉じゃが”といわれると、もはやどこの料理がわからなくなってしまうのですが、とにかくワインに合わせるなら牛肉を使った関西風スタイルの肉じゃがの方が親和性が高いことは間違いなさそうですね。

関西のワインなら関西風 肉じゃがに合うはず!

ワインと料理のペアリングの基本のひとつが、産地を合わせること。

細かく産地を合わせるのは難しいので、大きな枠組みとしての「関西ペアリング」を試してみました。

今回、関西風の肉じゃがに合わせたのは滋賀県のRitto Winery(琵琶湖ワイナリー)の〈ヌーボ・サニールージュ〉。

自社農園のサニールージュを使用した白ワインで、2020ヴィンテージの新酒です。

甘さを感じさせる香りに白い花の香り、口当たりはまろやかで“だし”を思わせる風味とブドウらしい果実感を感じます。

それでいて酸味は残っているので甘過ぎず、引き締まった印象。

関西風の肉じゃがのだしの風味と親和性が高く、甘さの部分でもちょうどよいバランスに。

さらに牛肉の旨みをしっかりと包み込みますし、後味で口の中をさっぱりさせてくれます。

やや日本酒(吟醸香)を思わせるニュアンスがある白ワインですので、関西風の肉じゃがにはぴったりだったのではないでしょうか。

関東×関西の違いはワインにもあるかも!?

同じ肉じゃがであっても関東と関西では使用する食材から違う。

とても、興味深い話ではないでしょうか。

今、日本ワインも関東地方や関東以北だけでなく、関西地方から九州地方にかけて多く製造されています。

もしかしたら、同じ品種や造りであってもどこかしら違いがある部分が出てくるのかもしれません。

肉じゃがのように日本ワインにも産地によって個性の違いが明確に出てくれば、ワイン選びがどんどん楽しくなるはず。

個人的な活動にはなりますが、今後日本ワインの違いについても研究しようと思います。

参考

出汁のおいしさに迫る(<シリーズ>教科書から一歩進んだ身近な製品の化学-和食の化学-) 山崎 英恵

 

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