たこをつまみにワインを飲みたいなら、薫製された“たこ”がおすすめです。

刺身や煮物、唐揚げ、たこ焼き、おでんなど幅広い料理に使用されているたこですが、調理の手間をかけずにワインと合わせるなら薫製が一番。(市販のもの)

ここでは、薫製のたことワインの相性についてお伝えしていきます。

たこについて

日本人における食生活において馴染み深い食材のひとつ、たこ。

スーパーの鮮魚売場やおつまみ売場、コンビニの総菜売り場など、さまざまな場所で「たこ」を目にします。

しかし、たこは海外で「デビルフィッシュ」と呼ばれることもあり、日本のようにたこを食用と考えている国は少ないそう。(ヨーロッパの一部では食べられています)

“こんなに美味しいのに…”と思ってしまうのですが、たこを食べない国からしてみれば逆に日本は不思議に思われているのかもしれません。

さて、そんなたこには数多くの種類があるのですが、日本近海で穫れるたこは主に「マダコ」「ミズダコ」の2種類になります。

スーパーで売られているたこのほとんどが「マダコ」ですが、マダコは皮が厚く生食向きではないため茹でた状態で販売されているものがほとんです。

一方のミズダコもスーパーでよく見かけるようになりましたが、こちらは水分が多く含まれており皮も薄いので主に生の状態で売られています。(たこしゃぶ用など)

ここはワインサイトなのでたこの種類について深堀りはしませんが、基本情報として日本ではマダコとミズダコがよく食べられている、と覚えておきましょう。

たこの味や健康効果

北海道立網走水産試験場の発行している水産加工情報によると、4.9kgのミズダコの77%は水分ほどだそうです。

“ほぼ、水”といった感じですが、ミズダコの刺身や茹でた(煮た)マダコを食べていると独特な、“うまみ”を感じるのではないでしょうか。

じつは、たこには無機塩類やビタミンB類、遊離アミノ酸が多く含まれているのですが、その遊離アミノ酸の5割を占める「タウリン」が、とくに美味しさに一役買っていると考えられているようです。

このタウリンは健康効果(疲労回復・動脈高硬化・血栓の予防など)が期待されている成分であり、たこのタウリン含有量はほか魚介類と比較しても多いとのこと。

美味しいだけでなく健康効果も期待できる、たこ。

ワインのおつまみとして、積極的にチョイスしていきたいところです。

薫製がお手軽!

さて、たこについて解説してきましたが、そろそろワインペアリングについてお伝えしていきます。

たこは生臭さの少ない繊細な味わいが特徴なので、数ある魚介類の中でもワインと合わせやすい食材です。

例えば、「ワインのおつまみ たこ」で検索をかければ、カルパッチョからアヒージョ、オリーブオイルやハーブを使った炒め物など数多くのレシピが出てきます。

個人的に気に入っているのは、ミズダコの刺身にワインビネガーとオリーブオイル、レモン、岩塩、ハーブを散らしたカルパッチョ。

フレッシュ&フルーティーな白ワインと最高に合います。

とはいえ、これらレシピはほかの食材を揃えたり調理するなど、かなり面倒です。

そこでおすすめしたいのが、たこの薫製。

スーパーやコンビニ、酒屋などで「スモークたこ」といった商品をよく見かけますが、じつはこれこそワインのつまみに最適な逸品だったのです。

赤ワインとの相性がとくに良い!

生の“いかとたこ”と燻煙した“いかとたこ”の香気成分を調べた珍しい研究があるのですが、薫製によりたこには独特の風味が加えられることがわかった、と示唆されています。

例えば、生たこの香気は酸性成分数種だったものの、燻煙たこ香気からはフェノール類を主体に多くの香気成分が検出されたとのこと。

当然といえば当然ですが、研究ではフェノール成分がとくに重要と示唆されている上に、燻煙いかで検出された脂肪族炭化水素類は燻煙たこからは検出されなかったそうです。

脂肪族炭化水素類は魚類薫製品で多く検出される成分だそうですが、それを踏まえても薫製たこはワインに合わせやすい要素を持ち合わせているのかもしれません。(ワインとぶつかりやすい魚介類独特の風味が無い??)

さらに赤ワインの多くは、樽熟成を経ていることからフェノール類由来のスモーキーやスパイシーさを兼ね備えているため、親和性が高い。

赤ワインとの相性は、間違いないのではないでしょうか。

これは…アリかも

机上の空論ではなく、ほんとうに薫製されたたこに赤ワインが合うのか試してみました。

あえて、魚介類とぶつかりそうな海外産の赤ワインを使い、市販の「スモークたこ」とペアリングでしたが、口に含んだ瞬間スモークの風味と赤ワインの風味が調和するうえに生臭さも感じないすっきりした後味。

これに軽くレモン汁をかければ白ワインでも違和感なく合いそうな印象です。

海外産ワインで問題なければ、日本ワインだったら問題なくペアリングするでしょう。

薫製されたたこのおつまみを常備しておけば、ワインのおつまみになる。

ぜひ、覚えておいてほしいペアリングネタです。

手軽なペアリングをストックしておく

“普段、合わないといわれているおつまみもこう調理すれば合う”。

こういったアプローチもユニークであり興味深いのですが、手間がかかったり、そこまでしてわざわざワインに合わせる必要があるのか…という意見も少なくありません。

特別な日にレストランで楽しむ場合は別ですが、何もイベントごとのない日であれば、さくっとペアリングできるストックはいくつも持っておきたいところです。

“薫製されたたこのおつまみ”は、そのストックのひとつ。

覚えておいて損はない、おすすめのペアリングですので実践してみてください。

参考

燻煙イカ・タコ香気成分*1 笠原賀代子・西堀幸吉

柔らか煮ダコの加工法について

タウリンについて| リポビタンD | 大正製薬