近年、世界的にオレンジワインが流行しています。(日本ワインにも多く見られるようになりました)

オレンジワインはネーミングの通り、“オレンジ色のワイン”なわけですが、一体なぜこんな色のワインができあがるのでしょうか。

ここでは、オレンジワインの基本的な知識をお伝えしていきます。

オレンジワインは古くから存在している?

ワインといえば、「赤・白・ロゼ」の3色が定番。

オレンジという色合いは聞き慣れないな、という方も多いかもしれません。(熟成を経た白ワインは、“琥珀色とか黄金色”なので…)

今コラムの主題であるオレンジワインは、その熟成された白ワインとは全く別の色合いである“オレンジ色をしたワイン”。

ある意味で、全く新しいワインカテゴリと考えることもできます。

しかし、オレンジワインは世界最古のワイン製法ともいわれており、「コーカサス山脈一帯」で古くからオレンジワインが造られていたことで有名です。

つまり、オレンジワインはある意味でワインの原点。

そもそも、「オレンジワイン」というネーミング自体は禁煙新しくできたカテゴリであり、そもそも古くから存在していたワインなのです。

魔法をかけたから、オレンジ色なの?

オレンジ色のワインだから、オレンジワイン。

それは間違いないのですが、そもそもなぜオレンジ色になるのか疑問に思われる方も多いかもしれません。

単純に考えて黒ブドウの果皮のマセラシオン期間を短くすることでオレンジっぽい色合いに…と思うのですが、この製法はロゼワインですので、ピンク色や赤色に近づいてしまいオレンジ色に調整するのは難しいでしょう。

例外もあると思いますが、じつは基本的にオレンジワインは白ブドウから造られていることがほとんどなのです。

オレンジワインの製法

では、オレンジワインの製法を解説していきましょう。(一例)

まず、原料は白ブドウです。

一般的に白ブドウは果皮と種子を取り除いた後に果汁のみが発酵にまわされますが、オレンジワインを造る場合、果実だけでなく果皮と種子があらかじめ一緒に長期間漬け込まれます。

白ブドウの果皮(色素成分)の抽出、種子の独特の渋み成分などをバランスよく抽出することで果汁がオレンジ色になっていく…というかたちでしょうか。

オレンジワインの製法の手法はスキンコンタクトに似ているなど生産者によってさまざまあるため、一概にはいえないので難しいところですが、あくまでオレンジ色に仕上げるための製法が採用されている…というのが実情です。

もちろん、きれいなオレンジ色に仕上げるためには生産者の技術力がものをいいます。

要するに、白ワインを赤ワインのように仕込めばよいわけではないのです。

ファッションではない、“本気のオレンジワイン”を生産している生産者を探すのも、ワインファンの楽しみのひとつではないでしょうか。

オレンジワインの味わい

さて、歴史や技法について知ったとしても、消費者的にはオレンジワインが美味しくなければあまり意味がありません。

赤でもなく白でもない、といってロゼでもない…となれば、どんな味わいなのか気になる方は多いでしょう。

筆者も世界中のオレンジワインを飲む機会に何度も恵まれたのですが正直、“これがオレンジワイン!”という味わいを定義するのは難しいと感じています。

ただし、傾向については解説できるのでお伝えしていきましょう。

香りについては、抑制された緊張感のあるものから、白ワインらしいアロマティックな要素を持つものなど個性豊か。

おそらくナチュラル系であれば香りはそこまで主張しないのですが、中にはオレンジピールなどを思わせるアロマを放つものに出会うことができます。

樽熟成を経ているか否かにもよりますが、ヴァニラを思わせる風味があったり、柑橘を思わせるものがあったり、マンゴーを想像させるものがあったり…。

ただし、決してネガティブではない風味があるところがオレンジワインの特徴です。

そして、共通しているのが厚みのあるボディ感を表現するタンニン、ほどよい酸味。

マスター・オブ・ワインのイザベル・レジェロンはその著書の中でオレンジワインを、ライトフルボディ・ミディアムフルボディ・フルボディにわけていますが、おそらくこのタンニンや酸味などのバランスでカテゴリ分けしているのだと思います。

とにかくオレンジワインは多種多様であり、“絶対的な傾向としてのこのニュアンス!”というアロマホイールを作成するのは困難なカテゴリともいえるでしょう。

逆にいえば、こんな答えがない発展途上なカテゴリだからこそ、虜になってしまうワインラヴァーが後を絶たないともいわれているのです。

日本のオレンジワインを試してみよう!

オレンジワインの基礎(超)についてお伝えしてきました。

さて、冒頭で軽くふれたように日本ワインには、「オレンジワイン」が少なくありません。

例えば、甲州。

グリ系ブドウということで果皮が厚く、オレンジワインには比較的向いているブドウ品種といわれています。

もちろん別の白ブドウ品種でもオレンジワインは可能ですし、チャレンジングな日本ワインの一部生産者は積極的にオレンジワインを生産しています。

もしかしたら…ジョージアに次ぐオレンジワイン生産国になる可能性だってあるかもしれないのです。(フリウリファンの人は怒らないでください)

ということで、まだオレンジワインに触れたことがない…という方は、ぜひ日本のオレンジワインを試してみてください。

赤・白・ロゼとは違う、新しい体験ができるはずです。

参考

自然派ワイン入門 | イザベル・レジュロン, 清水 玲奈