4月4日は、「どら焼きの日」。

どら焼きを使ったフードペアリングといえば緑茶やコーヒーといったイメージですが、じつはワインとの相性も悪くありません。

しかしワインと一口にいってもその種類はさまざま。

いろいろと調べた結果、とある「赤ワイン」と相性がよいことがわかりました。

ここではどら焼きとワインのペアリングについて考えていきます。

どら焼きを知る

どら焼きとワインをペアリングさせる前に、まずはどら焼きについて知っておきましょう。

どら焼きは、小麦粉と卵、砂糖をベースにしたカ2枚のカステラ状の皮に小豆の“あん”が挟まれている和菓子。

その形が打楽器の「ドラ」に似ているからどら焼きになったといわれていますが、名前の由来は諸説あるようです。

江戸時代のどら焼きはきんつばのような四角い形だったそうで、現在の丸い形になったのは明治初期。

当初はせんべいほどの厚みだったものの、ホットケーキなどの文化が西洋から入ってくる影響により、今のように厚みのある形に変化していったといわれています。

現在、生どら焼きやバターどら焼き、チーズどら焼き、ホットケーキ風どら焼きなど、どら焼きは絶賛進化中。

もはや原型すらわからないどら焼きが出現するのも、時間の問題でしょう。

“皮”?“あん”?

いろいろなどら焼きがありますが、今回は“ふつうのどら焼き”を使ってワインペアリングを考えます。

さて、どら焼きにワインを合わせる場合、“皮”“あん”のどちらを軸にするかいくか悩むところです。

ふつう、どら焼きを食べる場合は皮からなので、皮とワインの相性を考えてみます。

どら焼きの皮とワイン

前述したようにどら焼きの皮はカステラ状の生地であり、実際のカステラと配合が違うだけのもの。

カステラより甘さは控え目で、弾力のあるスポンジ状の物体といった感じです。

カステラ生地にメープルシロップが美味しそうに感じるように、甘口ワインや熟成させたスパークリングワイン、樽熟成を経たナッティーなシャルドネなどがよさそう。

また赤ワインも果実風味が強いですし、生地にじゅわっと液体が染み込んでいくため、赤ワイン仕込みのカステラのような印象になり、そこまで相性が悪くなさそうです。

となると、皮はどんなワインともペアリングしやすいと考えることができるため、“どんなワインでも合うので自由にペアリングしてみてください!”という答えが導きだせそうです。

とはいえ、どら焼きといえば中身のあん。

どら焼きにおけるあんの主張はそこそこ激しく、ワインが皮と相性が良くてもあんとぶつかってしまえばペアリングは成立しません。

やはり皮も重要かもしれませんが、どら焼きとワインのペアリングを考える場合「あんとワイン」の相性を探求しなければならないようです。

どら焼きのあんの香気成分

どら焼きのあんの香気成分を調査した研究によると、それには特徴的な香気成分がいくつかふくまれていると示唆されています。

あんにも種類があるので配分は違うようですが、これら香気成分がとくに着目されていました。

  • 2-イソプロピル-3-メトキシピラジン
  • ベンズアルデヒド
  • シクロテン
  • グアヤコール
  • マルトール
  • オイゲノール

これだけとよくわからないと思うので、これら成分が感じさせる香りをまとめます。

  • 青臭い、小豆の煮熱臭
  • メープルシロップ臭
  • カラメル臭
  • アーモンド臭
  • スパイシーな香り

もちろんここに食感などもかかわってくるため、絶対にこれら成分だけが重要ファクターとはいえませんが、「どら焼き×ワイン」を完成させるためには、これら香気成分をヒントにワイン選びをするのは間違っていなさそうです。

あの品種から造られる赤ワインがイイ?

どら焼きのあんの香気成分から導きだされるワイン。

まず、甘口ワインもいけると思ったのですが、メープルシロップ様の香りに関与するシクロテンが多い場合、小豆風味を弱めてしまうと示唆されていたため、甘口ワインは除外。(合わないわけではないと思います)

カラメルやスパイシーなところでいくと、白ワインやスパークリングワインも違うかもしれませんが、メトキシピラジン類由来の青っぽさ、スパイシー、カラメル、アーモンド臭となるとこれもまた違う…。

いろいろと検討した結果、どら焼きには赤ワイン。

しかも、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローといった青っぽさとスパイシーさが特徴の品種との相性が良さそうです。

シラーなど南仏系の品種やスペイン系も良さそうですが、青っぽさがキーワードとなると前述したボルドー系品種に軍配が上がります。(個人的な感想)

さらに、小豆のあん自体、それ単体を嗅いだ時より、あと香(レトロネーザル=口腔香気)でその風味をしっかりと感じられるとされているため、香りが多少抑制されている赤ワインの方が口内でバランスが取れそうです。

しかしこれは妄想。

ということで、さっそくこの説が正しいのか実践してみました。

〈五一ワイン 塩尻メルロー 2019〉&どら焼き

どら焼きに合わせるために用意したワインは、〈五一ワイン 塩尻メルロー 2019〉。

桔梗ケ原ワインバレー産メルロー100%使用。フレンチオークで熟成(短め)された、メルローの魅力をシンプルに味わえる赤ワインです。

どら焼きを口にほおり込んだ後に、〈五一ワイン 塩尻メルロー 2019〉を一飲み。

……。

結果、予想通り最高のペアリングです。

ワインの液体がどら焼きの皮に染み込み、ワイン風味のカステラ生地といった印象。

優しい風味のあんと〈五一ワイン 塩尻メルロー 2019〉の青さと果実味、柔らかな風味が完璧にマッチングします。

〈五一ワイン 塩尻メルロー 2019〉の酸味とタンニンが、口の中をさっぱりさせてくれるところもポイントです。

そこまでワインに主張がないところも、ペアリングが成功したポイントかもしれません。

ワインと和菓子もたまにはイイ

どら焼きと赤ワインの相性は悪くない。

今回の検証で、その事実が判明しました。

そもそも、“あん”と赤ワインの相性がよかったことから、ほかの和菓子ともいろいろフードペアリングが成立しそうです。

ワインとどら焼きをきっかけに、「和菓子×ワイン」の楽しみも広げていきそうな気がしました。

参考

どら焼きの小豆餡の美味しさに寄与する香気成分について

どら焼きとは?由来や歴史、発祥の秘話をご紹介

ワインの香りの評価用語