日本ワインを製造する一部のワイナリーでは、ワインだけでなく「ブランデー」も造られています。

そのため、日本ワインにハマりだした方の中には、「ブランデーにも挑戦してみたい」と思われている方もいるかもしれません。

ここでは、お酒初心者の方ためにブランデーの基本、また日本のワイナリーが造るおすすめのブランデーを紹介していきます。

ブランデーとは?

そもそもブランデーとはどんなお酒なのでしょうか。

ブランデーの基本的な知識を下記にまとめました。

  • ブランデーの歴史
  • ブランデーの種類
  • ブランデーの製造方法

それぞれ解説していきます。

ブランデーの簡単な歴史

ブランデーが本格的に製造され始めたのは16から17世紀頃。

フランスのコニャック地方でワインが余り過ぎていたことから、その処理法として生まれたといわれています。(ブランデーの歴史は諸説ありますが、一説によると13世紀頃に医師でもあった錬金術師がすでに気付け薬として使っていたという記録があるそうです

ちなみにコニャックの始まりは当時ワイン交易のオランダ人が長期保存に向かない低アルコールのワインを蒸留しアルコール度数を高めたことが始まり。

17世紀頃に2回の蒸留とオーク樽熟成で味が良くなることがわかり、商業的に成功を収めたといわれています。

ちなみに、「ブランデー」の名の語源は、当時フランスで「ブルュレ・ヴァン(焼いたワイン)」と呼ばれていたことに由来しているのだとか。

この呼び名はオランダ語では「ブランデ・ヴァイン」となりますが、その名称がイギリスに伝えられると「ブランデー・ワイン」と呼ばれるようになり、結果“ワイン”が呼び名から取られて、「ブランデー」という名称になったといわれています。

ブランデーの種類

ワインは一般的にブドウの果汁を発酵させたアルコール飲料と定義されていますが、ブランデーにはさまざまな種類が存在します。(ワインの法律がユルい国は、原料がブドウでなくてもワインを名乗れる※日本にはみかんワイン、いちごワイン、パイナップルワインなどがあります)

ブランデーとは、果実から製造された醸造酒(主にワイン)を蒸留したお酒の総称であり、一般的なブドウを原料としたワインが原料であれば「グレープブランデー」、そのほかの果実から造られた醸造酒であれば「フルーツブランデー」、またワインの搾りかすを利用したものを「かす取りブランデー」と大別しているのが特徴です。

中でも伝統的なブランデーである…

  • コニャック、アルマニャック…グレープブランデー
  • カルバドス(リンゴ)、キルシュ(サクランボ)…フルーツブランデー
  • グラッパ、マール…かす取りブランデー

これらは、とくにその名称に〇〇ブランデーといった形で呼ばれることはありません。

ブランデーの製造方法

ここでは、ブドウを原料としたワインから造られるブランデーの製造方法を簡単に説明していきます。

まず、ブランデーの原料となるブドウは糖度より酸度の高さが重要視されるため、蒸留されるベースワインは、私たちが普段飲んでいるそれとは味わいが多少違うようです。(シャンパーニュのベースワインも酸度が命といわれています)

コニャックの場合、主原料はユニ・ブラン、アルマニャックはユニ・ブランやフォル・ブランシェ、コロンバールといったブドウ品種がよく利用されています。

ベースワインが仕上がったら次は蒸留。

コニャックの場合は単式蒸留器で2回、アルマニャックは単式蒸留器で2回か連続式蒸留器で1回といった形でスタイルによって蒸留方法が変わってきます。

その後、内部を軽く焼いたオーク樽で熟成された後、数年後にブレンダーによって調合されたり味わいを調整され、加水でアルコール度数を40〜43%ほどに調整した後、濾過、瓶詰めされ、市場に出荷されていきます。

味わいはそのブランデーのスタイルによってさまざまですが、重厚なもの、繊細でエレガントなもの、華やかなものなど、メーカーによってもさまざま。

なかなかブランデーを飲み比べする機会がないかもしれませんが、ワイン同様、いやそれ以上に深い世界なのでハマると抜け出せない中毒性があるお酒のひとつといえるでしょう。

日本のブランデーを紹介!

ブランデーというと海外産、主にフランスのものといったイメージをもたれる方も多いでしょう。

しかし、戦後以降ブランデーは日本で多く製造されるようになり、コニャックタイプのもの、フルーツブランデー、かす取りブランデーなどがとくに多く造られています。(国内で初めてブランデーが造られたのは1892年だといわれている)

日本のブランデーはまろやかな味わいと繊細な口当たりが特徴で、フランス産に比べると比較的飲みやすいところが特徴です。

サントリーのものが有名ですが、日本ワインファンとすればお馴染みのワイナリーが造るユニークなものを試したくなるところ。

ここからは、日本ワインファンに試してほしいおすすめの国産ブランデーを3つ紹介していきます。

ロリアン ブランデー78

ロリアンワインで知られる、白百合醸造。

この名門ワイナリーが手掛けるブランデーが、〈ロリアン ブランデー78〉です。

国産ブドウを使用したワインから造られているこのブランデーは、その名の通りアルコール度数は78%。

幅広い飲み方が楽しめる、希有なブランデーです。

五一ブランデー VSOP

桔梗ヶ原の名門ワイナリー、林農園(五一わいん)が造るブランデー、「五一ブランデー VSOP」。

桔梗ヶ原産のナイヤガラ種を原料とした無添加ワインを蒸留した後、樽で熟成。

ブランデーの深みを楽しむことができる、極上の1本です。

十勝ワインのブランデー3種飲み比べセット

池田町ブドウ・ブドウ酒研究所で造られている有名日本ワイン、十勝ワイン。

ブランデーや原酒、アップル原酒など3種のブランデーが飲み比べできるセットです。

セット内容は、原酒、アップル原酒、モリオ・マスカット原酒の3種類で、それぞれ長期熟成を経た貴重なものばかり。

日本のワイナリーらしい、グレープブランデーとフルーツブランデーの飲み比べをぜひ楽しんでみてはいかがでしょうか。

ブランデーも面白い!

日本ワインが好きになれば、日本のブランデーにも興味をもってしまうもの。

ブランデーの世界は、ワイン以上に奥深く、興味深いことばかり。

普段、ブランデーはあまり飲まない…といった方は、ぜひこれを機会に日本のブランデーをチェックしてみてはいかがでしょうか。

参考

お酒を100%楽しむ! 田村隆明

日本洋酒酒造組合|知る・楽しむ ブランデー
http://www.yoshu.or.jp/enjoy/brandy/index.html