みなさま、こんにちは。
【ワイン・食・人(わいんしょくにん)】磯部 美由紀(いそべみゆき)です。

魚料理なので白ワインかなとか、鮭のピンク色に合わせてロゼワインかな、なんて思いがちな鮭(サーモンもね)。
しかし、比較的お手頃価格だし、いつでもスーパーで購入でき、多くの料理方法がある便利なお魚ですから、他にも様々なタイプのワインと合わせていきたいですよね。
ということでお送りしている「いろんなワインで秋鮭を楽しもう」のテーマ。
第二部の今回は、お肉料理に合わせるような重めの赤ワインと秋鮭とのペアリングに挑戦です。

この時期(9月~11月頃)の鮭(秋鮭)はとくに、身がふっくらしていて美味しいのですが、その分脂肪分が少なめです。
それに、鮭ってそもそも白身魚に分類されるもの。
ゆえに、焼き魚など秋鮭をそのままストレートに味わうようなお料理だと、ボリュームのあるフルボディの重ため赤ワインなどには負けてしまうことが懸念されますよね。
そこで、工夫したポイントは、油脂分と旨味の追加です。

秋鮭とほうれん草とクリームソースを、パイで包んでオーブンで焼く料理「秋鮭のパイ包み焼き」にしました。

秋鮭のパイ包み焼きレシピ

「パイ包み」「クリームソース」…さっと作るには面倒そうなワードですが、パイは冷凍パイシートを使ってしまえばラクチンですし、一からホワイトソースも作りません。
実はハード系のチーズを削って、生クリームに浸しておくだけで、とても美味しいチーズクリームが出来上がるのですよ。
なんて簡単!

【材料】2人分

秋鮭の切り身 2枚
塩コショウ 適量
ほうれん草 3束くらい
冷凍パイシート 1枚
グラナパダーノ(お好みのハード系のチーズならなんでも) 削って大さじ2
生クリーム(36%がオススメ)50ccくらい
卵黄 適量(パイに塗る用)

【作り方】

①冷凍パイシートを冷凍庫から出しておき、扱いやすい硬さになったら麺棒などで軽く伸ばし、秋鮭を包みたいと思う好きな形にする。
②秋鮭の切り身から大きな骨は取り除き、塩コショウして半分にカット。
③削ったチーズと生クリームとをボウルに入れ混ぜておく。しばらくするとクリーム状になる。
④ほうれん草を茹で冷ましておく(後でオーブンに入れるので、えぐみを取る程度のサッと茹ででOK)。
⑤パイシートに秋鮭とほうれん草と、③で作ったクリームソースを乗せて包む。
⑥上部に切り込みを入れて、卵黄を塗る。
⑦200℃のオーブンで20~30分程度焼く。
(焼き 色を見て調節してくださいね)

 

重ため赤ワインと秋鮭のパイ包み焼き

 

長期熟成されアミノ酸たっぷりのハード系チーズを使ったことで、秋鮭と合わせ全体の旨味が強くなり、赤ワインのボリュームにも負けないとても良い組み合わせになりました。

ちなみに、一般的には熟成期間が長くなる程チーズの旨味は強くなります。
例えばグラナパダーノの熟成期間は最低9か月以上ですが、パルミジャーノレッジャーノは12か月以上、コンテは120日以上と製法が厳しく決められています。
なので、ワインのボディに合わせて、ソースに使うチーズを選ぶのも良いかもしれませんね。

また、バターがたっぷり使われたパイ生地で包むことで、淡泊な秋鮭に油脂分が補われ、それによりコクも生まれ、濃厚でボディの重めな赤ワインとのバランスも良くなりました。
食べ応えのある料理としっかりめの赤ワインで、なんとも満足感の高いペアリングです。
ちょっとよい赤ワインを開けるお夕食にはもちろん、お友達を招いてのランチ会などにもオススメです。
事前に焼く直前まで準備しておき、あとはオーブンに任せてしまえば、ゲストと一緒にスパークリングワインで乾杯し、ほどよい頃合いに焼き立て熱々のパイ包み焼きを楽しめますね。

ロゼワインと焼鮭

 

ちなみに、もっとも簡単でよく食卓に並ぶ鮭料理は、やはり塩焼きでしょうか。
焼き魚って和食の代表料理ですから、合わせるお酒を考える時にワインのイメージが沸かないというお声も聞きます。
確かに、盛り付けも和食器を使う場合が多いし、何よりお魚の味をそのままストレート楽しむとなると、複雑な香りやタンニンとの相性が難しいかもしれませんね。

しかしそういう時こそ、ぜひ日本ワインの出番です!
柑橘の爽やかさを感じられるタイプの甲州は、焼き魚に絞ったスダチのような役割をしてくれ、軽快なペアリングを楽しめますし、フレッシュなロゼなどは、秋鮭のサーモンピンクのお色ともよくマッチして、見た目にも華やかな食卓になります。
ぜひ、和食のお夕食時こそ、気軽に日本ワインをチョイスしてみてください。

 

今回合わせたワインはこちら🍷
※グラス一杯分100mlのミニヴァンでお試しいただけます。

日本ワイン 岩の原葡萄園(新潟県)/ヘリテイジ(赤)

品種:マスカット・ベーリーA、ブラック・クイーン
日本ワインコンクール2019銀賞、”SAKURA”Japan Women’s Wine Award2019金賞受賞のワイン。
どちらも日本ワインの父と言われる創業者の川上善兵衛が生み出した品種です。
それらを丁寧に収穫・選果・醸造・熟成し、 品種の特徴を失わず自然な強さを兼ね備えた、深みのある凝縮感と複雑味が感じられるワインに仕上がっています。
まさに、岩の原葡萄園のテロワールを表現するワインです。

日本ワイン ドメーヌ・コーセイ(長野県)/メルロ ロゼ 無濾過 極辛口(ロゼ)

品種:メルローステンレスタンクで発酵後、新樽で約1か月育成しました。
美味しさを最大限に活かすために無オリ下げ・無冷凍・無濾過・無加熱で造られています。
メルローから造ったフレッシュなロゼをお楽しみください。