ワインを表現するシチュエーションの中で多く登場する用語のひとつが、「タンニン」です。 タンニンはポリフェノールの一種で、ワインの味・熟成などに関連しています。

今後、ワインと付き合っていく上でタンニンは必ず覚えておきたい用語です。

ここでは、タンニンと渋みの基本に解説していきたいと思います。

タンニンとは?

タンニンは、ワインの渋みなどに関連するフェノール化合物の一種です。

さまざまな植物の樹皮や葉、未成熟な果実に含まれており、本来の役割は植物が身を守るために生成される物質だといわれています。

ワインにおけるタンニンには、オーク樽由来の加水分解型タンニンと縮合型タンニンの二種類が存在していますが、主に縮合型タンニンがワインに強い影響を与えているようです。

ちなみに、縮合型タンニンはカテキンやエピカテキンが重合することで形成されています。

タンニンと渋み

タンニンを使った表現に、「タンニンが強い」とか「シルキーなタンニン」とか、「タンニンが緻密」といったものがあります。

タンニンは渋みに関連するため、上記のような言葉は要するに渋みについて表現していると理解するとよいでしょう。

しかし、タンニンがなぜ渋みと関連しているのか疑問に思う方もいるかもしれません。

タンニンと渋みの関係性について簡単に解説していきます。

渋みは触覚といわれている

タンニンはワインの味に関係していますが、渋み自体は味ではなく触覚だといわれています。

基本的に渋みは甘味や酸味などをあらわす基本五味には含まれていないことから、タンニンを味わう…といった表現があったとしたら違ってくるかもしれません。

さて、私たちの唾液中にはタンパク質が存在しています。

一部のタンパク質はタンニンと結合する特徴を持っており、ワインを口に含むとこの反応により沈殿物が生成されます。

じつはこの沈殿物が私たちに渋みを感じさせており、この量によって「渋みが強い・弱い」といった判断がなされているのです。

また、唾液中には口内の潤滑油として活躍しているムチンと呼ばれるタンパク質も含まれていますが、タンニンはムチンを取り除く作用も持っています。

つまり、口内を乾いた状態にする上に沈殿物が生成されるため、タンニンが多いワインは渋みを強く感じるといったことになるのです。

苦味について

ワインを飲んだ時、タンニンの渋みと同時にどことなく渋みを感じることがあるでしょう。

じつはタンニンの分子が小さい場合、それは苦味受容体に作用するため苦味も同時に感じるといわれています。

一方、タンニン分子が大きければ大きいほどに渋みを強く感じることから、熟成が未熟なワインの場合、渋くはないけれど苦味を呈するといった、バランスを欠いた印象を受けるのかもしれません。

渋みの感じ方が多様なわけ

タンニンの量だけで、そのワインの渋みが決まるといったわけではありません。

タンニンはワイン中でさまざまな成分と結合し構造を変化させていることから、その重合度によって口に含んだ時への影響に違いがあらわれます。

さらに、タンニンは多糖類やワインの成分、アルコール度数、pHなどの影響を受けることから、飲み手はタンニン量自体は多いもののまろやかなワイン、タンニンが少ないのに渋みが強いワインといった印象を受けるのです。

タンニンとの付き合い方

タンニンは、上記で解説したように口の中を乾いた状態にします。

では、タンニン豊富な赤ワインをどんどん飲み続けたらどうなるでしょうか。

当然、口内は常に乾き続け、より渋みを強く感じてしまう現象が起こります。

ワインはゆっくり飲むことが理想的ですが、試飲会や飲みのシチュエーションによっては勢いでどんどん飲んでしまう可能性があるでしょう。

水を飲むといった方法もありますが、最も良い方法が無塩クラッカーを利用することだそうです。

要するに、口内に唾液がしっかりとある状態でワインを飲むことにより、そのワインの繊細な味わいが楽しめるという理屈になります。

ちなみに、赤ワインが肉と合うといった理屈は、肉のタンパク質とタンニンが結合することから脂っぽさを感じずに食べ進められるといった理由だそうです。

渋みの感知度は人それぞれ

タンニン豊富なワインを飲んだ時、渋みをまろやかに感じる方もいれば、強烈に感じる方もいるようです。

味覚における「苦み」の感じ方の違いを調査する際、PROP(プロピルチオラウラシル)という溶液は利用されることが多いのですが、これを使った研究がありました。

この溶液に紙片を浸したものを数人の被験者に舐めさせると、「何も感じない」「苦いと感じる」「不快なほど苦く感じる」といったように、苦みに対する感受性には個人差があることが示唆されています。

甘味受容体や塩味受容体に関連せず、あくまで渋みに携わる知覚の差だといわれていますが、繊細なワインであっても渋いワインと判断してしまう可能性はあるでしょう。

ただし一方で知覚過敏であることから、ワインの繊細な味わいを理解できるといった向きもあります。

自分は渋みに敏感か否か、それを知るだけでもワインとの付き合い方が変わりそうです。

タンニンは奥が深くておもしろい

タンニンは、ワインの品質自体にも大きく影響を与える化合物であることがわかっています。

熟成によるものや風味などにも深く関連しており、探求しがいのあるテーマのひとつです。

ぜひ、これを機会にタンニンについて少し深堀りしてみてはいかがでしょうか。

参考

食品の嗜好とPROP味覚感受性の関係 ジェイミー・グッド – ワインの科学