ワインは健康に良い。

ワイン好きでない方であっても、ワインにこのイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。

「フレンチ・パラドックス」をはじめ数多くのワイン健康説が唱えられてきましたが、その中のひとつに注目されている説がひとつあります。

それが、「長寿説」です。

まだはっきりとした結果が出ているわけではありませんが、仮にこの説が本当であればワインと共に人生を歩む人は長生きできる、ということになります。

ここでは、ワインの長寿説について解説していきましょう。

サーチュイン説

ワインが健康に結びつく可能性があるといった場合、ほとんどがポリフェノールによる影響といわれています。

例えば、アンチエイジングもワインにふくまれるポリフェノールの抗酸化作用が関連していることで知られていますし、血管内皮の保護作用にも効果が期待できるといった説もあるほどです。

そんな中、近年出てきた研究で話題になったのが「サーチュイン説」。

よりわかりやすくいえば、長寿説といったところ。

ワインは長寿とどのような関係性があるのでしょうか。

サーチュイン遺伝子に影響を与えるが…

まず、長寿に関連するのはやはりワインにふくまれているポリフェノールです。

厳密に関係しているのは、赤ワインにふくまれるポリフェノール化合物の一種である「レスベラトロール」で、これがサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)を活性化することがわかりました。

サーチュイン遺伝子とレスベラトロール

まず、酵母や線虫、ショウジョウバエなどにはSir2と呼ばれるサーチュイン遺伝子があり、普段は機能していないものの飢餓状態(ほかカロリー制限)をすることで活性化し、寿命を伸ばす機能を果たすことで有名です。

研究によると、酵母にレスベラトロールを与えたところ寿命が70%延命。

さらに、ショウジョウバエでも同じような結果が得られているといいます。

じつは人間にもこのSir2に近い働きをもつSirt1遺伝子が存在しており、赤ワインを上手に摂取すれば健康寿命が延びるのではないか…?と、いった期待が持たれているのです。

人間への効果は…あるか?

さて、赤ワインにふくまれているレスベラトロールで寿命が延びるのであれば、そんな夢のような話はありません。

実際、近年「長生きしたければ(若くなりたければ)、空腹でいろ!」といったことが話題になっていますが、空腹によるサーチュイン遺伝子の活性化が関連していることで知られています。

つまり空腹時間を長くした上で赤ワインも嗜む生活をすれば、より長生きできるのでは、と思う人が出てくるのも当然です。

しかし、残念ながら一般的に赤ワインにふくまれるレスベラトロールの量ではサーチュイン遺伝が活性化するには足らず、フルボトルで約10本分は摂取しないとダメなのだそう。(レスベラトロールが多いピノ・ノワールなら8本くらいか?)

これでは、長寿どころではありませんね…。

レスベラトロールは注目の成分

「赤ワインを飲めば健康長寿」と決めつけることはできませんが、レスベラトロール自体には健康効果が期待できます。

例えば、糖尿病の防止や一酸化窒素生成酵素活性化、血管新生の促進などが有名です。

また、内蔵脂肪蓄積抑制や扁桃体の愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシン受容体の発現細胞数を増加さるなど、ある意味で最終的に長生きに繋がりそうなよい効果が期待されています。

飲酒はほどほどに…

ワインと長寿。

たしかに興味深いテーマではあるものの、まだまだ研究が必要な分野であることは間違いありません。

もちろん、ワインは赤でも白でもアルコールなので飲み過ぎれば100%害になります。

一方、適度な量であれば前述した、さまざまな健康効果を享受できるお酒であることは間違いありません。

飲酒は適量。

どんな素晴らしい健康効果が発表されたとしても、そこだけは注意しながらワインと付き合っていきましょう。

参考

科学者が書いたワインの秘密 清水健一